APO EL Nikkor 105mm F5.6N     2

アポ エル ニッコール 105mm F5.6N

ニコン Z 写真帖

ニコンのミラーレス機ニコン Z シリーズと工業用ニッコールレンズの相性はすこぶるよろしい。 アポエルニッコール 105mm F5.6Nによる撮影画像のアガリを見ていただきたい。 撮影に使用した機材はシンプル極まりない。

ニコン Z 6 にはニコン純正のマウントアダプター FTZを装着。 カメラボディがFマウントになったので、 ニコンの接写リング E2で延ばして BORGの M42ヘリコイドを入れた。 M42ヘリコイドのカメラ側はニコンFマウントで、 レンズ側がライカL39スクリューマウントにセットしてある。 そのままアポエルニッコール 105mm F5.6Nを装着した。

Nikon Z 6 + FTZ + E2 + BORG M42 (F to L39) + APO EL 105mm F5.6N

お花のアップの接写撮影時には E2リングの先に PK-12リングを 1個追加した。 上の画像は PK-12が入った状態で、八重桜のアップを撮影した時の撮影体勢となっている。

レンズには後述するが特殊な 35.5mm - 40.5mm のステップアップリングを取り付け、 ニコン純正の 40.5mm NCフィルターを付けた。 さらにマルミ光機製の 40.5mm - 52mm のステップアップリングを取り付け、 画像のヌケがよくなるので深めのフードを装着した。 旧製品ではあるが手元にあったニコンの HS-14を選んだ。

APO EL 105mm F5.6N,   ASA 800   F8   1/640 sec.   +1.0

いきなりこんな素敵なフレッシュな絵が出てきて驚いた。輝いている。 生きた空気が写っている。酸素分子も見える。 すべて JPEGの撮って出しである。なにも手を加えていない。 アポエルニッコール 105mm F5.6Nの色彩表現へのこだわりは只者ではない。

ブリリアントでゴージャスな色彩

2010年頃の話と記憶しているが、優れた性能を有するデジタル一眼レフ機が出揃った背景で、 海外では本格派フォトグラファーの間で、 高性能レンズの一つの評価指標として 「マイクロコントラスト(Micro contrast)」を提唱する人たちが出てきた。

数値的な測定値では表わせない概念ではあるが、 アポエルニッコール 105mm F5.6N を使うようになってからは、 マイクロコントラストに優れたレンズというものが理解できるようになった。 画像処理ソフトでこのあたりは簡単に操作できてしまうが、 レンズネイティブで優れたマイクロコントラスト特性を有する描写を見ていただきたい。

APO EL 105mm F5.6N,   ASA 800   F8   1/500 sec.   +1.7

アポエルニッコール 105mm F5.6Nの色収差補正波長域はきわめて広い。 近紫外域(380nm)からなんと近赤外域(750nm)までの色収差が補正されているのだ。 この総天然色映画のようなブリリアントでゴージャスな色彩はどうだ。 ファインダーを覗いただけでも何か凄みのある映像だということがわかる。 肉眼で見た感動的な色味がそのまま再現できる。 アポエルニッコール 105mm F5.6Nは只者ではない。

APO EL 105mm F5.6N,   ASA 800   F8   1/640 sec.   +1.7

APO EL 105mm F5.6N,   ASA 800   F8   1/500 sec.   +2.0

アポエルニッコール 105mm F5.6Nの設計目的は、 忠実度を高め、より正確な色彩と豊かなトーンを再現するレンズの実現である。 アポエルニッコール 105mm F5.6Nによる「空気撮影」がこれだ。 もうレンズポエムまる出しの描写なのである。 二次元のデジタル画面から咲き誇る花の香りがただよってきた。 きわめてデリシャスな色彩。高精細な生命感と情感表現はさすがだ。

APO EL 105mm F5.6N,   ASA 800   F8   1/640 sec.   +1.7

APO EL 105mm F5.6N,   ASA 800   F8   1/640 sec.   +0.7

記事のご案内

 次のお話です。   第 3 章  テクニカルデータ

ショートカットはこちらからです。

第 0 章      トップページ
第 1 章      レンズとの出会い
第 2 章      ニコン Z 写真帖
第 3 章      テクニカルデータ
第 4 章      コレクターズガイド
第 5 章      アポエル・ギャラリー

Back to RED BOOK NIKKOR


Copyright Michio Akiyama, Tokyo Japan 2020, 2023