植村直己の無線通信機 ● 植村直己の無線通信機 ニコンミュージアムで「植村直己展」が開催されると、 テレビのニュース、新聞記事、そしてネットのメディアで大きく紹介された。 もちろんニコンの博物館で開催された展覧会であるから、 極地仕様のニコンF2カメラが大きく取り上げられた。 しかし展示物を見ると、後世に記録を残すべき史料が数多く展示されていた。 その一つが無線通信機である。 見る人が見ればその仕様を語り、歴史的背景を解説してくれるだろう。 そんな方々のために、無線通信機の外観姿画像をここに残すことにした。
無線通信機一式
無線機の説明
カナダのスピルズベリー・ティンダル社製 カナダのバンクーバーに本社があった、 スピルズベリー・ティンダル社(Spilsbury and Tindall Radio Communications Limited)の製品。 この SBX-11 モデルは、1970年代後期の製品のようである。 カナダの北極圏で使用するために開発されたもので、多くの極地探検で採用されてきたという。 無線機本体、マイク、バッテリーを含むユニット全体が、 頑丈な耐腐食性耐候性アルミニウムケースに収められている。 重量は約 8ポンド(約 3.6キロ)。 温度範囲が、マイナス 30℃からプラス 50℃と極地仕様。 生命に関わることなので、植村さんの機材選びは慎重だ。 世界的に信頼度の高い安定した製品を厳選した。
ポータブル SSB トランシーバー SBX-11 型
極低温特別仕様リチウム電池 松下電器産業株式会社が製造したナショナルリチウム電池。 品番は、LR-CE3X2。公称電圧は、16.8ボルト。昭和53年(1978年)3月製造。 リチウム電池研究家やリチウム電池マニアには貴重な画像である。 この画像を肴にハイボール 2杯はいける方がいると思う。 ちなみに、本サイトを支持してくださる 10代の読者様のためにあえて言及するが、 ナショナルは現在のパナソニック・ブランドである。
リチウム電池の説明
アンテナケーブルの説明 アンテナケーブルとパネルに説明されているが、 これはダイポールアンテナと呼ばれるもので、 同軸ケーブル(黒いケーブル)の両端に、 それぞれ 1/4波長の長さのワイヤーを付けたものである。 ワイヤーの全長は 1/2波長になるので、 周波数 7,300kHzだと約 20メートル、下の画像の周波数 4,680kHzだと約 32メートルの長さになる。
ベニヤ板に巻かれたアンテナケーブル 無線周波数によって、ダイポールアンテナのワイヤーの長さが変わるので、 植村さんは交信に使用する周波数に合わせた長さのアンテナケーブルセットを用意していた。 無線機のアンテナ接続端子に取り付けコネクタを装着し、 長いワイヤーをズルズルと伸ばしてサポート基地との交信に使用した。 ベニヤ板にぐるぐると同軸ケーブルとワイヤーを巻き付けて収納したのだろう。 アンテナ研究家やアンテナマニアには貴重な画像である。 この画像を肴に缶チューハイ 2本はいける方がいると思う。
基地との交信について
周波数一覧 歴史的無線機コレクターやヴィンテージ無線機愛好家の方々には興味深い展示だったと言える。 無線機ボディに貼られた「基地との交信について」の周波数データは、 無線周波数研究家や無線周波数マニアには貴重な画像である。 この画像を肴に熱燗 2本はいける方がいると思う。 ● 記事のご案内 画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → 次に行きます。 第 4 章 犬ぞりと日の丸 ショートカットはこちらからです。
第 0 章
トップページ
Copyright Michio Akiyama, Tokyo Japan 2023 |