Special Collection 2     Chapter 1

珠玉の秘宝 SUNAYAMA ニッコール

会場風景

1930年代の写真用レンズ

1930年代の写真用レンズ

Hermes 5.5cm f/3.5

Hermes 5.5cm f/3.5

Hermes 5.5cm f/3.5

精機光学工業(現:キヤノン)から発売したテッサータイプの35mm判引き伸し用レンズ。

Hermes 5.5cm f/3.5

「Hermes」。カタカナでどう表記するのでしょうか。 実はエルメスではなくヘルメスとカタカナ表記するのが日本の光学技術史的には正しいのです。 正しさの根拠は、一次資料である 「キヤノン史 技術と製品の50年」(1987年発行)の説明(page 14)によります。 ヘルメスと明言されています。

さらに当時の現物エビデンスを確認してみましょう。 1937年(昭和12年)〜1942年(昭和17年)の精機光学の広告(アサヒカメラ、日本写真年鑑に掲載) を調べてみますと、「ヘルメス」「ヘルメス鏡玉」と表記されているのが確認できます。 フランスの有名なブランド品エルメスではないので、ヘルメスと書きましょう。 あの時代ですから独逸語なのです。

Hermes 5.5cm f/3.5 Nr. 957

Nikkor 5cm f/2.8 試作品

Nikkor 5cm f/2.8 試作品 1937年ごろ

Nikkor 5cm f/2.8 試作品

精機光学工業(現:キヤノン)が製造したレンジファインダーカメラ 「キヤノンカメラ」用標準レンズ。
昭和十二年ごろ(1937年ごろ)

Nikkor 5cm f/2.8 No. 2807 試作品 1937年ごろ

Nikkor 5cm f/2.8 試作品 1937年ごろ

Nikkor 5cm f/4.5 試作品

Nikkor 5cm f/4.5 試作品 1938年ごろ

Nikkor 5cm f/4.5 試作品

精機光学工業(現:キヤノン)が製造したレンジファインダーカメラ 「キヤノンカメラ」用標準レンズ。 当時、精機光学工業と日本光学工業(現:ニコン)は協力関係にあって、 キヤノンカメラは独自マウントを採用し、日本光学製レンズを使用していた。
昭和十三年ごろ(1938年ごろ)

Nikkor 5cm f/4.5 Nr. 4503 試作品 1938年ごろ

Nikkor 5cm f/4.5 試作品 1938年ごろ

Projektor 5.5cm f/3.5 試作品

Projektor 5.5cm f/3.5 試作品 1936年

Projektor 5.5cm f/3.5 試作品

テッサータイプの35mm判引き伸し用レンズ。 このレンズの光学系に改良を施し、 精機光学工業(現:キヤノン)から「Hermes 5.5cm f/3.5」として発売した。
昭和十一年(1936年)

Projektor 5.5cm f/3.5 No. 1 試作品 1936年

プロジェクターの表記が「Projector」ではなく「Projektor」であることに注意。 英語ではなくこの時代はドイツ語なのです。 時は昭和十一年。独逸語。二・二六事件。 第12回夏季オリンピックの開催地が東京府東京市に決定。

Cine-Nikkor 12cm f/2.8 試作品

Cine-Nikkor 12cm f/2.8 試作品 1938年

Cine-Nikkor 12cm f/2.8 試作品

8mmシネカメラ用撮影レンズ。 一般的なDマウントでないため、特殊用途で製作されたと推測される。
昭和十三年(1938年)

Cine-Nikkor 12cm f/2.8 試作品 1938年

5.5cm f/3 試作品

5.5cm f/3 試作品 1935年

5.5cm f/3 試作品

資料に「Projektor Lens」と記されていることから、 トリプレットタイプの引き伸し用レンズと推測。 シャッターが付いているのは、性能の評価、試験用と考えられる。
昭和十年(1935年)

5.5cm f/3 試作品 1935年

SUNAYAMA ニッコール

SUNAYAMA Nikkor 50mm f/3.5 試作品 1934年

Nikkor 50mm f/3.5 試作品

ライカスクリューマウントを採用した標準レンズ。 レンズの外観デザインや赤箱に入ってることから、ライカに範をとって製作したことが推測される。 当時の設計部長、砂山角野(すなやま かくや)が設計し、わずか10本製作されたといわれるうちの1本。 ニコン(当時:日本光学工業)初の35mm判カメラ用標準レンズ。
昭和九年(1934年)

SUNAYAMA Nikkor 50mm f/3.5 試作品 1934年

SUNAYAMA Nikkor 50mm f/3.5 試作品 1934年

SUNAYAMA Nikkor 50mm f/3.5 試作品 1934年

日本の古典文学をみて、深緋(こきひ)色の貼りの箱には金泥で文字入れ。 黒漆塗りのような重厚なレンズキャップ。日本光斈と旧字の刻印が美しい。 素晴らしいお道具。

SUNAYAMA Nikkor 50mm f/3.5 試作品 1934年

展示を後ろに回って鑑賞。正面とはまた違った趣のある風景。 日本の美術品はかくも格調高く凛として涼し気である。

SUNAYAMA Nikkor 50mm f/3.5 試作品 1934年

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 次の展示コーナーを見てみましょう。   第 2 章  特殊用途 Aero Nikkor

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第 0 章      トップページ
第 1 章      1930年代 SUNAYAMA Nikkor
第 2 章      特殊用途 Aero Nikkor
第 3 章      X線 Regno Nikkor
第 4 章      旧軍機器、測定器、双眼鏡
第 5 章      オールアバウト・ニコノス

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