対空高角双眼望遠鏡 ● 歴史的艦載用双眼望遠鏡と国土防衛対空高角双眼望遠鏡の総合的研究 さて、ここまでくると、いくところまでいくのがニコン研究会。 ニコン研究会望遠鏡専門部会の猫洞さんと寺田さんが持ち込んだ 重量級の大型双眼鏡の迫力に注目してください。 ニコン研究会会員の寺田さんは、 堂平天文台で日本光学製91ンチ天体望遠鏡の整備を行なっている専門家です。
対空高角双眼望遠鏡 原点はやはり光学兵器。 大日本帝國海軍の大型双眼望遠鏡の実物が並びました。 俯視角が70度である対空高角双眼望遠鏡の重量感には圧倒されます。
実際の観測ではものすごいキレを見せることになる対空高角双眼望遠鏡
対空高角双眼望遠鏡の真鍮製銘板
ニコンオリジナルのレンズ保守用の刷毛と接眼部フィルターセット
口径12センチの夜間用15倍12糎双眼望遠鏡 俯視角がついていないストレートな接眼部を持つのは、 艦船に搭載された水平見張用(夜間用15倍12糎双眼望遠鏡)です。
歴史的艦載用大型双眼望遠鏡の巨大な瞳径を持つ接眼部
対空高角双眼望遠鏡のスチールベルトによる眼幅連動調整機構
焼津港で出土した漁船用ニコン大型双眼望遠鏡 焼津港で救出された漁船用のニコン大型双眼望遠鏡は、 外観は潮でいたみが出ていますが、 対物レンズのキャップを外すとレンズはきわめてクリーンな状態を保っています。 キャップが付いていることじたい、 漁船の上ではたいせつに使われていたことが分かります。 これで遠く海面の様子や海鳥の表情を見て、 カツオやマグロの魚群を探知したのでしょうか。 やはり、大型双眼鏡は焼津港産にかぎります。
角度目盛板を装着した本来の姿の船舶搭載用大型双眼望遠鏡 ● 希少小型双眼鏡の研究 さて次のセッションは、小型双眼鏡の研究です。 日本光學工業製のミクロンやルスカ、スピカなど、歴史的銘品が並びます。 フジイブラザーズの100年前に製造された極初期型ビクトル8倍とか、 海軍航空技術廠で設計された日本光斈製広視界双眼鏡など希少機に注目してください。
上質の革ケースはすべて 70年以上経過していても美しい
小型光学骨董の銘品の数々 次にとても希少な小型双眼鏡が2機。 藤井龍藏、藤井光藏兄弟によって光学機器の国産化を目的に創立された藤井レンズ製造所。 創立はなんと百年前の明治42年(1909年)。 フジイブラザースの手による、 プリズム双眼鏡として国産第一号の高級双眼鏡がビクトル双眼鏡。 藤井龍藏著「光学回顧録」に、 写真画像入りで登場する国産第一号ビクトル双眼鏡が目の前にあります。 なんとも美しい景色をもつボデイ、接眼部の精緻さ。
国産第一号ビクトル双眼鏡(百年前の製品)
藤井レンズ製造所製 口径 20ミリ 8倍
ストラップ取付け金具の工作に注目
極めて珍しい日本光斈製広視界双眼鏡(空技廠刻印入り)
日本光斈のNIKKOロゴ 台数は不明だが量産されたようだ
空技廠の刻印は設計が海軍航空技術廠であることの証 ● カタログ 昭和十一年。貴重な当時もののカタログ。メーカー名は日本光學工業株式會社。 住所は東京市品川區大井森前町。東京市の時代です。伝説の日本光斈 NIKKO ロゴマーク。
プリズム双眼鏡 表紙を手にした時に感じた違和感の正体は、白黒反転したような双眼鏡の姿写真にあります。 正確に製品を伝える使命をもつはずのカタログなのに、製品名ロゴの「ノバー」の刻印が反転していて読めない。 なにかメッセージを込めた時局の印刷物。いまとなっては意図がわかりません。
ノバー七倍双眼鏡 製品説明の格調高い文語体の文章が素晴らしい。
特長
オリオン八倍双眼鏡、ブライト八倍双眼鏡
オリオン六倍双眼鏡、ルスカー六倍双眼鏡
モノルスカー六倍単眼鏡、ミクロン六倍双眼鏡
モノミクロン六倍単眼鏡 カタログの末尾には価格表が掲載されています。昭和十一年九月二十五日改正との明示。 昭和十一年(1936年)といえば二・二六事件。世界史をみると大きく動いていた時代。 しかしながら、モノミクロンの主用には「散策用、スポーツ用」とあります。 光学兵器を市民がまだ持ち歩ける時局だったことが読み取れます。 ● 記事のご案内 画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → では次にいきます。 第 3 章 プレゼンテーションセッション ショートカットはこちらからです。
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