October 2011, Nikon Kenkyukai     3

大赤道儀室で見るモンスター天体望遠鏡

大赤道儀ドーム

大赤道儀室(登録有形文化財)大正15年(1926年)の建設

三鷹の天文台といえばここです。 地上 19.5メートル、ドーム直径が 15メートルもある巨大な建造物が見えてきます。 大正15年(1926年)の建設です。 建設当時は半球のドームを製作する技術が建設業者にはなく、 船底を作る技術を持った造船技師の力を借りて作られたそうです。 中に入ってドームの天井を見上げると、 ちょうどノアの箱船の中にいる気分になるのは理由があったのです。 半球のアーチを描く精密に組み上げられた木工技術にも驚きました。

とにかく巨大

日本最大の口径を誇る屈折式天体望遠鏡がいきなり目に飛び込んできます。 65センチ屈折赤道儀です。 ドイツのカール・ツァイス社製。 主望遠鏡のレンズ口径は 65cm、焦点距離 1021cm。 副望遠鏡でもレンズ口径 38cm、焦点距離 1083cm。

カール・ツァイス社製

21世紀の現代でも、この大望遠鏡の存在感には圧倒されます。 昭和初期、壮大なドームの中に入り、 真新しい巨大モンスター天体望遠鏡を見上げた天文学者たちの高揚感が、 いまでも実感できます。

ドイツ光学機械の重厚な様式美そして天井ドームには日本の造船技術

現在でも日本最大のカール・ツァイス社製 65センチ屈折赤道儀

写真では表せないスケール感を持つ巨大望遠鏡

天文史料

宇宙観測の歴史をパネルを使って説明する中桐先生

65 センチ屈折望遠鏡操作盤

プリンタコンパレーター

ニコンF2 750枚撮り モータードライブユニット

経緯儀 トロートン・シムズ社製 1875年

経緯儀 トロートン・シムズ社製 1875年

ヴァシュロン・コンスタンタン

天体観測用クロノメータ

なんとヴァシュロン・コンスタンタン社製

関孝和の古文書

万治元年(1658年)の算術書

天文台の結界

旧図書館

子午儀資料館

森のカマボコ屋根

次の探索行は、子午儀愛好家、子午儀マニヤ驚愕の歴史的子午儀の現物との対面です。 三鷹キャンパスの緑豊かな森の中を歩き、点在する歴史的名品への期待が高まります。 では、さっそく見学に行きましょう。

半円台形の観測建屋

子午儀資料館

入口に掲げられている味わい深い看板の揮毫に注目

子午儀資料館

レプソルド子午儀(1880年ドイツ製)
2011年 6月に国の重要文化財に指定された

レプソルド子午儀は、明治13年(1880年)にドイツで製作され、 明治14年(1881年)に明治政府の海軍省海軍観象台が 当時の価格で15,200マルクで購入したもの。 近代天文学の黎明期の基幹望遠鏡だったとのことです。 麻布の東京天文台の時代には、時刻の決定と経度測量に使用され、 非常に重要な役割を担う装置となっていました。 いまでも輝くその姿、気品、風格たるや、 子午儀愛好家、子午儀マニヤでなくてもその存在感に圧倒されてしまいます。

様々な貴重な歴史的子午儀が収蔵・展示されている
左にフランス製プラン子午儀、右にバンヘルヒ子午儀が見える

子午儀資料館には、 バンヘルヒ子午儀、フランス製プラン子午儀など、 小さい展示室ではありますが、見応えは十分です。 望遠鏡の調整をするための器具である子午面視準器(集心儀)など、 よく見ないと気が付きませんが、 気が付くと驚くべき収蔵品がコレクションされていることに感動します。 集心儀とはコリメーターのことであると言えばピンと来ると思いますが、 コリメーターを日本語で表した明治時代の翻訳のセンスは素晴らしい。

巨大な時代の大砲のようなゴーチェ子午環(1903年フランス製)
屈折式、口径 20cm、焦点距離 310cm、望遠鏡部だけで重量約 800kg

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 では次にいきます。   第 4 章  天文機器資料館

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第 3 章      大赤道儀ドーム
第 4 章      天文機器資料館
第 5 章      天文台の現在

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