October 2011, Nikon Kenkyukai     1

20cm Telescope

国立天文台三鷹キャンパス

十月の空は快晴で、武蔵野の雑木林を歩くと天文台のドームが見えてきました。 宇宙の大きさは 10の 27乗メートルと有限で定義してしまうことの寂しさをかんじながらも、 ニコン研究会歴史的天文施設探索チームは、 国立天文台三鷹キャンパスで貴重な白い秋の午後を過ごしました。

国立天文台

いま、国立天文台の三鷹キャンパスが、すごいことになっているのをご存じでしょうか。 2008年 4月。国立天文台内にある歴史的価値のある観測・測定装置、写真乾板、 貴重書・古文書などの保存・整理・活用・公開を目的に、 天文情報センターにアーカイブ室が設置されました。

このアーカイブ室は、よくありがちな、受身で旧来からの資産を淡々と保っているのではなく、 実に想像を絶する熱情を持って、朽ちた建造物に分け入り人が入れるよう修復・磨き上げ、 廃棄されたも同然の観測機器類を発掘・復元し、 数々の貴重な資料を発見し価値を見出し収集しているのです。

総合研究大学院大学
物理科学研究科 天文科学専攻

ニコン研究会では、企業のアーカイブスの方々と情報交換し、 歴史的資産の残し方、継承の仕方、世間に知らしめるアピールの仕方等を議論してきましたが、 そのなかでも天文分野で常に話題にあがるのが、国立天文台アーカイブ室の行動派、 熱情のカタマリとも言うべき中桐正夫先生の近年のご活躍なのです。 「アーカイブス室新聞」は必見です。

三鷹キャンパスには国の重要文化財があります。 登録有形文化財に指定されている歴史的建物があります。 見学コースがあり、自由に歩いて実物を見てかんじることができるようになっています。 でもここで、ぜひ中桐先生にお会いして、 アーカイブ室の活動を自分の目で見て、話を聞いてみたい。

今回それが実現しました。もちろん、特別にご案内いただいたのは、 国立天文台天文情報センターの中桐正夫先生です。

国立天文台の中桐正夫先生

第一赤道儀室

森の中に凛とたたずむクラシックな第一赤道儀室

国立天文台三鷹に現存する建物として最も古い

大正十年(1921年)の建設

第一赤道儀室

太陽観測用 20センチ屈折赤道儀

太陽観測用 20cm屈折赤道儀
1927年ドイツのカール・ツァイス社製

対物レンズ口径 20cm、焦点距離 359cm

太陽写真儀はレンズ口径 10.5cm、焦点距離 150cm
1909年シュタインハイル社製

今でも現役で活躍している非常に優美なヴィンテージ・クラシック望遠鏡

動体保存により実際に動き観測が可能(太陽の黒点の観測デモ中)

速度調整機構付重釣錘式時計駆動方式

カール・ツァイス・イエナ

天文台の詫びと寂び

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 では次にいきます。   第 2 章  アインシュタイン塔

ショートカットはこちらからです。

第 0 章      トップページ
第 1 章      三鷹キャンパス
第 2 章      アインシュタイン塔
第 3 章      大赤道儀ドーム
第 4 章      天文機器資料館
第 5 章      天文台の現在

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