初代工業用マイクロレンズの美
Unshakable Confidence Sensitive to Detail Nikon Rayfact MJ 90mm F4 Technically Speaking Amazing Elegant Monster Lens
ブラックニコンに Rayfact ● レンズデータ 株式会社ニコン デジタルソリューションズ事業部発行の、 うつくしくかつ重厚な最新版製品カタログ「INDUSTRIAL LENSES Rayfact」から、 Nikon Rayfact MJ 90mm F4 の特長、得意な仕事分野、アピールポイントを確認してみた。 産業用マイクロレンズ Features
● 型式は 8種類 Nikon Rayfact MJ 90mm F4 レンズは、 カメラ用マウントとセットで販売するのを特徴としている。 以下の表に示すとおり、型式(かたしき)が 8種類存在する。
● テクニカルデータ Nikon Rayfact MJ 90mm F4 は、 カメラ用マウントに合わせて型式が 8種類。 光学性能は同じであるが、外観のサイズや質量が異なる。 ここでは、ニコンFマウントモデルの性能諸元を説明する。 使用倍率範囲は、-0.05x から -0.5x まで線形に可変であり、 ニコンの正式資料では、倍率別諸元値として、 律儀に、-0.05x、-0.1x、-0.2x、-0.3x、-0.4x、 そして -0.5x における各種性能諸元を開示している。 本記事では、両端の、-0.05x と -0.5x についてまとめた。
品名:Nikon Rayfact MJ 90mm F4
性能諸元一覧表の数値は、基本的には2023年現在の製品カタログに掲載されている数値を引用した。 ただし、全長と最大長は、図面に記載された数値を引用した。 バックフォーカスと質量は、製品新発売当時の2010年のカタログから引用した。 ● レンズ構成図 Nikon Rayfact シリーズは、 製品のカタログおよび一般にアクセスできる範囲のネットの情報下という条件においては、 レンズ構成図(レンズ断面図)が公開されていない。 何群何枚であるかのレンズ枚数に係る簡単な数値さえも公開されていない。
Nikon Rayfact MJ 90mm F4 は、1群 1枚かもしれないが、
前玉と後玉の分離が確認できるので 2枚は入っているようである。
なあんていじられては、ニコンもおもしろくないだろうから、
レンズは何群何枚ていどの性能諸元は公開しても問題ないと思うがどうなんだろう。
ひょっとしたら、ほんとうに 2群 2枚なのか。
Nikon Rayfact MJ 90mm F4のレンズ構成図(各部寸法入り)
電気モータードライブと Rayfact ● 前期型と後期型 まず、製品の名称で分けることができる。 2012年 2月に栃木ニコンからいただいた紙のカタログによると、 Nikon Rayfact MJ 90mm F4 は「工業用マイクロレンズ」と定義されている。 これを前期型としよう。 後期型は正確な時期は特定できないが現在の「産業用マイクロレンズ」と定義されるようになった。 こちらは後期型とする。 工業用から産業用に名称変更。これは大きな変更だ。 そもそも、工業は鉄。産業は絹である。 東京工業大学が東京産業大学だとどうもしまらない。 2023年 4月。 東京工業大学と東京医科歯科大学が統合されて 1法人 1大学となるステートメントが出た。 新大学名称は「東京科学大学(仮称)」とのこと。 東京科学大学。今どきにしてはかなり地味でベタではあるが、 東京ゲートウエイ国際卓越研究大学とかよりはマシだろう。 さて、前期型と後期型の話。さらに外観で大きく区別できる。 2012年の紙カタログによると、 「絞り目盛の絞り値は、指標のみで表示しております (数値での表示はしておりません)」との注意が宣言されている。 つまり、前期型は、絞り値を示す刻印が溝だけで数値が刻まれていない。 倍率を示す指標も溝が切ってあるだけで数値が刻まれていない。これが前期型。 では、後期型の外観。絞り目盛の絞り値は数字で刻印されている。 同じく倍率を示す指標にも数字が刻印されている。 おそらくはユーザーからの要望があったと思われる。 指標は、とくに絞り値は数字で明示された方が使いやすいし、設定の間違いがなくなる。 絞り値は数字でなく目印だけでも 4つあれば、F4、F5.6、F8、f11 と想像できる。 目印 4個× 3か所で、計 12個ある。 しかしながら、倍率を示す目印が 18個もあったら何がなんだかわからない。 目印 6個× 3か所で、計 18個ある。 やっていいコストダウンとやってはいけないコストダウンがあるのだ。 ● よけいな話 マニアはすぐに最初期型とか初期型とか前期型とか、 はたまたタイプ 1 とか 2とか 3とか、頼まれもしないのに分類したがるが、 頼まれもしないのに無償でよけいなことをするのがマニアの、 よく言えば在野の研究家の真骨頂なので大目に見ていただきたい。 さて、外観のことで一言。銘板がシールとは情けない。 いくらコンシューマー製品と違って、 装置に取り付けたら廃棄されるまでそのままで誰も見ないからと言ってはいけない。 立派なレンズの銘板である。せめて純金は金無垢のぶ厚いプレートをネジ 4本で取り付けるとか、 純度100%のプラチナ・インゴッドを削り出しで作っていただきたい。 レンズよりも銘板の方が高価になるくらいでちょうどよいのである。 なお、マイクロニッコールとマクロニッコールの存在性の議論は江戸時代からあったが、 産業用マイクロレンズと産業用マクロレンズが現存することは、 Rayfactの PDF版最新カタログがニコンのサイトからダウンロードできるので確認していただきたい。 確認したとこころで何の得にもならないが、 ニコンファンミーティングのクイズグランプリには、いずれこのあたりからの出題が見込まれるので、 対策は立てておいた方がよい。 ● カタログを語る Nikon Rayfact レンズシリーズは民生用ではない。 民生用の反意語は軍用と、長い間職業上の通年からそう理解していたが、 軍用ではなく産業用あるいは業務用と解釈するのがこの日本の一般社会ではなじむ。 民生用ならば、カメラレンズだったら大型量販店でも町のカメラ店でも店頭で購入できる。 ネット注文なら翌日届く。 産業用、業務用となると、 メーカーの営業部門や代理店を通して見積りを出してもらって、法人間の売買となる。 カタログはニコンのサイトから PDF版がダウンロードできる昨今ではあるが、 Nikon Rayfact レンズの紙に印刷されたカタログの入手は難しい。 そんな背景で、すこしばかり歴史的なカタログを紹介したい。 Nikon Rayfact レンズ最初の製品である、Rayfact 25mm F1.4 の最初期のカタログ。 当時国の研究機構で地球化学系の研究に従事していた若手研究者からいただいた。 科学研究用に手配し、観測装置に組み込んだという。 カタログの版数は TM2514B1-1 (0109-5) K となっている。0109 は 2001年 9月の可能性が高い。 カタログを入手したのは、2002年 9月。
資料提供:小栗一将 博士 PDFデータはこちらから。 >> Rayfact 25mm F1.4 pdf ● カタログも貴重な Rayfact Rayfact のカタログがなかなか入手できないでいた。 民生用(一般コンシューマー向け)ではないので、 街のカメラ店では対象外だし、ニコンのサービスセンターでも事情は同じだった。 2012年のことであるが、法人営業手配で、紙版のカタログを入手できた。 やはり紙は存在感がある。そして美しい。
2012年 2月に入手した紙版のカタログ この時入手した Nikon Rayfact MJ 90mm F4 の貴重な初期のペラ 1枚を紹介しよう。 カタログの版数は (1010-1-J01) となっている。1010 は 2010年10月の可能性が高い。 カタログを入手したのは、2012年 2月。 産業用ではなく工業用マイクロレンズと名乗っていることに注目。
PDFデータはこちらから。 >> Rayfact MJ 90mm F4 pdf ● 記事のご案内 すべての場面において、画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → 次はレンズの使い方。 第 3 章 Rayfact の使い方 ショートカットはこちらからです。
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