![]() トラディショナルな洋館の窓から大正時代のアカデミックな光が入る ● 大谷利勝博士と文化財保護の精神 特別レセプションは、まず会場となった旧古河邸本館の館内見学でスタートしました。 館内見学は、大谷美術館主任である坪井様のご案内で、 館内を丁寧に 1時間かけて優雅に見てまわりました。 さすがプロのキュレーターによる説明は興味深いものがあり、 1時間の館内見学は歴史的文化遺産に造詣の深い参加者に大好評でした。
![]() 特別レセプションの趣旨と大谷利勝博士を紹介する鈴木昭彦氏 館内見学が終了し、レセプション第一会場であるメインダイニングに着席しました。 秋山満夫から特別レセプションの概要と進行、さらにご来賓様が紹介されました。 続いて、 鈴木昭彦氏から旧古河邸本館でレセプションを開催する趣旨説明と、 今回の特別レセプションの開催にあたり、 格段のお取り計らいをいただいた大谷利勝博士が紹介されました。 大谷利勝博士。 昭和37年当時 日本政府の要請でホテルニューオータニを創設した大谷重工業社長 大谷米太郎氏の孫にあたる方です。大谷家御当主。 ご自宅は国の重要文化財である文京区は小石川の銅御殿(あかがねごてん)。 公益財団法人大谷美術館理事長。旧古河邸の管理者になります。 金属加工・機械工学の専門家で工学博士の学位を取得されています。 日本大学生産工学部学部長から日本大学副総長を歴任され、 現在は日本大学名誉教授に就任されています。 なおカメラにも非常に造詣が深く、ニコンのカメラとレンズを古くから愛用されています。
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大谷利勝博士からのお言葉
![]() 日本文化と日本人の誇りについて多角的なエピソードからダイナミックなご講演 大谷利勝博士のご講演は、 旧古河邸の修復・復元にかんする熱い取組みから、 文化財保護および日本文化と日本人の誇りについて 多角的なエピソードからダイナミックに語られました。 「いまここに優美な姿を保つ旧古河邸ですが、 以前は朽ちて廃墟のような状態だったのです。 古河邸は今から約百年前、 古河財閥三代目の古河虎之助が建築家のジョサイア・コンドル博士に依頼して建てた洋館です。 コンドルの名はご存じの方が多いと思いますが、明治から大正にかけて活躍し、 鹿鳴館、ニコライ堂、旧岩崎邸などの設計者として有名な英国人建築家です。 戦後、旧古河邸は、一時期東京都に無償で貸し出されたことがありました。 その間に大きく荒廃が進みました。 そんな大きくダメージを受けた建物を、7年間の歳月をかけて、 外から内から人の手によって元あった当時のままに修復・復元したのです。 多額の費用もかかりました。 このメインダインニングの天井の漆喰彫刻(一同上を見る)。 修復にあたり汚れを洗浄したところ、 林檎、葡萄などたくさんの果実の彫刻が白く蘇りました。 私の後ろ手にある暖炉。まわりの彫刻飾りは分厚い一枚板を彫り込んで作り上げてあります。 入り口上部の彫刻飾りも一枚板なのです。 照明のガラス製傘も壊され破損して使えない状態でしたが、 倉庫に建造当時の予備が保存されており、現在は当時のオリジナルが用いられています。 (ここで一同納得してうなずく) 壁紙の種類や絨毯の敷き方などは、 京都大学に戦時の焼失を免れて残っていた当時の旧図面・文献・写真を調査し、 当時に最も近い最適なものを復刻・復元して現在に至っています。 トラディショナルな窓ガラスは、 無残に割られていましたが、それでも部屋のごく一部にオリジナルが残っています。 現代の板ガラスは平坦ですが、当時の歴史的ガラスは表面が波打っているのが分かります。」 クラシックカーもクラシックカメラもオリジナルが大切なのです。 大谷利勝博士の文化財保護にかんする取組みのご講演はまだ続きました。 ご来賓の皆様をはじめ、 自費で文化財の収集と保護を行っているニコン研究会会員一同は、 しずかにご講演に聞き入ったのでした。 ご講演終了後には、大きな拍手が沸き起こりました。
![]() 大谷利勝博士の文化財保護にかんする熱い思いに感動
![]() 日本文化を再確認 ● 午後のお茶タイム 大谷利勝博士のご講演を拝聴し、ちょうど午後3時となった頃。 大谷利勝博士からお茶のご接待が入りました。 コーヒーはスペシャルブレンドの香り高いものです。 さらには大谷美術館の美しい女性スタッフからフレッシュな特製ケーキがサーブされました。
![]() 香り豊かに午後のお茶タイム
![]() 優雅に甘いケーキがサーブされました ケーキは大谷利勝博士のスペシャルセレクトの逸品です。 ビジネスでウィーンに毎月行き来している ご来賓のライカショップ・ジャパン総支配人小林まゆみ様の解説によりますと、 ウィーン王室御用達の名門老舗洋菓子店「デメル」のキルシュタルトとのことでした。 チョコレートにハプスブルク家の紋章が目印ということです。 キルシュヴァッサー漬けしたダークチェリーとサワーチェリーがジューシーかつ甘味がなんとも優雅で、 一同ありがたく黙々とおいしくいただきました。
![]() ウィーンのデメル特製キルシュタルト ● 記事のご案内 画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → では次にいきます。 第 3 章 ニコン後藤研究室 ショートカットはこちらからです。
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