EL Nikkor 210mm F5.6    3

EL ニッコール 210mm F5.6

ブリリアントな色彩世界

工業用ニッコールレンズらしく、ヌケのよいマイクロコントラスト特性に優れた 210ミリ長焦点レンズである。 ほんらいならば、5×7 インチ判、せめて、4×5 インチ判の大判写真機で撮影したいところだ。 35ミリライカ判フォーマットの小さい写真機で、 広大なイメージサークルの真ん中だけぜいたくに使って撮影してみた。

EL Nikkor 210mm F5.6,   ASA 200   F8   1/500 sec.   +0.3

EL ニッコール 210mm F5.6

EL Nikkor 210mm F5.6,   ASA 200   F8   1/1000 sec.   -0 +0

EL ニッコール 210mm F5.6

豊かなダイナミックレンジ

総天然色の再現性に優れているレンズだ。 眼でみたじじつと大幅に異なる派手で彩度の高い描写は写真には必要ない。 あくまで原音の再生に忠実であること。撮影者がブレなければ期待を裏切らない。

EL Nikkor 210mm F5.6,   ASA 1600   F8   1/400 sec.   -1.0

EL ニッコール 210mm F5.6

EL Nikkor 210mm F5.6,   ASA 400   F8   1/500 sec.   -1.0

EL ニッコール 210mm F5.6

昼の夜風

210ミリという焦点距離は、35mmライカ判フォーマットの画像面積でみると中堅の望遠レンズに入る。 本レンズによる撮影という行動様式は、遠くを拡大する普遍の行為ではなく、 身近な視界から何を切り取るか日常から離れた営為の話となる。

実際に撮影してみて色彩の立ち上がりがよいとかんじた。 タイトなアタック感。それでいてアグレッシブなスピード感に優れている。 エージングを重ねてきたレンズであるのにクリア感は現代の最高グレードのレンズと肩を並べる実力を秘めている。

レンズの評価はこのくらいの重力加速度で突き進んでほしいものだ。 意味不明のレンズポエムではないかと人は言う。 そんなに褒められてははずかしい。

EL Nikkor 210mm F5.6,   ASA 400   F8   1/500 sec.   -0.3

EL ニッコール 210mm F5.6

EL Nikkor 210mm F5.6,   ASA 400   F8   1/1600 sec.   -1.3

EL ニッコール 210mm F5.6

日曜写真家のゆるい装備

この撮影セットで秋の一日を歩いた。 ニコン PB-4 ベローズはきちんと重心のバランスを整えると意外と操作は軽快でスムーズだ。 ピント調整はヘリコイドではなく、顕微鏡の微動のようにノブを廻す作法。

EL ニッコール 210mm F5.6

オリンピックの競技を撮影する職業カメラマンではないし、事件現場に駆け付けるプレスでもない。 日曜写真家ならこんな装備でゆるく過ごすのもいいだろう。ふだんは仕事で忙しいんだから。 とうぜん連写はしない。それでよいことになっている。

若気の至り

1日 1枚写真を撮れば 1年 365コマだ。人生 100年。100年では 3万6,500コマとなる。 いまのカメラはシャッタースピード最高速度 3万2000分の1秒。 つまり人が 100年生きても全部通してわずか 1秒足らずで終わってしまうのだ。 なにか微妙なロジックだけどあまり深刻に計算しないほうがよい。

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