![]() EL ニッコール 75mm F4 見てのとおり小粒なレンズである。柿とくらべてこのサイズ。 34.5ミリ径の Nikon キャップ付き。 レンズよりこのキャップの方が市場では高い。 キャップを買ったらレンズが付いてきたという話もある。
![]() ニッコール 75mm レンズ サイズを比較するために、同じ焦点距離 75mm のニッコールレンズを 3本並べてみた。 前列左が旧型となる EL ニッコール 75mm F4。 右が新型の Nシリーズの EL ニッコール 75mm F4N。 後に控えているのは、FR ニッコール 75mm F1.0。 花川戸助六の江戸風呂敷の上に並べてもよかったのだが、レンズたちに敬意を払い、 エウクレイデス「原論(幾何学原本)」(Euclides, Elementa Geometrase) を書斎から引っ張り出してきて設えてみた。 1482年(室町時代の文明十四年)にベネチアから出版されたラテン語訳版である。 エウクレイデスって英語読みするとユークリッド。そう。それの古文書です。 ● テクニカルデータ EL Nikkor 75mm F4
−焦点距離: 75mm
−発売時期: 1972年 6月
![]() EL ニッコール 75mm F4 のレンズ構成図(各部寸法入り) ● ELニッコール 75mm F4 の立ち位置 新世代の ELニッコール Nシリーズ最初の製品が登場するのが 1979年 6月。 旧世代の ELニッコールが出揃っていた時代の後期に位置する 1977年12月の製品一覧を示す。 同カテゴリーの焦点距離のレンズ数本を前後に見てみると、 価格の点からも ELニッコール 75mm F4 は普及型として存在していたことが理解できる。
ニコン産業用レンズ標準小売価格表(1977年12月21日版)より
● なぜ 75ミリなのか 写真工業 昭和49年5月臨時増刊「ニコン・テクニカル・マニュアル」 のエル・ニッコールの全般的な説明記事より、75mm F4 の説明を以下に転載させていただいた。 著者は、日本光学の片桐文義氏・高橋正氏である。
![]() EL ニッコール 75mm F4 の説明 日本語文字の画像だけでは不都合な方のために、以下に日本語文字テキストに起こした。 ■エル・ニッコール 75mm F4 50mm F4 と同じテッサータイプである。 レンズ構成は 3群 4枚で、6 × 6 判専用の引き伸し用レンズとして作られたレンズであり、 開放絞りが F4 と引き伸し用レンズとしては明るく、ピント合わせが楽にできる。 周辺光量も十分にとれるよう設計されており、画像のすみまで一様な明るさが得られる。 そのうえ、原板の精密な像や明暗ディテールを忠実に再現できるよう配慮されている。 ネガサイズは、80mm⌀、6 × 6 判用である。 基準倍率は 5倍、標準使用倍率範囲は 2 〜 10倍で、やや低倍に重点が置かれている。 焦点距離が 75mm以上のレンズには、小絞りが F45まで付いている。 ● 販売の終了 EL ニッコール 75mm F4 の発売時期はニコンの社史(75年史、100年史)で 1972年 6月と確認できたが、販売の終了はいつだろうか。 1982年 4月 1日付けのニコン標準価格表(普通のカメラ店でもらえるもの) に 14,700円と掲載されているのを確認した。 同年、1982年 6月 1日付けの同価格表には、EL ニッコール 75mm F4 に代わって、 外観デザインも一新された新型の EL ニッコール 75mm 4N が 16,400円で登場していることを確認した。 よって、EL ニッコール 75mm F4 の販売の終了は 1982年 6月と言い切ってもよいと思える。 製品の販売期間はちょうど 10年間だ。 ● EL ニッコール 75mm F4 の使い方 EL ニッコール 75mm F4 のマウントは、極めて汎用性の高いライカL39スクリューマウントである。 さらに、フランジ・フォーカル・ディスタンス(フランジバック)が 63ミリと長いので、 かなり自由度が高い。 おそらく、どんなカメラにも市販のアダプターを使用して簡単にマウントできる。
![]() マウントアダプター 私が使っているセットを説明する。 まず、M42 to Nikon Z マウントアダプター。 そこに、M42 ヘリコイドを入れている。 この画像では、日本製のBORG OASIS M42 ヘリコイド(品番 7842)を入れているが、 現在では同様な海外製品が安価に入手可能だ。 フィルターはニコン純正の通称「銀枠」34.5ミリ L39 で正装してみた。
![]() Z 6 と EL ニッコール 75mm F4 ニコン Z 6 と EL ニッコール 75mm F4 のセット。 勢いで 34.5ミリ径のちっこいマウンテンフードも装着した。 基本はかなりコンパクトでプリミティブな撮影姿となる。 ● 記事のご案内 すべての場面において、画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → では実写にいきます。 第 2 章 ニコン Z 写真帖 1 ショートカットはこちらからです。
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