EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
● 無限遠からクローズアップまでシャープな描写 EL ニッコール 63mm F3.5 は、遠く望む風景の繊細な情感から、 肉眼では見えないような小さな被写体まで、 あらゆる距離にある精緻な造形美を捉えることができる。 ユーチューバーだったらおしゃれなカフェの流行のごはん写真から、 商業写真家においては惑星探査機搭載用の特殊工業部品の精密な記録を必要とする撮影に最適だろう。 私は工業用ニッコールレンズを使ったポエム調旦那芸写真家をめざしているので、 台風が接近した強風に揺れる青い稲を EL ニッコール 63mm F3.5 で記録した。
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 100 F8 1/125 sec. -0 +0
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/640 sec. -0 +0
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/500 sec. +0.3
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/400 sec. +0.3
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/400 sec. +0.3 ● 黄金色の稲穂 目に青い稲だったが、いつの間に秋の陽を浴びて収穫の時期が近づいてきた。 EL ニッコール 63mm F3.5 の精密な質感描写が、黄金色の稲穂の晴れ姿をよく捉えている。
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/2500 sec. +0.3
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/1000 sec. +0.7
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/1250 sec. +0.3
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/1000 sec. +0.7
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/1250 sec. +0.7
EL ニッコール 63mm F3.5
EL ニッコール 63mm F3.5 写真帖 2 は、この M42ヘリコイドを入れたセットで撮影した。 ヘリコイドを入れた方が近接撮影が容易になるし、やはり全体的に撮影がスムーズになる。 ● 秋の空気感と色彩 EL ニッコール 63mm F3.5 は、軽く小さなレンズなので、なにも考えずに俳句のように持ち歩ける。 昨日も今日もそして明日も存在しているはずの散歩道にレンズを向けた。 可視光線以外の栄養分を吸い込む特性を有するレンズなので、しゃきっとした映像を生成するのはもちろん、 並みの色彩が臨場感のある総天然色の映画シーンのように化けた。
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 200 F8 1/500 sec. +0.7
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/1250 sec. -0.7
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/1000 sec. -0.7
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 1600 F8 1/500 sec. -1.0
EL ニッコール 63mm F3.5
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/400 sec. +1.0 右下の葉の間から太陽光線が強く直接入っている。完全な逆光線である。 それなのに絵に破綻がない。 ご覧の通りフレアとかゴーストがまったく出ていないのである。 EL ニッコール 63mm F3.5 は 1966年に登場した製品だから、軽く半世紀以上昔のレンズだ。 最近の言葉だと、いわゆるオールドレンズと言える。 意図的にオールドレンズを使って、フレアとかゴーストを派手に盛りたい方にはおすすめできない。 本気の高性能レンズはこういう時に困る。べつに困らないか。
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/320 sec. +1.0
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 400 F8 1/400 sec. +1.7
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 800 F8 1/1000 sec. -0.7
EL Nikkor 63mm F3.5, ASA 800 F8 1/1250 sec. -1.0
EL ニッコール 63mm F3.5 ● レンズリバース作法 EL ニッコール 63mm F3.5 レンズを逆向き(逆さ)にしてカメラにマウントする方法を示す。
EL ニッコール 63mm F3.5 レンズを逆にして装着 ELニッコール用の純正オプションである 40.5mm - L39 リバースリングを、 レンズのフィルターネジ部に取り付ける。 先端はライカL39スクリューマウントのオスネジになるので、 そのままカメラ側のライカL39スクリューマウントのメスネジに装着。
52mmフィルター径を確保 リバースしたレンズの前玉(実際にはレンズのマウント部)が ライカL39スクリューマウント(オスネジ)のままなので、 L-F接続リングを取り付け、ニコン BR-3リングを入れて 52mmフィルター径を確保した。
ニコン L-F接続リングと BR-3リング この状態で、ニコン純正の 52mm径フィルターや 52mm径レンズフードが装着できる。 ● レンズ逆走の桜 なにやら本サイト以外では絶対に目にすることのない、日本語慣用句を無視した意味不明のタイトルであるが、 EL ニッコール 63mm F3.5 をリバースしてカメラに装着した。 日本語だとレンズを逆にして装着と言うのだろうが、リバースの方がわかりやすい。 じつは、ある時、とある宴会パーティーで、最後のシメのチャーハンか鍋に投入されたうどんを食べながら、 レンズ設計者の方から EL ニッコールで接写するなら、レンズをリバースした方が性能が出ます、 との話を聞いたので実践してみたのだった。
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
桜の樹の下
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
非常に素直な描写である。なによりも情感が写っている。 「桜ポエム感」がきちんと誠実に出ている。「桜逆走感」はない。 ニコン Z 6 による実写画像は、Jpegの撮って出し画像である。 エクタクローム64のようなリバーサルフィルムで撮影するのと同じ、 何も手を加えないクラシックな写真一発撮影作法だ。 それにしても EL ニッコール 63mm F3.5 の発色特性はエレガントだ。
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
ニコン BR-3 リングの使い方
EL Nikkor 63mm F3.5 Lens Reversed
EL ニッコール 63mm F3.5 をリバースして接写専用のセットにしたのだが、 試しに数メートル先のそこらの草っぱらを撮ってみた。 四隅が盛大に飛んでいる。 こういう効果を狙う撮影作法があるかもしれないが、 EL ニッコール 63mm F3.5 をリバースした時は接写のみにしたい。 ● おわりに ほんとうに EL ニッコール 63mm F3.5 はよいレンズなのか。 再び同じレンズを題材に新しい記事を書くにあたり、 20年以上前に書いた記事は見ないことにした。 素直にニコン Z 6 で実写してみた。 ちゃっちゃっと撮影してオーライと言うわけにはいかず、 幾つかの季節の中で、結局 3年間に渡り撮影を重ねて画像品質を確かめてみた。 撮影した結果はすべてエクセレントだった。 よいレンズの定義は人それぞれだ。 その上で、私はこのレンズはよいレンズと断言する。 気配や感情を写し込む基本機能を有する EL ニッコール 63mm F3.5 は、 可視光線の波長帯域を遥かに超えて、 自然界に微量に降りそそぐガンマ線を吸収しているような気がする。
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