Ultra Micro Nikkor 28mm F1.7e Sound of Surf Beach

海の音を聴くウルトラマイクロニッコール28mm F1.7e

旅のレンズ

旅行の友はカメラだった。
記念写真もよいし作品に挑戦するのもよし。
20代のころは、ニコン一眼レフのボデイ2台に交換レンズ3本が定番だった。
これに8ミリムービーフィルムカメラにハロゲン照明、 そしてカセットテープ式の録音機を入れて出かけたものだ。

さすがに今はできない。
旅行のカメラ機材はシンプルを極めることになる。
ニコンFに28ミリ付けたの1台きりから、さらに削り落として、 フジのティアラ1台きりが最高記録である。
しかし、多少なりとも非日常から離れることが旅の目的であれば コンパクトカメラ1台ではさびしい。 ライカ1台というのもストイックな、それでいて少々スノッブな思想をかんじられるので、 これも難しい。
かんたんカメラ1台のときは、私はなにも機能しないレンズを携帯している。
夏の家族旅行には、ウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eを持っていった。

JR在来線特急のゆるい旅

海は夏なので、伊豆は晴れている。
晴れている空の下、ライフセーバーのたくましく日焼けした青年をバックに、 時代のスーパーハイエンドレンズは、ますます先鋭な波長を光合成した。

しかし、世界広しといえども、海水浴客でにぎわう海岸で、 ウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eはないだろう。
手にレンズを持ち、背景との調和をみながら、 レンズの写真を撮っている姿は少々ブキミだ。
しかし、ブキミを気にしているようでは、この道は行けない。

海という季節の背景に、 半導体製造装置用極超高解像度レンズを置くというシュールな展開を構成していたら、 高校生のころ読んだアンドレ・ブルトンの「超現実主義宣言」の内容は忘れたけれど、 背伸びしたい年頃の、なんともカッコわるくて未完成な感動を思い出した。
夏は完成していないほうがよい。

ここは南仏ニースのプライベートビーチ、ではない
海の家にラーメンは日本の風景

海にウルトラマイクロニッコールがそもそも

ジャパン食文化

海水浴場からの素朴な乾いた道を歩く。木陰には海からの涼風が抜ける。
海の家ビジネスのおじさんたちが忙しそうに食材を運んでいる。
日傘のおばさんは日本の風景になっている。
さて、海遊びから帰ると、たのしみは露天風呂にビールが待っている。

海水浴場からの帰り道

温泉湯上り夏ビール

露天風呂から上り、この世界の正装である浴衣に着替えて席につく。
刺身の盛り合わせにレンズを置いてみた。
家族旅行である。
しかし、刺身にレンズという状況であっても、家族はとくに反応しない。
「お父さんが刺身にレンズを置いている」だけのことなのだ。
この状況もかなりシュールではあるが、家族には慣れがある。
家族の協力がないと趣味は成立しないが、慣れも重要なことだ。

先付にウルトラマイクロニッコール

もう1つこの写真の意味には国際化という観点もある。
本サイトは英語版も用意してある。
英語圏の人々向けというよりは、非日本語圏の方を対象にしてある。
私はメイドインジャパンにこだわりたい。
刺身の船盛りで日本文化をアピール(じまん)したいのだ。
ウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eだってうれしそうだ。

ローフィッシュ、スシが好きだというニューヨークのスティーブもこのサイトを見ている。
ニッコールレンズの話題でいきなり刺身が出てくる。
パソコンを開いて、なんてこった、と笑う人が1人でもいればよい。
2日目の夜は、アジの刺身を食べさせてもらったが、これは非常においしかった。
撮影するのを忘れてしまったのが残念。

刺身の船盛りにウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eがある風景

コレクターズノート

ウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eは、はっきり言ってコレクターズアイテムだ。
ハイエンド写真家あるいはスーパーコレクターのために、お役立ち情報をまとめておこう。

レンズマウント:
汎用性の高いライカスクリューマウントだ。
レンズはリバースしてカメラに取り付けるので、 レンズマウント側がフロントになる。L-Fアダプタを使うことで ニコンの汎用レンズフードが装着可能。

フィルター径:
ごく普通の40.5mmである。
ケンコー製ほかふつうの40.5mm径フィルターが装着可能。
ニコン製だとピタリとフィットする。
スーパーマニヤの方であれば、オリジナル、専用の40.5mm径e線フィルターを探したいが、 これは激レアというか絶滅した可能性が高い。

鏡胴:
ブラックシリンダー。
非常に上等な塗料による禅ブラック色塗装。
1本づつ金属削り出し手作り加工の逸品。
見た目よりズシリと重くかんじる。

カメラへの装着方法:
レンズをリバースし、フィルターネジ側に40.5ミリアダプターを取り付ける。
(詳しくは "Ultra Micro Nikkor Operation" を参照してほしい。)
このアダプターは片方が40.5mmのオスネジ、もう片方が39mmライカスクリューオスネジだ。
ライカスクリューネジ側をL-Fアダプタを介することで、 簡単にニコン一眼レフに装着できる。
もちろん、ライカスクリューマウントを持ったマウントアダプターであれば、 ミランダでもアルパでもハッセルにも装着可能だ。

フィルターネジ径は40.5ミリ

L39ライカスクリューマウント

テクニカルデータ

ウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eのオリジナル性能をみてみよう。

−焦点距離: 28.7mm
−最小絞り: F1.7(開放F1.7固定)
−レンズ構成: 8群10枚
−基準倍率: 1/10X
−画角: 14度30分
−色収差補正波長域: 546.1nm(e-line)
−歪曲収差: -0.005%
−解像力: 700本/mm (8mmφ), 800本/mm (6mmφ)
−画像サイズ: 8mmφ
−原稿サイズ: 80mmφ
−基準倍率における原稿から画像までの距離: 315mm
−重量: 465g

歪曲収差が -0.005% というのは性能限界に近い。
もちろん解像度800本/mmは、驚愕ものである。
海岸線の岩場にレンズを置くと、黒鏡胴に赤い瞳は遠いむこうを見た。

禅ブラックに赤い瞳のウルトラマイクロニッコール28mm F1.7e

2016年の追記

ここまでのコンテンツは2002年8月当時のものです。
時の話題もいまとなっては古くなってしまいました。昨今ではあまり耳にしない話題も書いてあります。 でも時代の理解のために、そのままにしておきました。
2016年の見直しにあたり、当時撮影した画像を少し追加してみました。

なお、2002年当時ではニコンから40.5mmのフィルターが販売されていませんでしたが、 その後、2011年にNikon 1 J1が発売になった時に最新の40.5mmのフィルターが新製品リリースされました。 「40.5mmネジ込み式フィルター 40.5NC」です。
フィルター径40.5mm(P=0.5mm)。 これは一部の産業用/工業用ニッコールレンズのプロテクトフィルターとしてピッタリです。
このフィルターはお薦めのアイテムです。こちらで 詳しい説明をご覧ください

画像ギャラリー

2016年の見直しにあたり、その後に撮りためたウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eの姿画像を公開します。 避暑地は夏木立の涼しげな片すみに置いてみました。 レンズ前玉の凹面と赤いコーティングがみどりの背景に映り、いい雰囲気出ています。

避暑地のウルトラマイクロニッコール28mm F1.7e

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