Printing Nikkor 105mm F2.8 Far Eastern Traditional Weekend

極東のジャパネスク・クラシックに佇む

ファー・イースタン・トラディショナル・ウイークエンド

プリンティングニッコール105mm F2.8レンズの情況的姿写真撮影のために、 日本の3大クラシックホテルは極東のジャパネスク・クラシック、 箱根宮ノ下の富士屋ホテルで2泊3日のロケを敢行した。
箱根宮ノ下の富士屋ホテルといえば、明治11年(1878年)創業、 全館が博物館のような日本を代表するクラシックなリゾート・ホテルである。

箱根登山鉄道「宮ノ下駅」 (撮影年は2004年8月)

箱根宮ノ下の富士屋ホテル

ホテル敷地内の温室もある植物園

トラディショナルなロビー玄関前、オリエンタル調サンルーム、 メインダイニングの前庭、資料室の蔵書庫、飛行機旅行の古い案内書の上に、 いま現代も最高の超精細画像ソリューション・レンズとして君臨する プリンティングニッコール105mm F2.8を配置してみた。
ピタリと情景に収まったのは、さすがレンズの格である。
ホテルの景色のよい撮影ポイントにレンズを置き、 プリンティングニッコール105mm F2.8について話をしてみたい。

オリエンタル調サンルームには東洋趣味の植物コレクション

プリンティングニッコール105mm F2.8

昭和43年(1968年)。プリンティングニッコールは、ごく限られた世界で登場した。
75mm F2.8、95mm F2.8、105mm F2.8、150mm F2.8の4本である。
すでに プリンティングニッコール150mm F2.8 をコレクションしていたが、レンズは友をよぶものであり、 同じようなかたちをしてそままスケールダウンした プリンティングニッコール105mm F2.8を保護することができた。
このサイトをご覧の方ならご存知だと思うが、 プリンティングニッコール・シリーズは、 劇場映画フィルムのオプチカルプリント専用の 完全無収差超高級アポクロマートレンズである。

日本のクラシックホテルの静かな午後

完全無収差と完全色収差除去

劇場映画用フィルムの拡大率は非常に大きい。
なんといっても大きな劇場スクリーンへの投影が目的だ。
とうぜん劇場映画用フィルムのプリントは、 完全無収差と完全色収差除去が必要条件となる。
ごくわずかな色のにじみさえも無い超高性能マクロレンズが、 プリンティングニッコールシリーズなのである。
もちろん、極限の高解像度と歪曲収差・色収差の完全除去を実現しているわけであるから、 世間はほっておいてくれない。
産業用分野、ことに超高精度画像計測レンズとして、 いまも現役(注)のスーパーレンズなのである。
現行製品で唯一のアポクロマートレンズであること、 そして歪曲収差が基準倍率で完全な無収差(ゼロパーセント)である点が、 このお化けレンズの存在理由だ。
ニコンも企業向けの製品カタログで、地味ながら控えめに次のように紹介している。

映画フィルムのオプチカルプリント用として開発したレンズですが、 産業分野における微細なパターンの検査・計測などの高精細画像の撮像用に最適です。
独特のレンズ構成によって諸収差を厳しく補正し、 特に色収差については最良の補正がなされたアポクロマートとなっています。
歪曲収差は、基準倍率で完全な無収差(0%)となっています。

(注)いまも現役
2016年現在、株式会社栃木ニコンから、 「ラインセンサ用高性能レンズ Nikon Rayfact」として現在もリリースされている。 ちなみにプリンティングニッコール105mm F2.8と仕様的に近い製品のおおよその価格は以下のとおり。
Nikon Rayfact 1.75倍  (100.2mm F2.8)  型式 L-OFM18113MN 132万円
Nikon Rayfact 1倍      (104.5mm F2.8)  型式 OFM10090MN      63万円

資料室の蔵書庫には古い洋書のコレクション

驚愕のハイエンドレンズ

プリンティングニッコールはこのサイトで画像を公開している第一世代と、 鏡胴デザインがシンプルとなり軽量化が図られた第二世代のレンズがある。
第一世代の詳しい仕様が掲載された資料が手元にないので、 この点が明確な第二世代のレンズから性能を探ってみたい。
非常に高い解像力と、無欠の歪曲収差には驚愕するしかない。

午後に日本庭園を散策する

箱根の山を背景に夏草の上

白い洋館の先にはティーラウンジの裏庭

Printing Nikkor 105mm F2.8A

−焦点距離: 103.9mm
−最小絞り: F11
−レンズ構成: 6群14枚
−基準倍率: 1/1X
−画角: 16度 25分
−色収差補正波長域: 400nm〜800nm
−歪曲収差: 0.0000000000%(1/1X)
−解像力: 240本/mm(中心、1/1X)、180本/mm(60mmφ、1/1X)
−画像サイズ: 60mmφ
−原稿サイズ: 60mmφ
−基準倍率における原稿から画像までの距離: 388mm
−重量: 375g
−価格: 550,000円(受注生産、1994.04.01)

資料室には古い航空機旅行時代の貴重な案内書コレクション

避暑地の夏の夕食

1978年夏。ジョン・レノン一家は、富士屋ホテルのフラワー・パレスに長く滞在したという。
3階の352 Chrysanthemum(菊)は1泊11万円のスイートだ。
登録有形文化財の各館をむすぶ紅色の絨毯の長い廊下には、 歴史的写真が展示されている。
いちばん新しい古い写真が、セピア色した音楽家一家のスナップである。

そろそろ夏の夕食の時間

メインダイニング

アルベルト・アインスタイン博士が、ヘレン・ケラーが、三島由紀夫が、 そしてジョン・レノン一家が夏の夕食をたのしんだメインダイニングに、 私はプリンティングニッコール105mm F2.8を置いた。 大倉陶園の藍淡く岡染め付けフジヤマ景色には、 時代の極超高解像度無収差レンズが似合う。 ヒグラシ聞こえて、箱根の山涼し。E=mc²

青いフジヤマ景色を眺める夏の夕食のはじまり

冷涼な前菜

メインレンズ

冷たいデザート

-------------------------

撮影場所:箱根・宮ノ下 富士屋ホテル
Special Thanks to the Fujiya Hotel, Miyanoshita Hakone, Japan

本コンテンツの画像は、箱根・宮ノ下の富士屋ホテルで撮影したものです。
ホテル内および外観を含む写真をウェブサイトへ掲載するにあたり、 富士屋ホテル宿泊課様の許可承諾を得ています。

2016年の追記

このコンテンツは2004年8月に書いたものです。
当時のコンテンツでは画像を数枚のみ掲載していましたが、 2016年の見直しにあたり、ストーリーの内容に合わせて、 当時に撮影した画像を追加しました。
追加した分も古い時代のデジタルカメラの画像のため、 ウェブに掲載するには今となっては画像が小さく品質もあまりよくないのですが、 当時の雰囲気や気分がよく出ているのでそのまま使いました。

さらに、2016年の見直しでは、プリンティングニッコール105mm F2.8による撮影の方法を説明し、 実際の撮影画像を示すことにしました。

プリンティングニッコール105mm F2.8による撮影の方法

このレンズをどのようにしてカメラに装着するか。しばらく悩みました。
市販されている各種アダプタリングで試してみましたが、 いくら探してもねじマウントのねじ径(45mm P=0.75)が合わない。 入手しやすいニコンのKリングにねじ込もうとするとブカブカ。
ある時ひらめいて、レンズのねじマウントのねじ径を大きくする変換リングを入れれば、 Kリングにピタリと収まるのではないかと思いつきました。 機械設計の専門家に協力してもらい工場図面を作り、 プリンティング・ニッコールを精度高くFマウントにするアダプターを特注しました。

ご覧のとおり、Kリングのメスねじとレンズのマウントねじはサイズが異なりますが、 レンズのねじ径をかさ上げして大きくし、 Kリングのメスねじに合うように設計したアダプターです。
航空エアロパーツ用最高級ジュラルミンをブロックから削り出しで製造してもらいました。 純国産の日本製です。 アダプターにはスリット溝が切ってありますので、きつく締めることもできますし、 容易に外すこともできます。
試作1ロット分の10個を製作し、 「どのようにカメラに装着しているのか」等のお問合せのあった方にご紹介し、 希望された方に実費(1個3,000円)でお分けしました。

プリンティングニッコール105mm F2.8をFマウントにする

プリンティングニッコール105mm F2.8による実写

焦点距離が105mmのレンズとなると十分に遠景(いわゆる無限遠)の撮影も可能です。 しかしながら、いろいろと試してみましたが、やはり、もともとのレンズ設計思想に準拠した、 近距離での撮影に高性能を発揮します。
四季を通して持ち歩くことの多いこのレンズですが、 日没後の夕刻のごく少ない光量での撮影から、 太陽を順光に浴びて輝く被写体も、大きく受け入れてくれます。 色収差はまったく見い出せず皆無です。

実写画像をクリックすると少し大き目のサイズの画像が出ます。

日没後に蛍光体のように青白く光るコスモス

野に咲き誇る山吹色のコスモスの群生

盛夏の葉っぱは生きているかんじがする

プリンティングニッコール105mm F2.8で撮影している姿

超絶的に美しい若い彼岸花と目が合った

生命体としての彼岸花は赤く躍動的だ

春寒い静かな桜に風の音が聞こえる

ブリリアントな桜の元気な朝に日本晴れ

Back to RED BOOK NIKKOR


Copyright Akiyama Michio, Tokyo Japan 2004, 2016