Red Paint SPICA Binoculars

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Nippon Kogaku Tokyo SPICA 3.5X Red Paint Binoculars
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

赤い双眼鏡

特殊用途ニッコールレンズのコレクションではないが、 珍しい双眼鏡の話題を紹介したい。 米国の商業写真家のマーチン・フォックス氏のヴィンテージ・ニコンコレクションだ。 マーチンさんは、長い間ニコンユーザーであり、また当サイト「RED BOOK NIKKOR」を支持いただいている。

大東亜戦争が終わった直後の昭和20年12月、オペラグラス・スピカは日本光学から発売された。 軍用双眼鏡仕様のスピカは、小型でありながらシンプルな構造に加えて、 しっかりした光学系のおかげで非常に鮮鋭な映像を得ることができる 基本性能が優れた光学兵器である。 ほかの軍用双眼鏡と同様に、黒い重厚な塗装の仕上げとなっていた。

マーチンさんの所有するスピカは、赤い塗装のモデルである。 じつは、マーチンさんから赤いスピカを秘蔵していると連絡を受けたとき、 画像を見るまではあやしげな後塗りしたフェイクかもしれないと思っていた。 しかしながら、届いた精密に撮影された画像を見ると、 黒塗装の地肌に後塗りしたものではなく、塗装の経年変化からみても、 当時のオリジナルと考えるのが素直だと思った。

古い「日本光斈 NIKKO」の刻印に注目
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

ディープな双眼鏡マニヤの間でもほとんど知られていないことだが、 古い日本光学製の双眼鏡には、赤塗装モデルが実存している。 赤色塗装モデルの古いミクロン6倍双眼鏡である。 株式会社ニコンは大井製作所のウエストビル。 ロビーのガラスケースの中に、初代のJOICO顕微鏡やウルトラマイクロニッコール155mm F4と並んで、 この赤いミクロン・オールドモデルが公式収蔵されているのを見たことがある。 大正11年(1922年)製のプロトタイプらしいが、赤いミクロンなのである。 現存する実物は経年変化で赤茶色となっていたが、 製造当時は鮮烈な深緋(こきひ)色だったと信じたい。

スピカは戦後すぐに造られた軍用仕様の民生用双眼鏡(オペラグラス)であるが、 進駐軍の購入仕様に従って、カラーモデルが生産されたのかもしれない。 緑色塗装のスピカは、2008年にカナダで開催されたNHSコンベションで、 米国のコレクターが現物をプレゼンテーション展示している。

マーチン・フォックス氏からメッセージをいただいているので、画像と共にご覧ください。 画像はすべて、マーチンさんのプロフェッショナルワークで撮影されている。 使用機材も文末に掲載しているので参考にしてほしい。 画像部分をクリックすると大きいサイズの画像を表示する。 なお、スピカの赤い塗装の双眼鏡について、情報をお持ちの方はご連絡いただきたい。

マーチン・フォックス氏からのメッセージ

Hello Michio,

Thank you very much for allowing me to have a page on your website.
I am VERY honored to be featured with this page ! I am VERY excited and happy to be part of the "Red Book Nikkor" !!!

Here is the story about the little red Nikko "SPICA" binoculars. And some background on myself and my beautiful wife Sallye.

I found these red Nikko SPICA binoculars about five years ago on eBay. They were listed for auction with a larger pair of 7X50 Nikkos that I was also bidding on. The photos of the red SPICA were very small and rather dark but I could still make out the Nikko logo. They were advertised as "children's binoculars" which we know is not true. We now know that they are extremely well made center focus Galilean type glasses made by Nippon Kogaku.

They are fairly rare and hard to find in the standard black. The red color is extremely rare and never seen before. You can tell that they have not been re-painted as when the glasses were disassembled for cleaning the red paint shows up on the internal edges of the lens groups and elsewhere inside. The collimation on these binoculars is perfect and the view through them is unbelievably sharp and contrasty especially for their vintage.

I am pro photographer of many years working with my wife, Sallye who is an award winning photo-stylist. We are now mainly shooting architectural editorial assignments and beautiful art objects.

I have been collecting cameras and other optical devices for the past 35 years. We still maintain a nice collection of Nippon Kogaku items but alas we have sold our Nikon SP cameras and a beautiful Nikon Reflex housing outfit a MINT Nikon M and some other very rare and beautiful Nippon Kogaku items. We still have our Nikon S and S-2 with lenses, a like new black Nikon F- FTN with the Fast 55/1.2 which has the original box and manuals plus other Nikon F cameras.

We also have a nice collection of Nikko and Nikon binoculars which includes a rare pair of Japanese Imperial Navy 7X50 Nikko glasses with the Kanji. Of course we have and still use Nikon digital & film cameras and lenses.

I would like to thank Mr. Michio Akiyama for creating and maintaining the beautiful "Red Book Nikkor" website and for allowing us to be a part of it.

With Warmest Regards,
Martin Fox

日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(接眼部)
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(対物レンズ側)
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(レンズブロック)
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(トップから)
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(真上から)
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(美しい光学機器)
Photo: Copyright (c) 2008, Martin Fox, All Rights Reserved.

Special Thanks to Mr. Martin Fox
All photos by Martin Fox, Copyright (c) 2008, All Rights Reserved.

すべての画像は、フジFinepix S-3 Proに、古い1980年代のマイクロニッコール55mm F2.8を使用して、 マーチン・フォックス氏が撮影したものです。転載および二次利用をお断りします。

このコンテンツの共同製作にあたり、 多数の画像並びにメッセージを提供いただきました 米国の商業写真家マーチン・フォックス氏に感謝いたします。
ありがとうございました。 秋山満夫

写真家・中村文夫先生からの情報

「赤いスピカの情報をお持ちの方はご連絡ください」と、 本ページでお願いを書いておいたところ、 1か月後に、なんとあの写真家の中村文夫先生から直接連絡が届いた。

中村文夫氏のお話によると、赤いスピカの現物をお持ちで手元にあるという。 由緒をお聞きしたところ、赤いスピカは終戦直後、 外務省に勤めていた伯父さんがPXで手に入れたらしいとのこと。 中村さんが子供の頃はオモチャにして遊んでいたという。 マーチン・フォックス氏のコレクションとは、 ピント調整ノブの止めネジの形状が違っていることがわかる。 カニ目で締める造りの方が手間がかかるので、 おそらく中村さんの赤いスピカは、 マーチン・フォックス氏のコレクションよりも、さらに古い時代のものと思われる。

日本カメラ博物館で開催されたニコン展(2003年10月28日〜2004年3月21日)では、 初期のニコン製品のコーナーで、中村さんの赤のいスピカが陳列されていた。 ただし、会期途中からの展示だったため、キャプションが用意できず、 気付かなかった方が多かったようです。

それにしても、現代では重要工業骨董品である赤いスピカを、 オモチャにして遊んでいたとは豪快な話である。 中村文夫氏から、画像の掲載についてご承諾をいただいたので、ご覧いただきたい。

中村文夫氏の日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(接眼部)
Photo: Copyright (c) 2008, Fumio Nakamura, All Rights Reserved.

中村文夫氏の日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(対物レンズ側)
Photo: Copyright (c) 2008, Fumio Nakamura, All Rights Reserved.

中村文夫氏の日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(上面から)
Photo: Copyright (c) 2008, Fumio Nakamura, All Rights Reserved.

中村文夫氏の日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル(日本光斈ロゴ)
Photo: Copyright (c) 2008, Fumio Nakamura, All Rights Reserved.

中村文夫氏の日本光学製スピカ3.5X双眼鏡赤塗装モデル
Photo: Copyright (c) 2008, Fumio Nakamura, All Rights Reserved.

後半の画像は、写真家の中村文夫氏が撮影したものです。 転載および二次利用をお断りします。 このコンテンツの共同製作にあたり、 多数の画像並びにメッセージを提供いただきました写真家の中村文夫氏に感謝いたします。
ありがとうございました。 秋山満夫

Special Thanks to Mr. Fumio Nakamura
All photos by Fumio Nakamura, Copyright (c) 2008, All Rights Reserved.

2021年のあとがき

このコンテンツのオリジナルは2008年11月に公開したものです。 プラスチックの赤ではなく、金属製ボディに赤い塗装で仕上げた小型双眼鏡は、いま見ても新鮮です。 販売された当時の鮮烈な深緋(こきひ)色が想像できます。 戦後すぐの製品です。 しかも当時の日本人の感覚だと赤い双眼鏡は有り得ません。 つい昨日まで光学兵器だったわけですから。 中村さんのお話から、進駐軍向けのおみやげにPXでのみ販売されていたと推測します。

記事のご案内

 では次の話題に行きましょう。   第 2 章  マーチンさんのロケットニッコール

ショートカットはこちらからです。

第 0 章      トップページ
第 1 章      マーチンさんの赤いスピカ双眼鏡
第 2 章      マーチンさんのロケットニッコール

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