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The Fax Ortho Nikkor 400mm F5.6 Daimajin
● 真夏の大魔神
世界的に稀少な絶滅危惧危急種レンズ、
大魔神(Fax Ortho Nikkor 400mm)を大型写真機に搭載して、
実写が成功したレポートは、
当サイトで紹介
した。 まずは、夏の撮影作法を見ていただこう。 巨大なレンズによる撮影は、やや怪しいようであるが、 大型写真機に冠布をかぶり、暑さに耐えて撮影するお姿を拝見すると、 ただ尊敬してしまう。
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すこしあやしい気もしますが気のせいかもしれません(正しい大判撮影作法)
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たぶんあやしい人ではないと思いますが(機材の搬入中)
● 驚愕の大魔神弩級性能 大魔神こと、ファックス・オルソ・ニッコール400mm F5.6は、 大型タンカーなど、造船用の鋼板罫書装置に搭載された工業用ニッコールレンズだ。 性能緒元は ここを見て いただくとして、さて、実写画像を見ていただこう。 4×5判ポジによる迫力の画像。画像はクリックすると、大きめのサイズの画像を表示します。
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作品1.烏丸半島の蓮花 F22 1/8秒
作品2.蓮花 左:F5.6 1/60秒 右:F22 1/4秒
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作品3.蓮の開花 F5.6 1/60秒
● ワイドアングル・アポニッコール360mm F9登場 産業用レンズの入門として、ひかくてき入手しやすいのが、 APOニッコールである。 写真製版用として印刷業務で使われていたので、市場でもよく見かける。 しかしながら、W. A. APOニッコール(ワイドアングル・アポニッコール)となると、 事情は違ってくる。 とくに焦点距離の長い、ワイドアングル・アポニッコール360mm F9は稀少だ。 当時の価格が、通常のアポニッコール360mm F9の3倍だった。 なにをもって3倍の価格設定だったか、詳細の裏づけエビデンスは持っていないが、 大幅な性能アップが意図されたようである。 神戸市の堤さんが、ワイドアングル・アポニッコール360mm F9を捕獲された。 堤さんは、レンズ収集家で、世界の個性的レンズを集めている。 今回は神戸市の堤さん所有のワイドアングル・アポニッコール360mm F9を使い、 藤本さんがジナーS型写真システムで実写を敢行したので、レポートする。
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Fujimoto and the Wide Angle APO Nikkor 360mm F9
レンズに付属の座金を利用してジナーSにマウント加工
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ジナーSシステムで撮影中の藤本さん
● ワイドアングルアポニッコールの繊細な写り 本物のアポレンズの描写を見ていただこう。 繊細かつ華麗、そして、どこか可憐な線を引き出す能力がある。 色彩は、産業用アポレンズの余裕のパワーで、自然かつ生きている被写体の表情を結像する。 オリジナルの4×5ポジは、ため息が出るほど詩情にあふれた、超リアルな細密描写だった。
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作品1.下の作例の部分を切り取った映像
作品2.水面に写る蓮の花 左:F9 1/60秒 右:F22 1/8秒
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夏景色にはワイドアングルアポニッコール360mm F9
この記事は好評だった大魔神の続編である。 造船産業で使われてきたファックス・オルソ・ニッコール400mm F5.6。 関西在住の稀少レンズ愛好家、藤本さん兄弟の手により、 スイスの大型ビューカメラ、ジナーSに搭載して高品質の写真が撮影された。 真夏のロケは滋賀県の烏丸半島。華麗な蓮の撮影。 また今回は、神戸の堤さんが所有するワイドアングル・アポニッコール360mm F9を、 藤本さんが実写し性能検証を行った。 4×5判商用カメラによるこれらのレンズによる撮影は、世界でも例のない快挙である。 幻の工業用ニッコールレンズが現代によみがえった。 その線の細い繊細な描写と、豊かなダイナミックレンジを持つ色彩、比類なき映像表現力を実感していただきたい。 ---------- この記事の掲載にあたり、 多数の画像を提供いただきました関西在住の藤本氏ご兄弟に感謝いたします。 ありがとうございました。 ● 2020年のあとがき このコンテンツのオリジナルは2006年8月に公開したものです。 2016年のサイト移転に伴う見直しで画像品質が向上するように再調整しました。 2020年にはすべての画像について、クリックすると大き目のサイズの画像を表示するようにしました。
Copyright Michio Akiyama, Tokyo Japan 2006, 2020
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