EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F5.6 1/1600 sec. -0.3 そろそろきせつなので、EL ニッコール 135mm F5.6A のパワーを全開にしてみよう。 ゼットエンジンがふだんの情景のゆらぎを静止した。 ファインダーに浮かび上がる映像からして地上の磁場を励起して加速してくる。 こんな色彩見たことがない。
EL Nikkor 135mm F5.6A ● 秋好日 光線の状態がきょうはよい。 こんな日には、誰も評価しない地味なレンズを両手に抱えて、せめて赤い秋の日常に置いてみたい。
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/1600 sec. -0.3
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/1250 sec. -0.7
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/2500 sec. -0.7
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/1600 sec. -1.0 基本性能が優れたレンズの典型的な写り。 多くは言及しないが、空気はもちろん、ご覧のとおり気配までも写し取る。 その先には五次方程式がある。
EL Nikkor 135mm F5.6A ● 記憶装置の黄昏 精密な事実の定着よりも、心像描写といってはアバウトすぎるが、 なにか意識の底の、おもいのようなものが写る気がする。
EL Nikkor 135mm F5.6A
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/1600 sec. -1.7
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/1250 sec. -1.0 ああ、この色彩は明治時代に生きていた頃に見た記憶がある。 でないと、こんななんでもない絵を、写真構図まるで無視して撮るわけがない。 撮影者は私のはずだが、ここでシャッターを押したのはいまの私ではない。 普遍的な無意識によるものだ。
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/640 sec. -2.0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/2500 sec. -0.7
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/640 sec. -1.0
EL Nikkor 135mm F5.6A
EL Nikkor 135mm F5.6A 昭和30年代の、それも東京オリンピック1964の前の、 昭和35年前後の広告写真のようなアートディレクション。 赤とオレンジ色の背景に、黒い商品が目立つ。 昭和のモダンデザインは日本独自のものであり、日本近代文学のような品格がある。 ● 晩秋多摩川
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/4000 sec. +0.3 無限遠テストのための定点ポイント。晩秋の京王線多摩川橋梁。 川面に浮かぶゴムボートは川遊びではなく、国土交通省の職員の方。 川底から水深を計測しているようだった。 このあと大規模な河川改良工事が始った。 レンズの試写のためにこの定点に幾度となく立つようになって、 日々寡黙に真面目に働く人たちに気付いた。
EL Nikkor 135mm F5.6A
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/5000 sec. -0 +0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/6400 sec. -0 +0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/5000 sec. -0 +0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/5000 sec. -0 +0
EL Nikkor 135mm F5.6A ● そして桜の。 きせつはまた平穏無事に振り出しにもどる。 桜がさらさらと風に泳いでいる。桜東風から桜まじ。 日本は桜ではじまる。 EL ニッコール 135mm F5.6A は桜に強い。 淡い微妙な桜餅のような色彩をよく表現してくれる。
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/800 sec. +1.7
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/400 sec. +2.0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/1000 sec. -0 +0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 1600 F8 1/1000 sec. +1.0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 1600 F8 1/1250 sec. -0 +0
EL Nikkor 135mm F5.6A, ASA 800 F8 1/1000 sec. +1.3 ● 135ミリ物語 最後にフィルム式の一眼レフの時代の記憶をすこし。 私が最初に手にした一眼レフカメラはペンタックスS2だった。 自分のカメラではない。 高校の理科室の備品で、木製の大型の準備棚に誰も使わず放置されていた。 物理の先生に聞いたら使っていいよとの返事。 自宅に持ち帰り卒業前に返すまで、この1台で写真撮影の原理を覚えた。 シャッター速度が1/500秒までしかなかったから、 昭和34年(1959年)発売直後の初期型だったと思う。 標準レンズは鏡胴横のレバーで絞りを開放にし、 設定した絞り値で撮影したら、またレバーを操作。 半自動絞り値方式というのか。1969年当時でもすでに古い旧式カメラだった。 それでも、レンズを開放にすると明るくなり、被写界深度が浅くなる。 レンズを絞り込むと暗い、でも深度は深くなる。 ASA100の白黒ネガフィルムで、晴れた日なら絞り F8か F11で 1/250秒。 曇天ならば、絞り F5.6で 1/60秒。暗い室内ではどうせ写らないので撮らない。 そんな絶対原理を理屈ではなく感覚で覚えた。
EL Nikkor 135mm F5.6A 当時の一般のそこそこアマチュアのレンズ作法。 いわゆる標準レンズとして 50mmは買う。 これは日本国憲法で決まってるので絶対だ。 次の 1本が難しい。なんとか低予算で望遠レンズが欲しい。 そうなるとニコンの場合であるが 135mm F3.5一択だったのである。 絶対に買わないのが、85mm F1.8 とか105mm F2.5。理由は簡単である。 ボーエンの135mm F3.5より倍率の低いレンズが高いとはケシカラン、という発想なのだ。 135ミリは一般のそこらのアマチュア青年とかお父さんの味方だった。 そんな歴史的背景をかみしめながら、 EL ニッコール 135mm F5.6A の風景を鑑賞したいと思う。
EL Nikkor 135mm F5.6A
EL Nikkor 135mm F5.6A
EL Nikkor 135mm F5.6A 日本の四季。炎天下。クレイの地面が乾いてくる頃に、新しい視界か希望が見えてくる。 熱中症に認知症。人生いろいろだけれど、レンズは裏切らない。 ハイエンドな超高性能レンズが、市中にそこらに誰にも気が付かれずに転がっているからおもしろい。 EL ニッコール 135mm F5.6A。透明度の高い周波数特性にバランスよい明瞭度。 キラキラとする粒立ち。雑味のないクリアな定位。 表情豊かな郷愁感覚を超えて、現代の最先端技術の先を行くアナクロ性。 もうこのレンズしかない気分になってきた。 ● 記事のご案内 すべての場面において、画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → トップページに戻ります。 第 0 章 トップページ ショートカットはこちらからです。
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