EL Nikkor 40mm F4N    3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/2000 sec.   +0.3

ニコン Z 写真帖

EL ニッコール 40mm F4N の写りの続きである。 ニコン一眼レフでは前玉から 10センチの接写でしか合焦できなかった。 フランジバックが極めて短いニコン・ゼットの出現により、 16万光年先の大マゼラン星雲に合焦できるようになった。 今までの反動から、日本の遠景にピントを合わせた。

EL Nikkor 40mm F4N

空を見る人

首都圏が梅雨明けした。 梅雨明け宣言は長いこと我が家では私が行なっている。 むかしは内務省東京気象台が梅雨明けを宣言すると翌日から雨が続いたものだ。 そんな仕事の失敗を恐れてか、梅雨明けの快晴が数日続いてから、 実は 3日前に梅雨が明けていましたというリスク回避が何よりも優先した作法の時代があった。

気象の概念が変わったいま。 梅雨明けと梅雨入りが年に 2回や 3回ある時代となったのである。 そんな無理筋な話を冒頭に置き、空を見た。

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/2000 sec.   +0.3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/2000 sec.   +0.3

夏雲走る

40ミリという焦点距離は非常におもしろい。なにも特徴がないという特徴を有する。 35ミリだと広角レンズとなる。50ミリは私の感覚では中望遠レンズだ。

EL ニッコール 40mm F4Nは、最初から撮影用レンズを意識・意図して開発されたふしがある。 とにかく実際に撮影してみて、アガリが素晴らしいのである。 スコーンとヌケがよく、空気の色温度を適確につかみ取る。

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/1600 sec.   +0.3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/1600 sec.   +0.3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/1600 sec.   +0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/1600 sec.   +0.7

EL ニッコール 40mm F4N

ドラマチックな絵作り

EL ニッコール 40mm F4Nは、カメラに内蔵された露出計が示す標準露出値よりも 1/3段、2/3段、1段くらい絞ると絵に物語が入り込む。 いつも見ているはずのそこらの日常の風景の気配が変わるのである。

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/1250 sec.   -1.0

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/3200 sec.   -0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/3200 sec.   -0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/3200 sec.   -0.7

またやり直す力

1/3段、2/3段ほど露出を詰めてみた。 空が大きく占めているので、なにも露出補正しなくてもカメラはすでに1段ほど露出を詰めている。 そこをさらに調整して狙い通りの不安定な時間を写してみた。

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/3200 sec.   -0.3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/3200 sec.   -0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/4000 sec.   -0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/4000 sec.   -0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 320   F8   1/2500 sec.   +0.7

観察日記

フレッシュな稲の香り。季節の午後。写真引き伸し用レンズで豊穣感を撮影してみた。 稲穂の方もやる気十分で色彩の粒子が輝きだした。

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/1250 sec.   +0.3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/1000 sec.   +0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/1000 sec.   +0.3

EL ニッコール 40mm F4N

縁起

なにも名前のない風景。時計がないので時間がわからない。 晴れているのはげんじつではあるがどこか寂寥感。関係性を組み立てる。 そんな絵作りも EL ニッコール 40mm F4Nの得意とするところだ。 40ミリというきわめて個性的な焦点距離に加えて、 レンズの基本性能が図抜けて良いのでシリアスな写真作家におすすめだ。

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/1250 sec.   -1.0

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/2500 sec.   -0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/1250 sec.   -0.7

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/640 sec.   -0 +0

遠くに鉄橋。真空管ラジオのように静かに流れる白い雲。木陰に自転車。 EL ニッコール 40mm F4N。 このレンズは使える。 レンズは一本あればよい。

収穫

日本は田植えに始まって稲刈りで終わる。 梅雨が長かった。今度は酷暑が続いた。台風が近づくと心配した。 黄金に輝く稲穂は豊かで美しい。収穫はありがたい。それだけで十分だ。

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 200   F8   1/400 sec.   +0.3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/1000 sec.   +0.3

EL Nikkor 40mm F4N,   ASA 400   F8   1/1600 sec.   +0.3

EL ニッコール 40mm F4N

40ミリレンズはアバンギャルドなレンズである。 すでにはるか前世紀の歴史的じじつであるが、ニコンは 1984年に、 ニコン Z マウントシステム用のコンパクトで軽量なプライムレンズである EL ニッコール 40mm F4N をリリースしていたのだった。

よく写るレンズはよいレンズである。私もそう思う。 EL ニッコール 40mm F4N はよく写るレンズだ。 でも、よく写るレンズの定義は数量的に決まっていないし、人によって判断基準は変わる。 そのあたりはゆるいままでいい。数学的に不定なこともある。

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