Professor K's Micro Nikkor 70mm F5 and his Old Collection

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K教授のマイクロニッコール70mm F5と古い道具のコレクション
Photo: Copyright (c) 2002, Professor K., All Rights Reserved.

Medical Science Professor K. Selects
Micro Nikkor 70mm F5 For Mission Critical Research

K教授の三次元移動空間撮影作法

世界最古のロックバンド、ローリングストーンズのなつかしのメロディは ペイント・イット・ブラックを、モニターヘッドフォンで聞いていたら、 K教授が執筆された学術書と研究にかんするオリジナル写真、 そして政府刊行物に掲載されたエッセイのシリーズすべてのコピーが郵便で届いた。

ご本人の要請により、大学名および具体的な研究内容は紹介できないが、 旧帝国大学で、ある医学系の研究で活躍されている先生だ。

先生は研究のなかで、三次元移動するヒトの器官を精密測定する必要性から、 計測装置すらもご自分で開発されている。
その計測装置には、ワーキングディスタンスを維持しながらも、 高倍率で歪曲や収差の少い高性能な光学系が必須だったのだ。

いろいろなマクロ光学レンズを試してみたという。
しかし、市販のレンズ、つまり民生用レンズには性能で該当するものがなく、 やむなくあれこれのマクロレンズをリバースしたり、 エクステンダーや補助光学系を組み合せて計測を続けていたという。
そういった、ミッションクリティカルな要件のなかで、 マクロ系の光学系があるとすぐに入手してしまうという、 いわば職業病のような模索があったと聞く。

偶然は縁で説明がつく数学事象ではあるが、 数奇な縁で先生が偶然入手されたのがマイクロニッコール70mm F5だったのだ。

マイクロニッコール70mm F5

焦点距離が70mmで、開放絞りがF5というなじみのないスペックだ。
先生は入手されたマイクロニッコール70mm F5の性能緒元を調べているなかで、 偶然私のウエッブサイトをご覧になったという。
マイクロニッコール70mm F5にかんする問い合わせメールを受け取ったのは、それからすぐだった。 半年くらい前のことだ。

アカデミックアカウントのメールアドレスから、大学の先生と分かった。
時代の銘レンズが再び現代の医学系研究に供されることは、 レンズにとってもよい思い出の創出に連携すると確信した私は、 手持ちの資料からレンズ構成および性能に関するデータを郵送した。

マイクロニッコール70mm F5である。
あまり聞いたことがない、という方は正常である。
今まで、一般のあらゆる情報ソースでも、人の目にふれるところに出てきていない。
スウェーデンのキリルさんのコレクションに登場しているが、 これは珍しい例で、非常に現存数の少ないレンズである。

ライカスクリューマウントを持つ後期型の先生のレンズは、 現在は三次元瞬間移動体高解像度撮影装置にインストールされている。
レンズは取り外し不可の状態ではあるが、なかできっちりと仕事をしていると聞く。

テクニカルデータ

マイクロニッコール70mm F5の性能をまとめてみる。
レンズ構成図も入手しているが、 あの銘レンズ、Sマウントのマイクロニッコール5cm F3.5 とまったく同じ構成だ。
マイクロニッコール70mm F5の、歴史的工業製品ともいえる性能をみてみよう。

−焦点距離: 70mm
−絞り: 開放F5 最小絞りF22 1/2のステップあり
−レンズ構成: 4群5枚
−基準倍率: 1/12 X
−標準仕様倍率範囲: 1/30X 〜 1/5X
−画角: 43度
−色収差補正波長域: 400nm〜650nm
−歪曲収差: 0.3%
−画像サイズ: 55.2mmφ
−基準倍率における原稿から画像までの距離: 985.8mm
−重量: 250g

フィルター径は40.5mm ピッチ0.5mmで鮮鋭なネジが切られている。
つまり普通のニコンカメラ用40.5mm フィルターがセットできる。
ほかのウルトラマイクロニッコールシリーズとも、 40.5mm径だと互換が保てる。
マウントは後期型のため、L39ライカスクリューマウントなので使い勝手がよい。

古い刃物とレンズ

先生は、ちょっとユニークな趣味を持っている。
鉋(カンナ)や鑿(ノミ)のコレクターなのだ。
上の写真では、「槍鉋」という、 現在ではほとんど使用されなくなった種類の鉋とレンズがいっしょに写っている。

槍鉋はとても古い道具で、なんと古墳などからもよく出土するという。
両刃で刃は先端に向かって上の方に反っている。かなりあぶなく鋭い。
現在使われているのは台鉋というそうだが、 この台鉋ができるまで使われていたのが槍鉋で、台鉋の登場によりその後は使われなくなったのだ。
このあたりは、古いといっても古さの格が違う。1000年前の話なので驚く。

でも最近では、法隆寺の宮大工棟梁だった故西岡常一氏がテレビで紹介された時に槍鉋も紹介され、 その影響でこれを求める人が増えてきたという。
一般人はそこまでテレビ映像を見ていないので知らないが、知る人ぞ知る世界があるものだ。

法隆寺の柱をも仕上げた古い刃物と、すこし古い日本光学製の高解像度レンズがよく調和する。 レンズにもお道具の世界があってもよいと私は考える。

下の写真を見ていただきたい。
レンズに法隆寺は金堂の、いにしえのあかね色。
アカネレッドなコーテングに写りこむ空気は、 もう1000年前の情景を天空に定着させる写真装置になっている。

Special Thanks Professor K.!

いにしえの茜色のコーティングが美しいマイクロニッコール70mm F5
Photo: Copyright (c) 2002, Professor K., All Rights Reserved.

2016年の追記

このコンテンツのオリジナルは2002年9月に公開したものです。
2016年の見直しにあたり、画像は無理な縮小をしないように再調整しました。
文章は2002年当時の、そのままにしてあります。

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