September 2010, Nikon Kenkyukai     3

小秋元龍プロの話題に注目のニコン研究会会員

龍さんのプレスコーナー

人類が初めて月に向かう巨大サターンロケットの打上げをケープカナベラル空軍基地からテレビ実況中継し、 トンキン湾で戦闘行動中の航空母艦「オリスカニー」 のカタパルトから防音ヘッドギアにニコン SP で緊迫する戦闘機の出撃記録を爆音取材。
豊かな繁栄と希望の象徴、空飛ぶ豪華ホテル時代のパンナムを愛し、 航空機から映画スターの撮影まで、きわめてダイナミックレンジの広い報道シーンに現在も身を置き、 戦後の日本写真機工業史を俯瞰できるポジションをキープしている現役のフォトジャーナリスト小秋元龍プロ。

歴史的写真史料

今回の龍さんのプレスコーナー。「いつも戦争の写真になっちゃうからね」 「きょうはひとつ、映画に出てくるカメラとかニコンの話でも」 と言いながら、ブリーフケースから写真資料が出てくる出てくる。

映画評論家が話すカメラの話題は大人が聞くにはもの足りない。 でもここは報道写真家が話す映画に出てくるカメラの話題だから、 それはもうマニヤパワー炸裂の爆弾談義となりました。

歴史的新聞史料

映画の中のカメラ

映画やテレビドラマを見ていると、 カメラをまるで知らない人が演出したシーンに遭遇するけれど、このシーンは極めつけ。 フラッシュバルブをどういうわけかカメラの下に装着している女性カメラマン。

ローライ35ふうですが、ローライ35でもストロボ着けたらストロボを上にして、 下からシャッターをレリーズするのはお約束。 カメラを三脚に乗せているならともかくも、手持ちカメラにレリーズとはその筋のマニヤか? 突っ込みどころ満載!!

「笑って」と言われなくても笑ってしまう映画のシーン

ジョーン・レスリー扮する女性フォトグラファーが構えているカメラはコンタックスIII型で、 電気露出計が組み込まれた最高級機です。 太平洋戦争中の娯楽映画「青空に踊る」(The Sky's the Limit、戦後日本でも公開)の画面です。

ミュージカル映画「上流社会」(1955年作品)

ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、グレース・ケリー主演の ミュージカル映画「上流社会」(High Society、1955年作品)では、 セレステ・ホーム扮する雑誌社の女性フォトグラファーが、 当時発売されたばかりのニコン S2 を持って登場。 故意に落とされたニコンの裏ぶたが外れ、フィルムが飛び出すというシーンがありました。

テーブルから落としただけでフィルムが飛び出したニコンカメラ
しかもフィルムがビローンと引き出されているとは「それはないでしょ」

映画「裏窓」(1954年作品)

第二次大戦中のスパイを扱った映画「五本の指」から
機密文書をライカで撮影するシーン

映画の中のニコン

ライカ IIIfにニッコール 3.5cm F1.8が装着されてアップで登場
ルネ・クレマン監督のフランス映画から

シリアル番号まで読み取れるサービスショット
ニッコール 3.5cm F1.8 No. 181720

「父親たちの星条旗」から、硫黄島に掲揚される星条旗の撮影シーン

クリント・イーストウッドの有名なニコン F パンダ
米国映画「マジソン郡の橋」1995年より

時代のスクープ写真

小秋元龍プロのブリーフケースから、とっておきのスクープ写真が飛び出しました。 まずは本の紹介から。
「パン・アメリカン航空物語」−栄光の航空王国を支えた日本人たちの記録−
帆足幸治著 2010年10月1日発行 イカロス出版 1980円

この10月にイカロス出版から刊行されたばかりの「パン・アメリカン航空物語」。 サブタイトルに「栄光の航空王国を支えた日本人たちの記録」とあるように、 消滅してから19年になるパン・アメリカン航空に勤務した日本人たちに焦点を当てた著作です。 航空ジャーナリストでもある小秋元プロは、この本の監修を行なっています。 本の中では、小秋元プロが撮影した、 当時のパンナム機やスチュワーデスの写真も数枚使用されています。

愛するパンナムの話題となると話が止まらない小秋元プロ

パンナムの超豪華旅客機ボーイング 377 ストラトクルーザー
ベッドまで装備された空飛ぶ豪華ホテル

昭和29年(1954年)2月 1日羽田空港ストラトクルーザーの機内にて
パン・アメリカン航空の日本人社員青木甲子男氏撮影

さて、世界的にも貴重なスクープ写真が、どかんと出ました。 昭和29年(1954年)2月 1日、 新婚旅行と朝鮮戦争で出征していた米軍の慰問をかねて来日した マリリン・モンロー、ジョー・ディマジオ夫妻のパンナム機に、 到着手続きのため乗り込んだパンナムの日本人社員青木甲子男氏が、 携行していたカメラで撮影した 「日本人が初めて撮影したモンローのクローズアップ写真」なのです。

青木甲子男氏はその当時、すぐさま写真をプリントし、 モンローが日本を出発する時に写真に直筆のサインをもらったとのこと。 この顛末は「パン・アメリカン航空物語」の 157ページに「マリリン・モンローの機内写真」として詳しく掲載されています。 小秋元プロが今回ニコン研究会のために持ち込んだ写真は、 その貴重なオリジナル写真から引き伸ばしたものです。

ことし(2010年)の 6月には、モンローのレントゲン写真がラスベガスで 4万5千ドル(約400万円)で落札された話題がありましたが、 この直筆サイン入り写真はすごいプラチナ・プリントなのであります。 右手の親指は、突き指でもしたのでしょうか。 バンソウコウで固定されているこの姿は、世界的大女優の珍しい姿といえるでしょう。

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