リプロニッコール85mm F1.0とそのレンズ構成図 ● 非常識な開放絞りF1.0
Lens Construction 12 Elements in 8 Groups という檄文を書いてしまった。 たしかに「グランド・オプチカル・アート」な気分であって 「リミッテッド・マクロレンズ」なのである。 常識外れのハイパワーをもつマクロレンズだ。 85ミリで開放絞りがF1.0。開放絞りがF1.0という非常識。 レンズ構成図が掲載されている資料をいただいた。 レンズの構成が明からになった。構成図はレンズを理解するためには必要だ。 左右対称型の構成で8群12枚。ぜいたくなガラス配置だ。 端正なレンズがきっちりと12枚詰まっている。 基準倍率1×で歪曲収差が0%というパワーを引き出す。 重量約630gは一眼レフ用交換レンズを見慣れるとたいしたことないかもしれない。 しかし、このレンズは見た目のサイズよりも重量感がある。持つと手にずしりとくる。
グランド・オプチカル・アートなレンズ ● 図面が語る本気な思想 図面は各部のサイズが克明に明記されている。 レンズ断面が描かれた図面を眺めると、ガラスブロックがぎっしり詰まっているかんじだ。 手にずしりと重いわけだ。 図面の上にレンズを置いてみた。 ほぼ原寸の図面の上で、リプロニッコール85mm F1.0がゴロリと横になっている。 これも風景である。 当時のニコンのオリジナル資料から性能諸元とレンズ構成図を転載させていただいた。
出典: リプロニッコール85mm F1.0
−焦点距離: 87.5mm
−発売時期: 1967年
左右対称型の構成で8群12枚 リプロニッコール85mm F1.0のレンズ構成図を示す。 日本光学工業株式会社が発行した正式な技術資料から転載させていただいた。 クリックするとすこし大き目の図面が出るので贅沢なレンズ構成を再確認したい。 8群12枚の完全対称型が歪曲収差0%を実現する。 寸法入りの図面からは、アタッチメントサイズ(フィルター径)は 48mm P=0.5ということが確認いただけるだろう。
リプロニッコール85mm F1.0のレンズ構成図
レンズ構成図各部寸法入り ● くつろぐレンズ レンズの上に、図面の上に、自然光がふわりと優しい。 こういう日は、コーヒーでも飲みながら、古いポピュラー音楽を流すのもよいだろう。 レンズにもくつろぎが必要だ。 光速ニッコール。リプロニッコール85mm F1.0。 これも市場ではあまり出てこない1本だが、出たらまず押さえるのがルールだ。 見送ってしまい、あとで取り返しのつかない人生を送るよりもマシだ。 特殊ニッコールコレクターの世界は、そういうものなのである。
どれでも100円です
関東地方は陸の極地に旅すると、路上で美しい大根を見つけた。
旅の途中にダイコンと出会う ● リプロニッコール85mm F1.0をFマウント化した話 リプロニッコール85mm F1.0用のFマウントアダプターを開発した経緯は、 「 REPRO Nikkor 85mm F1.0 Supersonic Macro Lens 」で述べているので参照いただきたい。
リプロニッコール85mm F1.0用のFマウントアダプター 2004年8月にはマウントアダプターのプロトタイプが完成し、ニコン研究会でお披露目した。 先輩である、Sマウントの85mm F2レンズのみなさまとごいっしょだった。
ニコン研究会85mmレンズ特集でお披露目
2004年の秋には、リプロニッコール85mm F1.0はもちろん、
いくつかのレンズを使って適合性を多摩川のフィールドで検証した。
Repro Nikkor 85mm F1.0の動作検証
Repro Nikkor 85mm F1.0の動作検証
APO EL Nikkor 240mm F9の動作検証
● 2021年のあとがき このコンテンツのオリジナルは2001年11月当時に書いたものです。 2016年のサイト移転に伴う見直しで、Fマウント化した話を盛り込み、 ニコン研究会でのお披露目や動作検証の様子の画像を入れました。 2019年には、レンズの性能諸元データをより詳しい説明に書き改めました。
Copyright Michio Akiyama, Tokyo Japan 2001, 2021
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