● L-F接続リングと対物リングの種類 1968年に発売されたNikon 大型マクロ写真撮影装置 MULTIPHOT。 1995年に製造を終了したが、販売は1997年末頃まで続いたと言う。 長きに渡り製造・販売されたので、いくつかの改良・改善があったと思う。 「L-F接続リング」および「対物リング」の小さな付属品でさえも、 ざっくり言って前期型と後期型に分類できる。 さらにはネジの種類や本数でいくつかのバージョンがある。 そんな話をしてみたい。 ● L-F接続リング(MP J93040) 左が前期型。右が後期型。前期型は光沢のある金属製。 後期型は光沢のないマットブラック仕上げの軽金属製。 前期型はメタリックでカチリとした印象。 後期型は手になじむ角が取れてあかぬけた印象。 前期型の方が重量感があると感じていたが、実測してみてびっくり。 軽いと感じていた後期型の方が重かったのである。 かくも見た目の印象というのは思い込みが優先して、あてにならないものである。
L-F接続リング(MP J93040)
L-F接続リング(MP J93040) ネジの種類や本数でいくつかのバージョンがある。 コストダウンの観点から、ネジの本数が多い方が古く前期の製品で、 ネジの本数が少ない方が新しく後期の製品と推測してみた。 さらにネジの種類での分類。 マイナスネジは古く前期の製品で、プラスネジは新しく後期の製品と、推測ではあるが分類してみた。 重量はデジタルスケールで実測した。 手持ちの標本が複数ある場合は、それぞれの重量を測定し記録した。
● 対物リング(MP J93050) 左から2個が前期型。右の1個が後期型。前期型は光沢のある金属製。 後期型は光沢のないマットブラック仕上げの軽金属製。
対物リング(MP J93050) 前期型はメタリックでカチリとした印象。 後期型は手になじむ角が取れてあかぬけた印象。 対物リングにネジ頭がある方が表面、ネジ頭がない方を裏面とする。 裏面にネジ穴が無いタイプと、ネジ穴があるタイプに分けられる。 さらにネジ穴が黒でペイントされているものと、切削したままのタイプがある。 コストダウントの観点からみても、手間がかかる前者のタイプが前期型で、 手間を省略した後者のタイプが後期型となる。
対物リング(MP J93050) マイナスネジの頭を見ても、黒染めしてあるタイプと、黒染めを省略して、 光ったネジ頭のままのタイプもある。 対物リング一つとっても時代の変化が読み取れる。 以下に分類しまとめた。 他にも仕様が異なるタイプがあるかもしれないが、 あくまで手持ちの範囲でまとめたので、ご理解いただきたい。
● 当時の価格の話 L-F接続リングおよび対物リングは、1970年前半までは単品での販売がなかったようである。 カタログ、価格表に掲載されていない。 手持ちの資料の範囲では、1979年10月1日版価格表では掲載されている。 (1)Nikon M-01 顕微鏡
1973年1月版カタログ(資料コード:8300-01MJC 301-20/1) (2)Nikon M-20 顕微鏡価格表
1973年12月版価格表(資料コード:無し) (3)Nikon M-20 生物顕微鏡価格表
1979年10月1日版価格表(資料コード:無し) (4)Nikon M-20 生物顕微鏡価格表
1980年4月1日版価格表(資料コード:無し) (5)生物顕微鏡価格表
1993年6月1日版価格表 (6)ニコンステーション(SNIKON) 1997年のことであるが、当時全盛だったパソコン通信というネットで、 ニコンはニコンステーション(SNIKON)というファンとの親睦の場を提供していた。 製品にたいする質問にも答えてもらえた。 「マクロニッコールは今でも購入できますか?」と質問した人がいて、ニコンから回答があった。 その中に接続リングと対物リングの価格も公表されたので以下に示す。
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