March 2009, Nikon Kenkyukai Tokyo, Meeting Report

幻のレグノニッコール10センチF1.5が3基並ぶ迫力の風景

March 21, 2009
Tokyo Meeting
Regno Nikkor 10cm F1.5
Roentgen Lens Special

ニコ研開催の銀座は三月の歌舞伎座

ニコン取説研究

歌舞伎座さよなら公演三月大歌舞伎は、 元禄忠臣蔵のノボリを見ながら、ニコ研三月。 まずはニコンFにかんする研究プログラムからスタートです。 ニコンF50周年前夜祭ということで、 初期のニコンF用の取説から小形カタログを集めてみました。 製造期間の長かったニコンFは、 ご承知のように各種バージョンの取説がつくられました。

ニコンFの初期から最後期までの取説と小形カタログ

レントゲンレンズ

レグノニッコールに代表される時代のレントゲンレンズを研究するにあたり、 まずは非常に珍しい歴史的レントゲンレンズを見てみましょう。
帝国光学と精機光学のレントゲンレンズです。
とくに、帝国光学のレントゲン・ズノーは、非常に珍しい幻の医療用レンズです。 606系と610系の動体存在が確認されていますが、 610系はウエブで全世界初公開です。いやほんとに世界初公開なのです。

全世界ウエブ初公開のレントゲン・ズノー6.5センチF1.4

レンズがとにかく美しいレントゲン・ズノー6.5センチF1.4

生き残っていた高速レンズ R-セレナー5センチF1.5

レグノニッコールと間接撮影写真装置

希少レンズの美しさには、 美術品をみたような心豊かさが残ります。
さて、ここからがメインテーマです。 工業用ニッコールレンズ研究家の秋山満夫の呼びかけで、 エックス線間接撮影用レンズのレグノニッコールを特集することにしました。 はたして、こんなレアなレンズを特集してものが集まるのでしょうか。
以前、ニコンSPの特集をした時に、 集まったのはブラックボディや、 モーター付きのブラックボディばかり。 1台だけ持ち込まれた普通のクロームボディのニコンSPが、 たいへん珍しいものにみえた、との笑い話のようなホントの話があります。

さすがはニコン研究会。 レグノニッコール10センチF1.5が間接撮影写真装置付きで、 なんと3台も集結したのです。 もちろん、写真装置は6×6判のブローニーロールフィルムを使用するボディと、 シートフィルムを使用する1枚撮りフィルムバック式のボディが勢ぞろいです。

鋳鉄製の取付け板が特徴のエックス線間接撮影写真装置

精巧なフィルム巻上げクランクの動きは今でもスムース

間接撮影写真装置付きで3台集まることじたいがあり得ない

レグノニッコールを検証するニコ研レントゲン支部

3台のエックス線間接撮影写真装置

日本光学のエックス線間接撮影写真装置が世の中に出たのは、昭和22年。 1947年のことなのです。 多くの方が驚かれるのですが、ニコンI型の発売前の話なのです。 ニコンI型の発売は昭和23年。 戦後の復興期に、これほど精密な写真機と高性能レンズが製造されていた事実を、 現物を目の前にして再確認しました。

写真機番号22408号機(昭和22年製)

写真機番号22768号機(昭和22年製)

写真機番号23101号機(昭和23年製)

1枚撮りフィルムバック式のボディ(後期型)

写真機フィルム室内部の様子

フィルム室遮光窓も赤にオレンジ色と種類があったとは

幻の6×6判ニコンカメラ

日本光学が6×6判カメラを製造していた事実をまずご理解ください。
エックス線間接撮影写真装置で使用された精密な写真機ボディは、 あのニコン全天カメラ(昭和32年)に引き継がれたのです。 日本光学は、 ニコン全天カメラの後には6×6判カメラを製品化しませんでした。(注)
35ミリフィルムにととどまらず、 もし6×6判ブロニーフィルムを使用するカメラに踏み込んでいたら、 ハッセルブラッドと並ぶ中判写真機が登場していたかもしれません。

しかしながら、 報道写真家が戦場で使うプレスカメラはニコンでないといけません。 交換レンズも含めて小形で軽量であることを条件にすると、 35ミリフィルムカメラという選択が残ったのでしょう。 ニコンカメラの黎明期に、 しかも伝説となったニコンI型より以前に、 高速レグノニッコール付きの中判カメラが存在していたことを忘れてはなりません。 時代は昭和のはるか先に流れ進んでも、 レグノニッコールは、高速レンズの眼光は、今だ鋭いままなのです。

(注)
35ミリ判以上のフィルムを使用するニコンカメラは、 特殊写真装置に目を向けると、 おなじみの大型マクロ顕微鏡写真装置マルチフォト(4×5判)や、 ゼオニッコール(Geo-Nikkor)付きの地上写真用ステレオカメラ(TS-120、TS-20)等 が販売されていましたが、 一般向けカメラ店の店頭で購入できるようなシチズンモデルは製品化されていない、 という意味で限定しました。

今でも威容を誇るレグノニッコール10センチF1.5高速レンズ

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