November 2004, Nikon Kenkyukai

All star of Nikkor 5cm F2 collapsible and hybrid

November 20, 2004
Nikon Kenkyukai Tokyo Meeting
5cm F2 Collapsible
Medical Nikkor
Tochigi 300mm T2.2

いつもの銀座近くの新富町

ニッコール5cm F2 沈胴の研究

今回のミーティングは、盛りだくさんでした。 まず最初の特集は、ニッコール5cm F2 沈胴。 はたしてこのレンズは集まるのだろうかと思いましたが、 当日はぞろぞろとハイブリッド型も含めて沈胴レンズが集合しました。 初期型のレンズから、キャップ、フード、フィルターなど、 貴重なものがテーブルに並びました。

当日は研究資料が配られ、さらに細かい解説が行われました。 画像を見ていただくと分かりますが、 No. 70815とか No. 80616など、 極初期ロットものがさりげなく置かれています。 驚きの最初期型 No. 8117もポンと置かれています。 いずれも時代は昭和21年から24年にかけて製造された骨董品なのであります。

下の写真は、
上段(1列目)が708シリーズです。左より、Sが2本にLが1本あります。
中段(2列目)が806シリーズです。左より、Sが2本にLが2本あります。
下段(3列目)が811シリーズです。左より、Sが2本、HBが1本にLが2本あります。
(S:Sマウント、L:Lマウント、HB:ハイブリッド鏡胴)
まずは画像をごらんください。

ニッコール5cm F2 沈胴およびハイブリッドせいぞろい

5cm F2 沈胴 No.80616, 806219, 806201, 8111473, ハイブリッドNo.8111493

ニッコール5cm F2 沈胴 No.806134, 80616 !!!

ニッコール5cm F2 沈胴 No.708464, 80616, 806219, 806201

ニッコール5cm F2 沈胴 811シリーズの最初期型 No.8117 !!!

ニッコール5cm F2 沈胴 No.70815 !!!

美しいニッコール5cm F2 ハイブリッド型 No.8111174

ニッコール5cm F2 沈胴付きのニコンM型

スリップオン式のフィルターセット

オキュパイドものの専用フィルターおよび稀少なケース

今月のお道具拝見

歴史的機材のコーナーでは、満州光学の光学兵器が登場しました。 九九式軽機関銃用の照準眼鏡です。 2.5倍の小さな光学スコープですが、記録によりますとこれにより命中精度が向上したとのことです。 銃の振動に耐えるよう、ネジの数が多いことに気がつきます。 ウェブを検索しても満州光学の情報は皆無です。 光学兵器からみた満州光学の検証をしていかないといけません。

驚くことに、前回に続いて、 レグノニッコール10.5cm F1.5付きのニコンX線カメラが登場しました。 もちろん専用格納木箱に入ったフルセットです。 全天カメラと同じ6X6ロールフィルムを使用するカメラボデイが付いています。 ゼンザブロニカ用のニッコール7.5cm F2.8をマウントしたニコンFE2も並んでいます。 専用の特殊なアダプタを製造し、苦心して装着してあります。 写りはどうなのでしょうか。

幻の満州光学製九九式軽機関銃照準眼鏡

レグノニッコール10cm F1.5 No. 71043付きX線カメラ

レグノニッコール10cm F1.5とロールフィルムカメラのフルセット

特殊な工作でマウントされたブロニカ用7.5cm F2.8付きニコンFE2

巨大な高速望遠レンズ 300mm T2.2とF2.0

重量物積載オーバーのコーナーでは、 ニコンの巨大な望遠レンズが迫力ある前玉を輝かせて登場しました。 白い鏡胴が栃木ニコンの300mm T2.2、重厚な黒いレンズがニッコール300mm F2.0です。 栃木ニコンの300mm T2.2(F2.0)は映画撮影、TV放送映像機器搭載用の高速望遠レンズです。

ほんらいならばBLおよびPLマウントで、そのままだと一眼レフカメラに装着できないのですが、 その超高性能ぶりは天文マニヤの間で知られていました。 昨年は2003年の2月に、天文雑誌「月刊天文ガイド」が斡旋して、 Fマウントに改造したレンズが20本のみ超限定発売されました。 資料を送っていただきましたが、189万円の価格には手が出ませんでした。

2004年の秋に栃木ニコンから価格を改訂して再度発売され、一部のマニヤの間で話題になりました。 もちろんニコンFマウントです。 重量級のレンズながら、きわめてスムーズなヘリコイドと絞りリングの動きには感動します。 ニコン研究会では、すでに何人かの方がレンズを入手されていますが、 仕上がりの8X10プリントを見せていただき、その画像のクオリティには驚愕しました。 さすが映画用レンズです。繊細・鮮鋭・精密な劇場映画のような写真が写っていました。

白と黒の巨大なレンズが2本並ぶ

栃木ニコン 300mm T2.2(F2.0) 映画撮影用高速望遠レンズ

ニコン 300mm F2.0 巨大な高速望遠レンズ

超弩級の明るい大型レンズが2本並びました

メディカルニッコールの研究

ニコンF研究家の鈴木昭彦氏による、 メディカルニッコールのディープな研究結果が報告されました。 会場には、最初期型の複写装置PF型がどんと置かれ、専用電源装置がセットされ、 3本のメディカルニッコール200mm F5.6は、 いずれも最初期型のニコンFにマウントされてスタンバイです。

珍しいアクセサリーでは、感電防止用のプラスチック製プロテクトカバー。 ただこれだけのものですが、現物はほとんど存在しません。 撮影セットでは、 光量減衰コードなど実用に必須だけど稀少な小物も揃っています。 試し撮りでは、試料として小さい金属片が用意されました。 ここまでこだわっています。 金属片と思った小さい板金パーツは、 純金よりはるかに高価な6400Fのトップカバーだったのです。

各種革ケースに、初期型のがっちりした元箱。紙モノも公開されました。 いまでも現役で、 メディカルニッコール200mm F5.6を使っている歯医者さんもいると聞きますが、 その基本コンセプトの強さとレンズそのものの造りのよさ、 堅実な性能を再確認できました。

奥が深いメディカルニッコールのマニヤな話

最初期型の複写装置PF型に専用電源とクロースアップレンズ群

すべてのニコンFはもちろん640Fです

珍しいF用アクセサリーの感電プロテクトカバー

複写台の上には試料が置かれデモ撮影を敢行

試料はなんと純金よりはるかに高価な板金パーツ。6400Fプレート!

とにかく楽しい勉強会なのであります

南極物語

さて、会員がさりげなく持ち込んだ2台のニコンS2。 しかし、ただものではないS2なのです。 1台は、米国はニューヨークから帰ってきた、赤いSAMPLE刻印の入ったサンプルS2。 ダミーモデルと違ってサンプルですから、きちんと動作が可能です。 もちろん通常の撮影ができるモデルです。

さて、もう1台はニコンS2南極観測隊特装機 (JARE1スペシアル)。(注)
なんと第一次南極観測隊(1957年)が持って行ったニコンカメラなのです。 日本光学が正規に南極観測モデルに改造したニコンなのです。 特徴がいくつかありますが、決定的な違いはシャッター速度が1/500秒までのところです。 外観上の違いが4つありますが、分かりますか。 裏づけ資料として秋山が持参した愛読書「南極観測二十五年史/文部省」の上に、 この超稀少カメラを置いてみました。

(注) ニコンS2南極観測隊特装機については、
ニコン研究会2006年11月例会 で詳しく取り上げていますので、ご確認ください。

赤いSAMPLE刻印の入ったニコンS2

南極観測二十五年史とニコンS2南極観測隊特装機 (JARE1スペシアル)

極めて稀少なニコンS2南極観測隊特装機の特徴

ニコン研究会

じつに中身の濃い、ディープなスーパーミーティングでした。 今回は、米国から一時帰国した川合隆之氏も参加されました。 川合さんは、ロバート・ロトローニ氏、 ビル・クラウス氏らと米国でNHS(Nikon Historical Society)を立ち上げた方で、 ニコン研究会の会員でもあります。 ロバート・ロトローニ氏からニコン研究会に研究用写真が提供されました。 幻の5センチF1.8試作レンズなど、超貴重な画像です。 川合さんが氏から写真を受け取り、ニコン研究会の会員に配布されました。

参加者そろいで集合写真を撮りました。
たのしいカメラ談義ぎっしりの土曜日の午後でありました。

ロトローニさんから寄せられた絶滅希少種の5cm F1.8試作レンズの写真
Photo: Copyright (c) 2004, Robert Rotoloni, U.S.A., All Rights Reserved

若手の青年ばかり13名が集まりました

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