REPRO Nikkor and CRT Nikkor

リプロニッコールと CRTニッコール

光速ニッコール

中央にどしりと一本重いレンズ。 光速ニッコールレンズ、リプロニッコール 85mm F1.0。 85mmのマクロレンズでいながら、常識破りの開放 F1.0。 とにかく明るく、そして抜群の鮮鋭度。 ほかに追従するものがない、ハイエンド中のハイエンド・マクロレンズ。 それが光速ニッコールレンズ 85mm F1.0。

中央がリプロニッコール 85mm F1.0
(撮影年は2001年10月)

陰極線管ニッコール

左と右には、CRTニッコール 55mm F1.2がいる。 1990年代の話ではあるが、 米国のネットワークではなにかと話題となったレンズである。 核融合施設から大量に放出されたとか、 売りますコーナーでは8本とか10本の連番で出ていた記憶がある。

これほどの性能を持ちながら、開放 F1.2という型破りなマクロレンズだ。 みどり色に発光する涼しい蛍の光には、 この高速現象撮影用に開発された CRTニッコール 55mm F1.2が似合う。

マウントアダプターの話

右のレンズには、Nippon Kogaku Tokyoと光学マークの刻印が入った L-Fリングを装着しててみた。 L-Fリングは初期のニコンF用の専用アクセサリーだ。 S型ニコンの時代のライカL39スクリューマウントの 180mm、250mm、500mmの各ニッコールレンズを ニコンFに取り付けるための回転式アダプターである。

左のレンズには、L-F接続リングが装着されている。 似たような名称ではあるがモノ由来がまったく異なる。 L-F接続リングはニコンの顕微鏡部門が製造販売したマルチフォト装置用の専用アクセサリーである。 ライカL39スクリューマウントのマクロニッコールをニコンFマウントのベローズにマウントするために使用する。

なにやら質実剛健丸出しの無口なレンズではあるが、 月光下に可憐に輝く夜光性苔の姿を納めるには、最適な選択といえるだろう。

彼岸に蛍は夏の秋

むかしから、彼岸からきた蛍には、リプロニッコール 85mm F1.0。 水を飲む蛍には CRTニッコール 55mm F1.2。 これは、蛍にたいする礼儀です。

夏によし、すすきの秋にも似合う。 極低温下の雪の結晶。春には水音を撮影する。 明るい、常識外れに明るい、伝説のマクロレンズ。 リプロニッコール 85mm F1.0と CRTニッコール 55mm F1.2。

左右は CRTニッコール 55mm F1.2

2021年のあとがき

このコンテンツのオリジナルは2001年10月当時に書いたものです。 2016年のサイト移転に伴う見直しで、新たに撮り下ろした画像を追加しました。

秋景色のデジタルカメラの画像は2001年当時のもので、 今となってはウェブに掲載するには小さく品質もあまりよくないのですが、 時代の雰囲気や空気がよく出ているのでそのまま使いました。 文章では多少意味不明の言及もありますが、勢いがあるのでそのままにしてあります。

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