MACRO Nikkor 35mm F4.5 in Wind

ロイヤル・マイクロスコピカル・ソサエティなマクロニッコール35mm F4.5
(撮影年は2001年8月)

最小の超マクロ専用レンズ

おそらく市販されたニッコールレンズでは最小の部類に入るレンズではないか。
マクロニッコール35mm F4.5。 ごらんのように、指でつまめる程きわめて小さい。
しかしこのレンズ、ニコンの大判カメラの専用レンズなのだ。
4×5インチ判をかるくカバーする。撮影倍率は、8倍から20倍だ。

ごく小さいがお道具としての完成度が極めて高い

ニコン研究会の2005年7月例会に登場

英国王立顕微鏡学会

マウントはRMSマウント。
RMSマウントあるいはRMSスレッドというと、聞きなれない人がいると思う。
RMSはRoyal Microscopical Societyの略。
日本語で言うと英国王立顕微鏡学会となる。
RMSマウントというと、いわゆる顕微鏡の対物レンズのネジマウントを指す。

この対物レンズのネジマウントを持ったマクロレンズ、拡大撮影用レンズは、 以前はたくさんの種類が各カメラメーカーから出ていた。 有名なところでは、ツァイスのルミナー、 ライツのレプロフォオタールおよび普通のフォタールレンズ。
日本では、古くはトプコン、そしてオリンパスが出していた。
ミノルタも当時のライツとのかんけいからフォタールをラインナップしていた。
キヤノンはいまだカメラ店の片隅で新品を見つけることができる。 キヤノンマクロフォト35mm F2.8とマクロフォト20mm F3.5だ。

そしてニコンでは、 マルチフォト装置用としてRMSスレッドをもった35mm F4.5と19mm F2.8の2本をリリースしていた。 残念ながら、数年前に製造販売が停止されてしまった。
現行品で生産販売されているのは、ライツのフォタールだけになってしまった。(注)
あのツァイスさえも、いつのまにカタログから姿を消した。

(注)
このあたりの事情はさらに変化したので、以下にある「2016年の追記」を参照してください。

ごく小さいマクロニッコール35mm F4.5の重量感

精緻の極限工作精度

しかしこのニコン製マクロニッコール35mm F4.5。ものすごく造りがよいのだ。
ペイントの塗り、精緻な彫刻による刻印、きれいに流し込んであるエナメル、真鍮のネジ加工。
そしてレンズには宝石のように美しいコーテング。
この小さな小さなレンズにも小さい小さい絞りがある。ちゃんとしたアイリス虹彩絞りである。
夏の夏らしくすずしげな木陰に向けてレンズを取り付ければ、 どんな小さな昆虫も、花の種子から、ニュートリノでも撮影できる。

マクロニッコール35mm F4.5は顕微鏡対物レンズマウント(RMSマウント)

見つめる楽しさを知るレンズ

RMSスレッドをもったマウントアダプタは各社から出ている(出ていた)し、 ニコンの純正品である「対物リング」だと、RMS-L39であるから、 これさえあればL39マウントアダプターでどんなカメラにも装着可能だ。 キヤノン、ミノルタ、コンタックスからミランダ、アルパもOK。

夏の昼下がり、かき氷のイチゴ色を見つめるもよし、つめたいビールでも飲みながら、 その酵母の生育状況をジョッキの上からマクロニッコール35mm F4.5で見つめるのも楽しい。
みず色のラインが美しいエナメルで入っている。
こういう技にはまいる。
私はこのレンズ、はっきりいって、スゴイと思う。小さいけどデカい。
信州の夏。ニコンベロースPB-4にマクロニッコール35mm F4.5を搭載した。
これから遠くに風を聞く。

ニコンベロースPB-4に搭載したマクロニッコール35mm F4.5

2016年の追記

オリジナルのコンテンツは2001年10月当時に書いたものです。
RMSマウントのレンズのことは、このコンテンツを公開する前は、 ネット上ではほとんど知られておらず、情報もほとんど得ることができませんでした。
しかし、このコンテンツを2001年に公開した後から、大幅に様相が好転しました。 まず、情報が増えてきました。 さらに同じ興味を持つ方が多くおいでになることが見えてきました。 ネットオークションにも現物が登場し、モノの価値判断が固まってきたと思います。

現在では、 もうすでに各カメラメーカーからRMSマウントのレンズの販売はなくなりました。 カタログにも掲載されていません。 最後まで生き残っていたライカのフォタールレンズですが、 2013年8月1日版の「ライカ製品価格表」では掲載されていません。 でも時代を理解していただくために、そのままにしておきました。
2001年の公開当時は1枚きりだった画像ですが、 2016年の見直しにあたり、その後撮りためた画像を追加しました。

イチゴとマクロニッコール

マルチフォト装置用に開発された4本のマクロニッコールレンズは質実剛健そのものである。
しかしRMSスレッドをもった35mm F4.5と19mm F2.8の2本は実に可愛らしい。
イチゴに寄り添うマクロニッコールの姿は工業製品なのに工芸美術品の趣きがある。
そしてなによりもその存在に華やかさがある。

イチゴとマクロニッコール

純金色のRMSスレッドが美しいマクロニッコール

黒漆塗りのようなしっとりした風合のレンズ鏡胴

姿は小さいが4 x 5インチ判をカバーする頼もしいマクロニッコール

マウントアダプタのこと

マウントアダプタのことを補足説明します。
ニコンの顕微鏡部門から大型マクロ写真撮影装置「マルチフォト」の付属品、 およびオプションとして、ニコン純正のマウントアダプタが2種類販売されていました。

その1つが、「L-F接続リング」。
L39ライカスクリューマウントのレンズを ニコンFマウントのカメラやベローズ装置に装着するためのアダプタです。
もう1つが、「対物リング」。
顕微鏡の対物レンズと同じRMSマウントのレンズを L39ライカスクリューマウントに変換するためのアダプタです。

RMSマウントのレンズをニコン一眼レフにベローズを介して装着する場合には、 「対物リング」と「L-F接続リング」を併用することになります。

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