MACRO Nikkor 35mm F4.5 in Wind

MACRO Nikkor 35mm F4.5, RMS Microscope Thread Hight Resolution Lens

最小の超マクロ専用レンズ

おそらくニッコールレンズでも最小の部類に入るレンズではないか。
マクロニッコール35mm F4.5。 ごらんのように、指でつまめる程きわめて小さい。
しかしこのレンズ、ニコンの大判カメラの専用レンズなのだ。
4×5インチ判をかるくカバーする。撮影倍率は、8倍から20倍だ。

ごく小さいがお道具としての完成度が極めて高い

ニコン研究会の2005年7月例会に登場

Royal Microscopical Society

マウントはRMSマウント。
RMSマウントあるいはRMSスレッドというと、聞きなれない人がいると思う。
Royal Microscopical Societyの略で、 いわゆる顕微鏡の対物レンズのネジマウントである。

この対物レンズのネジマウントを持ったマクロレンス、拡大撮影用レンズは、 以前はたくさんの種類が各カメラメーカーから出ていた。 有名なところでは、ツァイスのルミナー、 ライツのレプロフォオタールおよび普通のフォタールレンズ。
日本では、古くはトプコン、そしてオリンパスが出していた。
ミノルタも当時のライツとのかんけいからフォタールをラインナップしていた。
キヤノンはいまだカメラ店の片隅で新品を見つけることができる。 キヤノンマクロフォト35mm F2.8とマクロフォト20mm F3.5だ。

そしてニコンでは、マルチフォト装置用としてRMSスレッドをもった 35mm F4.5と19mm F2.8の2本をリリースしていた。 残念ながら、数年前に製造販売が停止されてしまった。
現行品で生産販売されているのは、ライツのフォタールだけになってしまった。(注)
あのツァイスさえも、いつのまにカタログから姿を消した。

(注)
このあたりの事情はさらに変化したので、以下にある「2016年の追記」を参照してください。

ごく小さいマクロニッコール35mm F4.5の重量感

精緻の極限工作精度

しかしこのニコン製マクロニッコール35mm F4.5。 ものすごく造りがよいのだ。
ペイントの塗り、精緻な彫刻による刻印、きれいに流し込んであるエナメル、 真鍮のネジ加工。
そしてレンズには宝石のように美しいコーテング。
この小さな小さなレンズにも小さい小さい絞りがある。 ちゃんとしたアイリス虹彩絞りである。
夏の夏らしくすずしげな木陰に向けてレンズを取り付ければ、 どんな小さな昆虫も、花の種子から、ニュートリノでも撮影できる。

マクロニッコール35mm F4.5は顕微鏡対物レンズマウント(RMSマウント)

見つめる楽しさを知るレンズ

RMSスレッドをもったマウントアダプタは各社から出ている(出ていた)し、 ニコンの純正マウントリングだと、RMS-L39であるから、これさえあれば L39マウントリングでどんなカメラにも装着可能だ。 キヤノン、ミノルタ、コンタックスからミランダ、アルパもOK。

夏の昼下がり、かき氷のイチゴ色を見つめるもよし、 つめたいビールでも飲みながら、 その酵母の生育状況をジョッキの上からマクロニッコール35mm F4.5で見つめるのも楽しい。
みず色のラインが美しいエナメルで入っている。
こういう技にはまいる。
私はこのレンズ、はっきりいって、スゴイと思う。小さいけどデカい。
信州の夏。ニコンベロースPB-4にマクロニッコール35mm F4.5を搭載した。
これから遠くに風を聞く。

ニコンベロースPB-4に搭載したマクロニッコール35mm F4.5

2016年の追記

ここまでのコンテンツは2001年10月当時のものです。
RMSマウントのレンズのことは、このコンテンツを公開する前は、 ほとんど知られておらず、情報もほとんど得ることができませんでした。
しかし、このコンテンツを公開した後から、大幅に様相が好転しました。 まず、情報が増えてきました。 さらに同じ興味を持つ方が多くおいでになることが見えてきました。 ネットオークションにも現物が登場し、モノの価値判断が固まってきたと思います。

現在では、 もうすでに各カメラメーカーからRMSマウントのレンズの販売はなくなりました。 カタログにも掲載されていません。 最後まで生き残っていたライカのフォタールレンズは、 2013年8月1日版の「ライカ製品価格表」では掲載されていません。 でも時代を理解していただくために、そのままにしておきました。
2001年当時は1枚きりだった画像ですが、 2016年の見直しにあたり、その後撮りためた画像をすこし追加しました。

マウントアダプタのこと

マウントアダプタのことを補足説明します。
ニコンの顕微鏡部門から大型マクロ写真殺意装置「マルチフォト」の付属品、 およびオプションとして、ニコン純正のマウントアダプタが2種類販売されていました。
L39ライカスクリューマウントのレンズをニコンFマウントにカメラに装着するための、 L-Fリングです。素っ気ないそのまんまの「接続リング」がニコンの正式名称。 白い箱には「マクロセツゾクリング」と印字されています。

もう1つが、顕微鏡対物レンズと同じRMSマウントのレンズを L39ライカスクリューマウントに変換するためのアダプタです。 「対物リング」がニコンの正式名称。 白い箱には「マクロタイブツリング」と印字されています。 素っ気ないそのまんまの名称が素晴らしい。
いずれもアダプタ本体にはニコンほか文字の刻印は入っていません。 元箱の方も、白い紙箱に古いワープロ用のドットプリンタで印字したような紙ラベルが貼られた簡素なものです。 後年になり、白い紙箱に普通の品質のプリンターで印字した紙ラベル貼りに昇格しました。

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