MACRO Nikkor Family

マクロニッコールファミリー

MICROではないMACROレンズ

なにやら金屏風の前で、見慣れぬニッコールレンズが集合している。
マクロニッコールレンズの集合である。
ニコンの近接撮影用レンズは、マイクロニッコールであって、 マクロニッコールと言うのは存在しない。 そう言われてきたけれど、これはニコン製の正真正銘のマクロニッコールレンズだ。

2001年10月に本ウェブサイトを立ち上げた直後から、 「マイクロニッコール」と「マクロニッコール」を明確に区別して、 その具体的な特徴を実物を掲げて説明し続けてきたので、 「マクロニッコール」が実存することと、 それらの違いがよく知られるようになってきたと思う。

さらにはその後、本家ニコンのウェブサイトから 「ニッコール千夜一夜物語」第二十五夜のなかで「マクロとマイクロ」として取り上げられ言及があったことから、 一般のカメラファンにも周知されることになったと考えている。

マクロニッコールは、 大型マクロ写真撮影装置(マルチフォト)用の専用レンズである。
L39ライカスクリューマウントを有するマクロニッコール12cm F6.3、マクロニッコール65mm F4.5。 それに、顕微鏡対物レンズのマウント(RMSマウント)を有する マクロニッコール35mm F4.5、マクロニッコール19mm F2.8の4種類で一式である。

資料的に参照していただきたく、 金屏風の画像はクリックすると大き目のサイズの画像を表示します。

赤と黄色のラインはMACROのあかし

2001年10月に本ウェブサイトを立ち上げた直後に掲載した画像を再度確認してみよう。
以下のシンプルな構成だ。
当時はこれだけしか所有していなかったのだ。
レンズのサイズ比較のために、一眼レフカメラ用のマイクロニッコール55mm F3.5を置いてみた。

マクロニッコールレンズの基本(撮影年は2001年8月)

赤いライン、通称レッドラインニッコール。
このレッドラインニッコールは、万能レンズとしてマニヤの間でも非常に高く評価されている。
日本より、海外の自然科学愛好写真家の、いわば秘蔵レンズになっている。
ほとんど文献で紹介されていないせいか、知る人はすくない。
MACRO Nikkor 12cm F6.3 (MACRO Nikkor 120mm F6.3)だ。

黄色いラインは、イエローラインニッコール。
MACRO Nikkor 65mm F4.5だ。
なぜここまで頑丈な鏡胴なのか。非常にスムーズな絞りの動き。
もちろん、ピントリングはない。
ホコリの侵入や、外気を遮断するには、この造りが最高なのはだれでも知っている。
鮮鋭度のなかにも華麗で品のよい描写は、高山植物愛好家の手になじむ。
性能がよすぎるのがたまにきず。

顕微鏡対物マウントもMACROのあかし

かわいい小さいレンズ。顕微鏡の対物レンズに見えるが写真撮影用のレンズである。
美しいみず色のエナメルのラインが流し込まれた鏡胴は、 非常に精緻な真鍮削り出しだ。
これが、ツァイスのルミナー後期型(ドットルミナー)とともに人気の、 その存在さえも伝説だったスーパーハイエンドレンズ、MACRO Nikkor 35mm F4.5だ。

京都から客人あり。
おみやげに、 千本玉寿軒のお菓子をいただく。和三盆糖がやさしい。
マクロニッコールの漆塗りのような黒塗装は小さく美しい高性能レンズは、 日本の簡潔な美意識を具現したシンプルな小さいお菓子によく似合う。

マクロニッコール35mm F4.5とマクロニッコール19mm F2.8

マクロニッコール35mm F4.5

純白の美しいエナメルのラインが流し込まれた鏡胴は、非常に精緻な真鍮削り出しだ。
重量感があって冷たく重い。
これが、MACRO Nikkor 19mm F2.8である。
マクロニッコールレンズ4本四きょうだいのなかで、最も使うのが難しいと言われている。
しかしながら、その風格と佇まいは別格である。

マクロニッコール19mm F2.8

ユズの季節。午後の時間。
RMSマウントのごく小さいマクロニッコールの姿が美しい。
写真画像でも見るよりも、実物はさらに小さく可愛らしく、そして重い。
もともと、4×5インチ判の大判写真機用に専用設計されたレンズと言われも、 その姿からは巨大なイメージサークルほか優れた基本性能は想像できない。

柚子とマクロニッコールの午後

気が付いたら増えていたマクロニッコールファミリー

最後に入手できたのが、マクロニッコール19mm F2.8だった。
白いラインはニコン顕微鏡の100倍対物レンズのようにみえる。
結局この「白い子」を迎えるために、いろいろと探し回っていたら、 前後して「赤い子」や「黄色い子」もさらにやってきたので、 気が付いたらファミリーが増えていた。
そういうものだろう。そういうものと思いたい。

自然に増えるマクロニッコールレンズ(撮影年は2004年1月)

L39ライカスクリューマウントのマクロニッコールは、 L-Fリングを介してニコン一眼レフボディにマウントする。 L-Fリングはマクロ接続リング(マクロセツゾクリング)とニコンでは称している。
ニコンFマウントで、L39ライカスクリューマウントのレンズをねじ込めるように作られている。

顕微鏡対物レンズ(RMSマウント)規格のネジ径マウントのマクロニッコールは、 L-Fリングに対物レンズアダプターを取り付けてニコン一眼レフボディにマウントする。 対物レンズアダプターは対物リング(タイブツリング)ともニコンでは称している。
L39ライカスクリューマウントで、 顕微鏡対物レンズ(RMSマウント)規格のネジ径を持つレンズをねじ込めるように作られている。

いずれもニコンの純正品である。
このリングだけでも、非常に工作精度が高く存在の意義は大きい。
さらには専用のレンズキャップさえも、金属削り出しの高精度なもの。
ここまでやるか?のオーバースペックさ。理解に苦しむがマニヤには嬉しい姿勢である。

金屏風にはマクロニッコールが似合う

レンズの姿を撮るには背景が重要である。
もちろん、外に出て、海を背景に、また山を背景も絵になる。
森に入ってもよい。みどりの稲がそよぐ田園を背景にすれば日本が写る。
テーブルフォトにしても白い背景もそれはそれでよいし利点も多いが、 たまには背景を豪華にしたい。

マクロニッコールといえば金屏風である。
これもいろいろと探して試してみたが、どうも金属質の金ピカでは気分が出ない。
京都の老舗人形店から、人形展示用の小型金屏風を四曲三隻取り寄せてみた。
ようするに4枚折りの屏風を3枚。これが金色の色調がドンピシャ。
沈んだ重たい日本の伝統色の金色がよいのだ。
ゴールドではなく佐渡の山吹砂金色。
圧倒的なジャパネスク丸出しの重厚なプレゼンス。
金屏風は空間領域を設定するばかりではなく、気を定位させるパワーを持つ。

なにか京都のみやげもの店に、 おこづかい2000円持って入った修学旅行の中学生みたいな気分のセッティングではあるが、 本ウェブサイトは海外からのアクセスも多いので、 ここはベタにクールジャパンでぶれずにいきたい。

金屏風にはマクロニッコールが似合う

赤、黄色、みず色、そして白のマクロニッコール

2016年の追記

このコンテンツのオリジナルは、 2001年10月に当ウェブサイトをリリースしたと同時に公開したものです。 2016年の見直しを機会に、大幅に内容を修正し拡大しました。
画像も新たに撮り下ろしたものを追加してみました。

マクロニッコールは今ではポピュラーなレンズとなり、 本格的に実用される方が増えてきて、 さらには非常に優れた科学写真を出版物等で発表されている方もいらっしゃいます。
時代を超えてよいものは残るし、現在でも性能的に通用するものだと実感しています。

装置としての写真機は、フィルムからデジタルにほぼ移行したと言えるでしょう。
撮像媒体を入れた暗箱(写真機)は時代とともに環境に順応できない面も出てきますが、 レンズはフィルムの時代であっても、デジタルになっても使うことができます。
時代の優れたレンズは環境が変わっても生き続けます。

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