EL Nikkor 105mm F5.6N
Stylish Old Nippon Kogaku EL Nikkor 105mm F5.6N Casual Mountain EL Nikkor ● はじめに いかにも婦女子(現代では死語)かヤング(古語)ウケを狙った、 スタイリッシュでキャッチーなお部屋シーンをツカミ画像に置いて話は始まる。 35ミリライカ判フォーマットで 105ミリのレンズと言えば、 趣味人の旦那衆の世界で王者として君臨していたのがライツのエルマー 10.5cm F6.3 である。 歴史的愛称は「マウンテンエルマー」。 東京は新宿。歌舞伎町一丁目にかつてあった新宿コマ劇場。 1階の飲食店が入る雑多なスペースに中古カメラ文化史に残るお店があった。「カメラのいがらし」。 すでに伝説化しているが、敷居の高さは 2メートル。そもそも売ってくれない。 ツァイス命のご主人の目にかなった高級カメラは赤い小さい座布団の上に鎮座していた。 商品の横には小さい白い短冊が添えられていて、 10億円のマンションポエムなど足元に及ばない白樺派の美辞麗句を駆使した商品説明が毛筆で認められていた。 「マウンテンエルマー」など素人の言説ではなく「マウントエルマー」と揮毫されているのを鮮烈に記憶している。 話を正確にするために、紙文書による記録エビデンスが残っている情報を精査してみた。 1994年 9月の取材メモに記録があった。ズマール 5cm F2付きのライカ IIIブラックペイント。 ニッケルのレジット(固定鏡胴)ズマールだ。プライスタグはなんと百万円。 添えられた短冊には「このレンズ見たことありますか。二度と出ないレンズ」。 そうそう、二度と出ないはお約束の檄文だった。 ほんとに百万円で販売したのかは定かでないが、そこから商談はお茶を飲みながらスタートということだったと思う。 オールドライカの横道から日本光学に話を戻すと、105ミリのレンズと言えば、 Sマウントの時代も Fマウントの時代も、ニッコール 105mm F2.5 がプレスの定番だった。 そして「マウンテンニッコール」と近時代(正確には1992年 7月 4日)になって無理やりネーミングされた、 ニッコール T 10.5cm F4 は今でも安定した人気を保っている。 ニッコールは 105ミリがおもしろい。ならば EL ニッコールも 105ミリなのか。 別に意識して集めていたわけではないが、 私の手元にはずいぶん昔にデッドストック未使用新品という理由だけで購入したレンズがある。 EL ニッコール 105mm F5.6N である。
EL Nikkor 105mm F5.6N ● 記事のご案内 すべての場面において、画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → では最初のお話。 第 1 章 レンズデータ ショートカットはこちらからです。
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● あとがき 本記事の初稿は2022年3月にリリースしました。
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