![]() EL Nikkor 75mm F4
Classic View Exotic Aperture F45 Textures You Can Almost Feel EL Nikkor 75mm F4 The Iconic Go-to Lens A 75mm F4 Like No Other Nothing Weighing You Down
![]() EL Nikkor 75mm F4 ● 口上 生まれたときから地味で、けっしてスターにはなれなかったレンズだった。 だって写真の引き伸しレンズである。 写真場用ニコラペルシャイトでもないし、劇場映画用キノプテック・アポクロマット鏡玉でもない。 ザイスのキューブリック・プラナーのような物語もない。 それでも寡黙に 50年間仕事をしてきた今、レンズ人生を語ると言う。 3群4枚シンプル・アンド・プリミチブな高性能レンズの話を聞こうぢゃないか。 ● はじめに フィルムカメラ全盛の時代。主流は一眼レフだった。一眼レフ用の交換レンズは、レンズの花形だ。 ニコンに目を向けるとそれはニッコールレンズ。 種類をざっくり言えば、魚眼、広角、標準、望遠、ズーム、特殊。 カタログも立派なものが製作された。 1971年東京。渋谷のハイソな東急百貨店本店から道玄坂を下り老舗くじら料理店を横に見て、 大人しか歩いていない原宿表参道から代々木カメラを経由して路地裏の現金問屋淀橋写真商会に出る。 昭和のやさぐれ感は新宿思い出横丁のつるかめ食堂。 純喫茶のスカラ座に王城。手にはニッコールレンズがあった。 同じレンズでも、写真引き伸し用のレンズとなると、印象が異なる。 レンズは表舞台に出て来ない。縁の下の力持ち的な存在だった。 ニコンのそれは、エル・ニッコール。地味な存在だった。 誰も EL ニッコールを手に、 重たい引き伸し機を背負って麻布台ヒルズからアマンレジデンス東京前を歩いていない。 2002年 5月のこと。EL ニッコール 75mm F4 を入手した。 34.5ミリ径の小さいレンズキャップがほしくて買ったようなものだ。USED品である。 長い間、ほんらいの写真引き伸しの用途に使われず、 かと言って撮影用レンズとしても使われず、 Nikon純正プラスチック製格納容器に入れられて自宅待機の日々が過ぎた。
![]() EL Nikkor 75mm F4 2019年夏。フルサイズのミラーレス機ニコン・ゼットを手に入れた。 やっと、EL ニッコール 75mm F4 はファーストライトを迎えた。 いらい 4年間に渡り、実写画像を多数ストックしてきた。 そんなバックグラウンドを俯瞰しながら、レンズを評価してみた。 控え目で、寡黙な高性能レンズ、EL ニッコール 75mm F4 の物語。 ● 記事のご案内 すべての場面において、画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。 細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。 → では最初のお話。 第 1 章 レンズデータ ショートカットはこちらからです。
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● あとがき 本記事の初稿は2023年12月にリリースしました。
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