June 2010, Nikon Kenkyukai Tokyo, Meeting Report

歴代のニコンセールスマニュアル

June 19, 2010
Tokyo Meeting
Nikon Sales Manuals
Show and Tell Special
Zoom Nikkor 43-86mm

特集ニコンセールスマニュアル

六月の梅雨どきの、あいだの晴れ間が京橋に日傘。 銀座一丁目の先まで、京橋に歩く。 京橋の「ダンヒルナミキの博物館」をみて、 アフタヌーンティーでお茶の時間が東京の午後。 2010年6月のニコン研究会の例会。 メインテーマは、ニコンセールスマニュアルの俯瞰と検証、 そしてニコフレックス研究で勢いあまっての、43−86ズームの研究となりました。

東京は京橋の明治屋は日傘の午後

銀座一丁目の先に京橋の夏もよう

 

パイロット社の博物館のある大人のカフェ

無謀な企画もすんなり実現

ニコン研究会の毎月のテーマは、前月に決定します。 しかしながら、ときどき、 そんなテーマを設定してモノが集まるのだろうかと心配になるときがあります。 今月は、まさにその心配のテーマでした。 ニコンセールスマニュアルを特集しようということになりました。 もともと一般には入手できない、 主にカメラ店のスタッフ向けに製品を説明したのが ニコンのセールスマニュアルなのです。 そんな心配も例会が始まり、会員が集まり出すと吹き飛びました。 テーブルの上には、見たこともないマニュアルが多数並んだのです。

黄色い表紙のニコン製品セールスマニュアル

OPフィッシュアイニッコール10mm F5.6

ニコンFモータードライブ

モータードライブ関連アクセサリー

写真を見るだけでも楽しいずらりと勢ぞろいのニコンとニッコールレンズ

1970年代のニコンカメラとニッコールレンズのセールスマニュアル

ニッコールレンズのセールスマニュアル

ニコンが科学技術に身近に貢献していた頃のフィッシュアイニッコール

幻の工業用ニッコールレンズのセールスマニュアル

珍しいセールスマニュアルの1つが、 工業用ニッコールレンズのセールスマニュアルでしょう。 このセールスマニュアルは、もともとカメラ店に置かれたものではなく、 企業や大学などの研究機関にごく少数提供されたものと考えられます。 仕事で使っていた方は、 約40年も前のことですからとっくの昔に廃棄してしまったことでしょう。 唯一ほぼ完全な形で残っていたのがこの1冊なのです。 For Industry、Commerce、Graphic Arts、Scienceという内容ですから、 見る人が見ると価値が理解できます。

幻の工業用ニッコールレンズのセールスマニュアル

ELニッコール63mm F3.5の近紫外域に踏み込む光学性能が出ている

プリンティングニッコールの前身のリプロニッコール100mm F2.8の姿も

蛍石を使ったウルトラマイクロニッコール30mm F1.2hの詳しい説明も

ウルトラマイクロニッコール165mm F4の詳しい性能が掲載されています

よくも集まったりのニコンセールスマニュアルが勢ぞろい

盛り上がるカメラ談義

いわゆるミラーレス・デジタル一眼レフカメラがカメラファンばかりではなく、 学生や女性にも人気なのは明白なじじつです。 パナソニックが最初に製品化し、 さらにオリンパスから、 さすがカメラメーカーの面目にかけた製品が投入され、 この市場がいっきにアクティブになりました。
フォーマットサイズが異なるものの、同じ線上のコンセプトで、 ソニーからも魅力的な製品が登場し、 ニコ研会員からも高い評価が聞こえてきます。

さて、ニコンからはどういう答えが出るのでしょう。 期待がいっきに高まっています。 思いつめた会員は、 新製品のプロトタイプを自分で作って持ち込みました。 この状況はほっておくことができません。 ニコンが出すミラーレス・デジタル一眼レフカメラは、 ニコンマニヤ向け仕様でないといけません。 カメラは携帯電話にまかせて、ぜひニコンには写真機を造ってほしいのです。
もうこれ以上、思いつめた会員を出してはいけない、 と誓いを新たにした例会でありました。

カメラより高価なミニファインダーの付いたデジタルニコン

思いつめたニコ研会員が発作的に持ち込んだ作品

会員から黎明期のカラーフィルムとカメラに関する研究が報告されました。 昭和4年(1929年)には すでにアサヒカメラにコダカラーの宣伝広告が掲載されていたことに驚きます。 ただしこれは16ミリ映画用のムービーフィルムとなります。 カラーフィルムの出現に合わせるかのように、 ゾナーを皮切りにレンズの開放f値が明るい製品が出てきます。

夏休みの自由研究についてプリントを確認するニコ研会員

また、戦後の昭和20年代、 米軍経由で入手したコダクロームで撮影を行なった当時の状況について、 報道写真家の小秋元龍プロから説明がありました。 ホワイトボードに描かれたイラストは、 撮影を終えたフィルムを専用の布袋に入れてハワイのコダック現像所に 送る作法なのです。

ニコンのビアジョッキもコレクションなのでしょうか。
夏なのでこれもよしとしましょう。

昭和20年代のコダクローム現像事情を解説する小秋元龍プロ

重量感のあるニコンUSAのビアジョッキ

ヨンサン・パーロク

数字シリーズは今回は、単焦点ではなく、ズームということになりました。
1200ミリ−1700ミリが何本も集まると、人の居場所がなくなるので、 ここは、ニコンのズームレンズと言ったらこれでしょう。 ヨンサン・パーロク。 たしかにこのレンズは、現代のレンズからすると規定外かもしれません。 でも、ニュートラルの50ミリを真ん中に、 糸巻き型収差と、 タル型収差をファインダー越しに学習できるレンズはこれしかありません。

と、書くと、ずいぶんなレンズのように思ってしまう方は素人。 このレンズの特色すべきもうひとつの特製が発色性。 コンタレックスのド派手な発色に馴れた人には、衝撃の俳句色。 ともかく日本の美が、大和の色彩が写るレンズなのです。

プロフェッショナルにも長く愛用されていた可愛いレンズ。 ズーム・ニッコール・オート・ヨンサン・パーロク。 これがいま再評価されているのです。

説明するまでもなくニコレックスズームとは兄弟なのです

ずいぶんと息の長い製品だったことに気がつきます

ウリ・コッホ氏の名著で勉強をし直しました

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