Nikon F High Speed Motor Drive Camera
Nikon Kenkyukai Tokyo Meeting Ultra Micro Nikkor Nikon F High Speed Motor Drive Camera Half Mirror 9 Frames Per Second
東京・八丁堀
運河にボート
初夏五月
ニコン研究会 2005年5月 ● ウルトラマイクロニッコール ニコン研究会の五月ミーティング。初夏のみどりの木陰、都心の運河にボートも白くまぶしい季節です。 工業用ニッコールレンズ特集の第1回。 この世界の代表的な存在であるウルトラマイクロニッコールの長焦点モデルがいくつか紹介されました。 工業用ニッコールレンズ研究家の秋山満夫が持ち込んだ、 ウルトラマイクロニッコール 125mm F2.8、ウルトラマイクロニッコール 135mm F4、 そしてウルトラマイクロニッコール 155mm F4の 3本について解説と、コレクターズ情報です。 堅いクルミ材でつくられた専用収納木箱の内装は、赤いビロード張り。 数値データが手書きされた検査証に、削り出し縮緬塗装のリアレンズキャップなど、 人のぬくもりのある工業機器だったことがかんじられます。
ウルトラマイクロニッコールと工業用ニッコールレンズ
ウルトラマイクロニッコール 125mm F2.8
ウルトラマイクロニッコール 135mm F4
中央にウルトラマイクロニッコール 155mm F4 ● 工業用ニッコールレンズ さらに会員から、 いくつかの工業用ニッコールレンズと歴史的ニッコールレンズの紹介がありました。 まずは写りに定評のあるマクロレンズ、CRTニッコール 55mm F1.2です。 さらに珍しいところでは、TVニッコール 35mm F0.9。 デジタル一眼レフカメラに装着して、ファインダーの開放 F0.9の明るいマクロ画像を確認しました。 歴史的ニッコールレンズは、大戦中の航空写真機に搭載されたエーロニッコール 20cm F3.5。 Aero-Nikkorは、日本光学ではエアロニッコールではなく、 エーロニッコールと表記しています。 まだまだ、大型カメラにマウントして活躍できそうなコンディションです。
CRTニッコール 55mm F1.2
TVニッコール 35mm F0.9
デジタル一眼レフに装着した TVニッコール 35mm F0.9
エーロニッコール 20cm F3.5 ● ニコンFの最初期のカタログ ニコンFをカタログなど印刷物から掘り下げるコーナーです。 ニコン研究会会員のコレクションから、非常に珍しいごく初期のカタログが紹介されました。 クラシックカメラ専科の表紙に登場したこともある、最初期の大型カタログです。
幻の最初期の大型カタログと取扱説明書(発行番号・日付記載なし) このカタログは2種類あり、 製品の販売価格、およびカタログの発行番号・日付が、まったく記載されていないものと、 記載されているものに分類できます。 今回は、この2種類のカタログの内容を比較検討しました。 中には、詳細の説明がぎっしり詰まっています。 カタログには、ボデイ番号 No. 6400002 のニコンFの写真が掲載されています。
大型カタログにはボデイ番号 No.6400002のニコンF
2番目に発行された小型カタログの表紙
2番目に発行された小型カタログが 3種類 最初期のころの元箱は、非常にゴージャスに造られています。 高級一眼レフカメラのオーナーになった当時のニコンファンの喜びがかんじられます。 最初期型の FULL AUTOMATIC REFLEX表記の元箱には、 5cm F2レンズ(No.520xxx)およびPat.No.刻印入りフードの、 オリジナル組み合わせニコンFが収納されています。
最初期型ニコンFのゴージャスな元箱とオリジナル組み合わせ ● ニコンF高速モータードライブの世界 ニコンF研究家の鈴木昭彦氏から、特別な紹介がありました。 報道用に開発された、ニコンF高速モータードライブ装置です。 テーブルの上には、未使用と思われる新品同様の、 コンクールコンデションのセットが並べられました。
稀少なニコンFコウソクモータードライブ元箱
電気モーター付き特殊ニコンFボデイと直流電源パック
大型の元箱に一式すべてがセットされています ニコンF高速モータードライブカメラは、 1972年の札幌冬季オリンピックのために開発された毎秒 7コマのモデルが最初です。 しかし毎秒 7コマの最高速で使う場合は、ミラーアップが必要であり、 専用のクリップオンタイプのファインダースコープ(ポロプリズム単眼鏡)を装着していました。
専用の使用説明書
使用説明書には調整し適合するボデイとモーター番号がスタンプ
未使用新品のニコンF特殊ボデイ ミラーアップをせず一眼レフの特徴を活かして撮影できないか、もっと高速にできないか。 この課題に取り組んだのが、半透明ミラーを使用した毎秒 9コマのモデルです。 透過率 65%、反射率 35%の高性能極薄ガラスハーフミラーが固定されています。 ファインダーはブラックアウトせず、一眼レフの特徴を活かして撮影に専念できます。 このカメラは、1976年のモントリオールオリンピックで使用され、 数々の競技の撮影に威力を発揮しました。
モーター内部には適合するボデイ番号のスタンプ
半透明固定ミラーと封印されているミラーアップ機構 このようにニコンF高速モータードライブカメラには、 7コマモデルと 9コマモデルがありますが、ここで紹介するのは、 最高速タイプの 9コマモデルです。 ミラーを作動させずに、毎秒 9コマの高速撮影を可能にする特殊ニコンFボデイ。 大型の元箱を開けると、モーター付きの特殊ニコンFボデイ、 直流電源パック、電源接続ケーブル、幅広の布製ストラップ、 それに専用の使用説明書がセットになっています。 ボデイとモーターは工場で調整され、適合するセットで元箱に収納されています。 写真すらもめったに見ることのない稀少なカメラです。
直流電源ケーブルは太くてごつい
アルミ板削り出しの電池ケースには単三電池 4本を 4セット収納 今回掲載するニコンF高速モータードライブ 9 fps 完全セットの画像は、 全世界で初めてインターネット公開するものです。 電源パックの中の構成など、初公開画像をお楽しみください。 ● ニコンF高速モータードライブの販売台数 ニコンF高速モータードライブの販売台数について調べてみました。 1991年7月にニコン本社で確認された信頼できる数値です。
7 fps 機、7 コマモデル(毎秒 7コマ) 54台 参考ですが、ニコン F2 高速モータードライブ(F2H)の販売台数は、501台です。 製造シリアル番号は、7850001〜7850557 とのこと。 販売台数の数字の根拠(情報の出所)は、海外のユーザーからの問合せにたいして、 ニコン本社(東京・丸の内)が回答したレターによります。 レターの日付は、1991年7月15日。 回答者である、 A. Sato氏(企画部ゼネラルマネージャー)、 F. Takahashi氏(同マネージャー)の署名が入っています。 いずれにしても、本記事で紹介している ニコンF高速モータードライブ 9 fps 機(毎秒 9コマ)は、 たった 34台しか販売されなかった特殊な機体ということです。
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