Christmas Meeting at JCII Camera Museum, Tokyo
Nikon Kenkyukai Tokyo Meeting 640F and Nikon I Fantastic Workshop
日本カメラ博物館・JCII会議室 ● クリスマス・ミーティング 12月は、クリスマス。 東京・半蔵門。日本カメラ博物館に、ニコン研究会の会員が集まりました。 稀少なアイテムの公開と特別なイベントがあることを聞きつけ、 ウィーンからピーター・ケルン氏も参加されました。 ちょうど博物館の方では「キヤノン展」が開催中であり、 こちらでも楽しむことができました。 まずは、初期型ニコンFの機械構造の変化にかんする考察。 ニコンF研究家の鈴木昭彦氏による分解の実際と、説明が行われました。
ニコンFのパーツがフルセット
ニコンF No. 6400460のトップカバーとミラーボックスナンバーのけがき
ニコンF No. 6401367のトップカバーとミラーボックスナンバーのけがき ● ニコンFミラーボックスの検証 ニコンFの内部機構は、ミラーボックスを検証することから始まります。 ニコンを知る上で重要な基本文献となっている、 荒川龍彦氏著の「明るい暗箱」には、 クイック・リターンシステムにかんする設計変更の話題が出ています。 昭和34年(1959年)の話です。 2本のスプリングから1本のスプリングで動作できるように、機構が変更になっています。 この点を確認するために、 なかなか実物を見る機会がないミラーボックスを比べてみました。 最初期のニコンFはスプリングが2本、 その後は1本のスプリングになっているのが検証できました。
反射鏡駆動装置(ミラーボックス)を取り出してみます 左と中央は2本スプリング、比較のため右に1本スプリング 最初期型のNo. 6400460とNo. 6401367は2本スプリングです No. 6400460 No. 6401367
手際よい動きでニコンFの組み立てが進みます
キリのいい製造番号のNo.6408000 ニコンF。スクリーンも稀少種です ● ニコンI型特別研究 ニコンI型の収集で世界的に有名な、 ニコン研究会会員のタッド・佐藤氏がコレクションを持参されました。 氏はニコンI型をなんと7台所有されていますが、今回はその中から3台が登場です。
ずらり揃ったニコンI型のシンプルで美しいフォルム
最初の製造モデルのニコンI型 No. 60924 !!!!!!
動作絶好調のニコンI型 No. 609299 !!!
ニコンI型 No. 609331 !!! 赤点付きシャッターボタンは中期以降の特徴
製造時期により大きさが異なるMIOJ刻印に込められた反骨の意思
貴重なニコンI型を手にとり研究するピーター・ケルン氏
60924
ザ・ニコンカメラ 60924
ニコン史上最も美しいI型写真機の機械様式美
レンズは5cm F2 驚愕のNo. 70811 !!!
最初期のI型はメートル表記なのです ● ニッコール2.5センチF4 Sニッコールのレンズ個別研究は、ニッコール2.5センチF4を取り上げました。 貴重な超広角レンズです。 なによりも、その特異な姿が印象的な、美しいレンズなのです。 精緻な刻印、最高のめっきとペイント。 そして精巧なつくりの対称型レンズが収まっています。 このレンズは、S型ニコンのギアと連動してのみピントを合わせることができます。
W-ニッコール2.5センチ F4 No. 403329
W-ニッコール2.5センチ F4 No. 404527
W-ニッコール2.5センチ F4 No. 404157
ニコンI型にW-ニッコール2.5センチ F4と専用ファインダーをセット
これまた珍しいライカマウントのW-ニッコール2.5センチ F4 No. 502769
番号が珍しいということで COM-Nikkor 37mm F1.4 No. 800001 ● ニコンI型で撮る! スペシアルイベントが続きます。 ニコンI型に実際にフィルムを装填し、撮影を敢行しました。 ずっと使い続けていたニコンI型です。最近ニコンでオーバーホールしたばかり。 機械は絶好調。オリジナルの布幕シャッター。 小気味よい音でシャッターが切れました。
ニコンI型のフィルム装填作法とI型による実写大会 ● きわめて稀少な「ニコン新型ユニバーサルファインダー」 こんかい特別に、タッド・佐藤氏のコレクションから、 きわめて珍しいファインダーを見せていただきました。 ご存知のとおり、日本光学はS型ニコン用に、 変倍式のファインダーを各種製造し販売していましたが、 こんかいのミーティングに登場したのは、日本光学が試作品だけ造り、 世の中に出なかった存在すら幻の、 ウルトラレアなユニバーサルファインダー(変倍ファインダー)なのです。
ニコン新型ユニバーサルファインダー
ニコン新型ユニバーサルファインダー ニコンS2の時代となりますが、当時の文献に日本光学の更田正彦氏が 「ニコン新型ユニバーサルファインダー」と題した技術解説を掲載しています。 ファインダーの方式はアルバタ式光像ファインダーの原理と同じであること、 アダプターをファインダーの対物レンズの前に装着すると、 超広角2.8センチの視界枠(フレーム枠)が出るとの説明があります。 記事に添えられたフレーム枠を示す風景写真は、当時の銀座四丁目は服部時計店を望む平和な景色。 高いビルがまったくなく、日中なのにメインストリート銀座通りには人も車もきわめて少なく、 まるい旧型の都電だけが悠長に動いています。 とくべつなファインダーですから、カメラもとくべつにS2黒塗装モデルにセットしています。 レンズも黒塗装バージョンに注目です。 このファインダーはターレット式で、 3.5cm、8.5cm、10.5cm、13.5cmの各種フレーム枠が見える仕組みになっています。 重厚な造りと黒塗装の美しさには、はっきり言ってしびれました。
正面からみたニコン新型ユニバーサルファインダー
背面からみたニコン新型ユニバーサルファインダー
特殊な形状のニコン新型ユニバーサルファインダー
ご参考:
The Complete Nikon Rangefinder System
THE NIKON ALBADA TYPE VARIFRAME PROTOTYPE ● クリスマスディナー
銀座夕暮れ 半蔵門のカメラ博物館から夕暮れ時の銀座へ移動。 銀座五丁目は、レストラン清月堂 LINTARO。ニコン研究会恒例の年末お食事会であります。 おでんに焼き鳥もスノッブでよいのですが、 青年の集まりですから12月はクリスマスということになります。 いつもの会場で、個室をリザーブしてディナーです。 ドライなシャンパンで、ニコンカメラ談義は全開となりました。 レストランに入る前に、銀座のカメラ店を偵察したわずかな時間で、 ニコン5cm F2用の珍しいドーム型キャップをレンズ込みで発掘した会員がいます。 さすがです。 ディナーのテーブルでも、ニコンI型にフィルムを装填し、実写を敢行しました。 フィルムの装填および試写は、ベトナム戦争で活躍したプレスの小秋元龍氏です。 やはり、プロはすごい。 なんともあざやかな、レンジファインダー操作でありました。
Copyright Michio Akiyama, Tokyo Japan 2004, 2022 |