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Nikon Kenkyukai Tokyo Meeting 1976 Montreal Olympic Games Special Lenses for the PRESS Nikkor ED 400mm F3.5 Montreal Nikkor ED 600mm F5.6 Montreal TC-1 and TC-2 Nikon DEMO Cameras Nikon Optical Equipment ● 1976 モントリオール ED 超望遠レンズ 重要文化財級の稀少な超望遠レンズが登場しました。 日本光学が、1976年のモントリオール・オリンピックに向けて開発し、限定生産した報道機関用特別モデル。 ニッコール ED 400mm F3.5 モントリオール と ニッコール ED 600mm F5.6 モントリオール。 いずれも非市販品。 テレコンバーター TC-1 と TC-2。こちらも非市販品。 元箱入り新品の現物を初めて見ました。いきなり驚愕のコレクションからスタートです。
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ニッコール ED 400mm F3.5 モントリオール と
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ニッコール ED 400mm F3.5 モントリオール と このレンズが誕生した歴史的背景は、ニッコール千夜一夜物語 第六十六夜 AI Nikkor ED 400mm F3.5S(IF)に詳しい。 ニコンのレンズ設計者の大下孝一さんによる、 「超望遠のスタンダード AI Nikkor ED 400mm F3.5S(IF)」 とサブタイトルが付いた解説はレンズを知る上で重要な史料となっています。
![]() ニッコール ED 400mm F3.5 モントリオール ED 400mm F3.5 は、モントリオール・オリンピック報道用に開発されたレンズです。 光学系の中間にあるレンズを動かして焦点を合わせるニコン内焦方式を採用しています。 この方式だと、ピント位置にかかわらず全長を一定にすることができ、 最短撮影距離(このレンズでは 4.5 メートル)を短くでき、 しかも至近距離でもシャープな描写ができるなどの利点があります。 レンズ構成は 6群 8枚で、EDガラス(特殊低分散ガラス)を使っています。 重さ 2.6キロ。
![]() ニッコール ED 600mm F5.6 モントリオール ED 600mm F5.6 は、モントリオール・オリンピック報道用に開発されたレンズです。 光学系の中間にあるレンズを動かして焦点を合わせるニコン内焦方式を採用しています。 レンズ構成は 6群 7枚で、EDガラス(特殊低分散ガラス)を使っています。 最短撮影距離は 5.5 メートル。重さ 2.5キロ。
![]() 金属製レンズキャップ
![]() 巨大なねじ込み式専用フード ニッコール ED モントリオールをベースに、その後カタログモデルが市販されました。 ニコン100年史によると、1977年 6月に Ai 400mm F3.5 IF ED が発売となっています。 1977年に誕生した Ai方式が採用されています。 外観上の特徴は、大型のフードは内蔵式となり、 縮緬塗装を基調としたレンズ鏡胴デザインが大幅に変わり、 スマートな雰囲気の超望遠レンズとなりました。 ● 報道機関用 TC-1 と TC-2 おなじく、1976年のモントリオール・オリンピックに向けて開発された報道機関用特別モデル。 テレコンバーター TC-1 と TC-2。いずれも非市販品。 販売された当時の元箱に入った取説付きの TC-1 と TC-2 は非常に珍しく、 ネット上では画像が存在しません。 これら元箱に入った取説付きの TC-1 と TC-2 の画像は、今回全世界初の公開となります。 ちなみにニコン100年史では、 市販モデルとしてのテレコンバーター TC-200と TC-300 の発売は 1977年 5月であり、 1977年に誕生した Ai方式が採用されています。
![]() テレコンバーター TC-1 テレコンバーター TC-1 は、ニッコールレンズ用の 2倍コンバーターです。 焦点距離 200ミリ以下のレンズ用となっています。 レンズは 5群 7枚構成で、多層膜コートが採用されています。 カニ爪が Ai方式の穴が空いたものではなく、オートニッコール時代からの旧カニ爪であることに注目。
![]() テレコンバーター TC-1 このテレコンバーターが誕生した歴史的背景は、ニッコール千夜一夜物語 第七十三夜 Nikon Teleconverter TC-1・2× に詳しい。 ニコンのレンズ設計者の佐藤治夫さんによる 「学生の強い味方、純正品のテレコンバーターがついに登場」 とサブタイトルが付いた解説は、製品の立ち位置を知る上で重要な史料となっています。
![]() テレコンバーター TC-2 テレコンバーター TC-2 は、ニッコールレンズ用の 2倍コンバーターです。 焦点距離 300ミリ以上のレンズ用となっています。 レンズは 5群 5枚構成で、多層膜コートが採用されています。 カニ爪が Ai方式の穴が空いたものではなく、オートニッコール時代からの旧カニ爪であることに注目。
![]() レンズ前キャップは金属削り出し
![]() 美しく重厚なフォルム ● 非市販品の根拠 ニッコール ED 400mm F3.5 モントリオール とニッコール ED 600mm F5.6 モントリオール。 さらには、テレコンバーター TC-1 と テレコンバーター TC-2。 当時の文献(「アサヒカメラ」1976年 8月号) の新製品紹介のコーナーに掲載されていた説明文を参考にさせていただきました。 記事末尾に 「以上四機種はいずれもオリンピックのために開発されたもので、 目下のところ市販の予定はない。(日本光学)」 との、「予定はない」で強く文が終わるキッパリしたダメ押しが宣言されています。 この一文を根拠に、さらに 1976年〜1977年のニコンのカタログ類を精査しても記載がないことから、 非市販品と判断しました。 もう少し詳しく話をしましょう。 ニコンシステムチャートの紙モノ現物を調査し、 一般ユーザーの市場における事実関係を確認しましたのでここにまとめます。 (1)市販されなかったことの確認 ニコンシステムチャート 1976年(昭和51年)〜1977年(昭和52年)を精査。 非Aiの ED 400mm F3.5、同じく ED 600mm F5.6 が出ていないことを確認した。 さらに、非Aiの TC-1、TC-2 が出ていないことを確認した。 そもそも、TC-1、TC-2 という名前がどこにも出てこない。 (2)発売予告
1977年(昭和52年)3月25日現在付けのニコンシステムチャートに、
Ai 方式の説明が登場します。ここで初めて製品の発売予告が出てきます。 (3)発売 1977年(昭和52年)6月01日現在付けのニコンシステムチャートで、 これら 4製品が発売となったことが確認できました。 Ai TC-200 は 27,000円で発売となりましたが、 ほか 3製品は予定価格そのままの価格で発売となりました。 (4)参考 Ai TC-14 が登場するのは、さらに先であり、 1979年(昭和54年)3月01日現在付けのニコンチャートに初登場し、 60,000円で新発売となったことが確認できました。 ● 赤い D刻印入り DEMO機 デモ機が 3台テーブルの上に並びました。 赤い D (DEMO) 刻印がボディ背面に入ってます。 レンズの化粧リング廻りにも赤い D (DEMO) 刻印。 レンズ鏡胴に D (DEMO) 刻印があるタイプも。 外側だけで中身のないダミーモデルとは異なり、 実写が可能な実動する機体です。
![]() ニコン FA、ニコン F-301 と ニコン FE
![]() ニコン FA DEMO カメラ
![]() ニコン F-301 DEMO カメラ
![]() ニコン FA、ニコン F-301 と ニコン FE
![]() ニコン FE2のファインダースクリーン ● ニコンの木箱 ニコンの木箱が大中小と 3個置かれました。中身はニコンの光学機器のようです。 ニコン反射実体鏡(ステレオ・スコープ)、最初期の投影検査器レンズ、 そしてコリメーター調整用プリズムが紹介されました。 まずは、大きい箱から見ていきましょう。
![]() ニコンの大きい木箱
![]() ニコン反射実体鏡
![]() 反射実体鏡の使い方
![]() 最初期の投影検査器レンズ
![]() レンズは専門家によって完全にレストアされている
![]() ニコンの小さい木箱
![]() コリメーター調整用プリズム
![]() 精度の高いプリズム面
Copyright Michio Akiyama, Tokyo Japan 2023 |