Ultra Micro Nikkor 55mm F2 High Speed Engine

Ultra-Micro-Nikkor 55mm F2, High Speed Engine Super Resolution

ウルトラマイクロニッコール55mm F2

想像を絶するレンズ計算。最高のガラス材。史上初の使命。
ざくろ石を砕き、白金のるつぼでコーティング。
幻の10万馬力。蘇る伝説の極超高解像度鏡玉。
鋼鉄のような至上の高速エンジン。THE ULTRA MICRO NIKKOR 55mm F2。
超越した本物はすごい。
日本のハイエンドな工業用レンズ界のフォーミュラ1は、 ウルトラマイクロニッコールだ。

という重量感が走る賛を書いたのは2001年11月のことだった。
2016年のふり返りで、改めてウルトラマイクロニッコール55mm F2を見直してみた。

趣味のレンズ邂逅

人間も長くやっていると、趣味の一つもほしくなる。
仕事は生活だが、趣味は人生だ。
人生という日本語では、ちょっと語感がちがうな。
しいていえばLifeだ。趣味はLifeだ。
仕事は暮らすために趣味は生きるために。人はごはんを食べるために生きている。

ウルトラマイクロニッコールは、非常に力強いレンズだ。
持つとパワーをかんじる。レンズ1本で元気になれば安いものだ。

コレクションのために

ウルトラマイクロニッコール55mm F2は、28mm F1.8に比べると数が少ないようだ。
市場でもあまり目にすることはない。
とくに木箱入りだったら、見かけた段階で即入手がこの世界の掟だろう。
なぜって、むかしからそうと決まっているのだ。

レンズは見つかるが、ハコは見つからない。
こういった、業務用製品の宿命だ。一般家庭で買うものでもない。
カメラ好きのお父さんでも、さすが、このレンズは入手が不可能に近かったことだろう。

テクニカルデータ

ウルトラマイクロニッコール55mm F2の性能緒元をみてみよう。

−焦点距離: 55.8mm
−最大絞り: F2
−最小絞り: F8
−レンズ構成: 6群8枚
−基準倍率: 1/4X
−色収差補正波長域: 546.1nm (e-line)
−歪曲収差: 0.000%
−解像力: 500本/mm (12mmφ)
−画像サイズ: 12mmφ
−原稿サイズ: 48mmφ
−基準倍率における原稿から画像までの距離: 315mm
−重量: 325g

歪曲収差が0.000%とは素晴らしい。
さらに解像度500本/mmは驚愕ものである。

フィールドでのんびり自由に活躍する時代のレンズ
(撮影年は2001年7月)

抜群の写りと操作性

ニコン一眼レフカメラにL-F接続リングを介して取り付けてある。
ウルトラマイクロニッコール55mm F2はライカL39スクリューマウントのため、 こういったアダプタさえ用意できればどんなカメラでも使用が可能だ。
ほんとはR型ライカに取り付けてみるのが、分かっている人の使い方かもしれない。
この写真の姿写真に示すセット方法で、写真撮影可能だ。ピントが出る。
もちろんベローズ装置に付けて、長伸ばしにはビクともしない。鋼鉄のようなレンズだ。
運良くこのレンズを入手すると、まず手放す人はいない。
とりつかれてしまう、なにかをもっているのだ。ウルトラマイクロニッコール55mm F2は。

数値性能を超えるハイエンド

そういう意味では、やっかいなレンズかもしれない。
所有すると、なにもかにもがハイエンド志向になる。性能でものを論じてしまう。
これはまずい。性能は数値で論じるものではなく、かんじるものだ。

ニコンが、唯一ウルトラと冠したウルトラマイクロニッコール。
表舞台には、あまり登場することもなかった、天才設計家というよりも努力の技術者たちに、 私はすなおに感動する。

「そんなに急ぐことはない」
時空を超えて生き続ける数値限界を超える高性能レンズ

2016年の追記

本コンテンツは2001年11月当時のものです。
2016年現在、ふり返ってみると、カメラつまり写真機の事情は激変しました。
この当時の文章では、趣味人の写真機として一眼レフならばR型ライカではないかと提案しています。
1990年代末から2000年代初頭の事情を考察してみると、 本格的なデジタル一眼レフとしては、1998年12月末に登場したキヤノンEOS D6000が360万円と、 とても一般の写真趣味人が購入できるものではありませんでした。

2001年当時では、ニコンD1Xが61万円で登場しました。 それでもまだまだデジタル一眼レフは高価であり、 フィルム式の一眼レフカメラの方が一般の写真趣味人には優位であった頃です。
そんな背景から、本コンテンツには今となっては見当違いな見解も述べられています。
しかしながら、サイト設立直後の雰囲気と状況理解のために、このまま置いておくことにします。
2016年の見直しでは、当時1枚のみであった画像に、さらに未公開の画像を追加しました。
ウルトラマイクロニッコール55mm F2による実写の結果も以下にレポートしました。

ウルトラマイクロニッコール55mm F2による実写

実際にカメラにレンズをマウントし、自然光線の下で撮影してみました。
ウルトラマイクロニッコール55mm F2は、L39ライカスクリューマウントです。 特別のマウントアダプターを必要とせず、 市販のニコン純正のL-F接続リングを介してニコン一眼レフに装着しました。 レンズはリバースせずに順方向にマウントしています。

ふわっとした淡いピンク色の花の持つお菓子のような甘味を写してみました。
菜の花を高性能な工業用レンズで撮影する人は少ないでしょうが、 工業用レンズの持つ堅い無機質な印象とはかけ離れた華麗で立体感のある絵が出てきました。
陽のあたらない世界の片すみに咲く彼岸花。 この色調は、エルンスト・ハースの世界のようです。 背景のグリーン色と花の重たい赤色の結界に注目してください。 露出を詰めれば、さらに豊饒の光世界が表れてくるでしょう。
ウルトラマイクロニッコール55mm F2はそんなレンズなのです。

フィルム式の古い一眼レフカメラでも、最新型の最高機能を盛り込んだデジタルカメラでも、 誰でもウルトラマイクロニッコール55mm F2を使えば、 往年のコダクローム64の格調高い重厚な色調と立体感を持った映画のような総天然色画像が得られます。
実写画像をクリックすると少し大き目のサイズの画像が出ます。

お菓子のような甘い色彩を表現

菜の花に光線の遠くに立体感のあるボケ味

重厚華麗な総天然色映像で浮かび上がる彼岸花

Back to RED BOOK NIKKOR


Copyright Akiyama Michio, Tokyo Japan 2001, 2016