Ultra Micro Nikkor 125mm F2.8 THE LENS

美しく輝くレンズは国宝級美術品の風格

ザ・レンズ

森にレンズを置きに行く。
レンズも生き物であるから、空気が必要だ。
威風堂々。

ウルトラマイクロニッコール125mm F2.8 を手にすると、 なんともたくましい重量感に圧倒される。
開放絞りはF2.8。最小絞りがF8。半絞りのクリックがついている。
絞りは真円。15枚羽根の精密な仕上げ。
鏡胴のローレット加工はほれぼれする工業工芸美術品規格の出来栄えだ。
性能は理想レンズの測定限界を超えて、ウルトラたるゆえんのハイエンド。
どうどうたる、どうどうの威風堂々。
森にいてあたりを威圧する。
それほど力まなくてもいいのではないかとレンズに声をかけると、 森にいて緊張する場違いに気がついたのか、 しずかに美しいコーティングに天空を透過させた。

秋の稲田に輝く存在感のある重厚なレンズ

孤高の存在

世界のうごきとはかんけいない。
いま復活したのがウルトラマイクロニッコールだ。
全世界のウエブサイトでも、ウルトラマイクロニッコールの専門サイトは無い。
ウルトラマイクロニッコール。日本光学がつくりあげた世界唯一の製品だった。
競争する相手がいない。つくれば売れた。世界中に出荷された。

時代はまだレンズ単体での販売しか思いつかなかった。
日本光学のドル箱レンズは、高くても売れた。
この時代のレンズは、まだマシンというより人間の使う装置だった。
上等を超えて美術品のような鏡胴の金属加工、磨き上げられた光学ガラス。
とくべつの、きわめてとくべつに厳選されたガラス素材だけを使っている。
1点の気泡のないのはあたりまえだが、 光学限界に挑戦するガラスはどこまでもレンズである義務があった。 ザ・レンズと言われるゆえんだ。

ウルトラマイクロニッコールは孤高の存在だった

世界唯一の超技術

日常を排し、ハイエンド。限界の先にある極超高解像度の世界。
卓越した技と誇りを持つ人間のみが実現できる製造技術。
設計以上の高性能を実現した世界唯一の日本製品が ザ・レンズ、ウルトラマイクロニッコールだ。
夢のような極超高解像度レンズが単品で販売されていた時代は、 そう長くは続かない。
この先はレンズと機械をいっしょに売る体制となり、 ステッパー開発に向かった。
レンズ性能はさらに限界に挑むものであったが、 レンズの味、風景というものは時代のウルトラマイクロニッコールが最後である。
ステッパーの時代になると、マシンの一体となり、レンズは名を持たない。
名前のないレンズのようなものが取り付けられる時代になってしまった。
これは時代の趨勢でもあった。レンズはレンズではなくなった。

人生を軌道修正

いま私は、1965年に稲妻のようにデビューした ウルトラマイクロニッコール125mm F2.8を森に置いた。 そういうことなのである。
時空を超えて、磨き上げられたコーティングはどこまでも美しく、 音はしない。
名声をよしとせず、過去を語らず、群れない。 それがウルトラマイクロニッコールなのだ。
孤高でだれ知らず時代から消えようとしていた。
だから私は無視できない。
人生を軌道修正するレンズがあるのだ。

時空を超えて磨き上げられたレンズはどこまでも美しく音はしない

テクニカルデータ

ウルトラマイクロニッコール125mm F2.8の性能緒元をみてみよう。

−焦点距離: 125.0mm
−最大絞り: F2.8
−最小絞り: F8
−レンズ構成: 6群7枚
−基準倍率: 1/25X
−色収差補正波長域: 546.1nm (e-line)
−歪曲収差: -0.3%
−解像力: 400本/mm (28mmφ)
−画像サイズ: 28mmφ
−原稿サイズ: 700mmφ
−基準倍率における原稿から画像までの距離: 3364mm
−重量: 695g

焦点距離が125mmのレンズで解像力400本/mmとは驚愕ものである。
重量は約700g。ずしりとした重さに超高性能を実感する歴史的名レンズ。

2016年の追記

ここまでのコンテンツは2001年12月当時のものです。
2016年の見直しにあたり、画像を少し追加しました。
さらに2005年以降には、専用のニコンFマウントアダプターを特注して、 ニコン一眼レフによる実写も試みてみました。 以下にその様子をレポートします。

ウルトラマイクロニッコール125mm F2.8による実写

実写した第一印象は、色再現性に非常に優れたレンズということです。
記録媒体が、リバーサルフィルムであろうと、デジタルの撮像素子であろうと、 輝く被写体から総天然色のリアルで重厚な絵を正確に焼き付けことができます。
条件の厳しい光線環境で撮影をしてみましたが、色収差はまったく検出できませんでした。 銘にアポクロマートをうたっているわけではありませんが、 アポクロマートを超える馬力と描写性能を秘めていることがわかりました。
実写画像をクリックすると少し大き目のサイズの画像が出ます。

専用の特注ニコンFマウントアダプターでレンズを装着

季節は稲田の秋

静かに風そよぐ秋は稲田の風景

線路沿いの誰もみていない彼岸花の赤色

専用の特注ニコンFマウントアダプターでレンズを装着

季節は桜花の春

春陽光の下に華麗な色彩を放つ桜が躍動する

昭和30年代の日本映画の典型的な色彩を表現できるレンズ

コダクローム64のような重厚な発色の画像を叩き出す実力

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