Dr. Oguri's Power Job with COM Nikkor 37mm F1.4

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オシロイバナをCOMニッコール37mm F1.4で撮影
Photo: Copyright (c) 2002, Dr. Kazumasa Oguri, All Rights Reserved.

総天然色な科学写真

レンズばかりの画像を掲載していると、読者の方から、
「実際の写りはどうなのですか」
「市販レンズとくらべてどうですか」
はては
「本当に写るんですか」と質問がよせられる。

ここでは作例を中心に、実際にこの世界のレンズの写りを見ていただこう。
撮影にあたっては、これらのレンズを学術論文などの科学写真用に、 じっさいに研究で使われている理学博士の小栗さんの協力をいただいた。 作例は、あの、スパーレコーディングレンズ COM-Nikkor 37mm F1.4 だ。

私は小栗さんから送られてきた画像を見て驚愕した。 約660KBのサイズではあるが、今までみたことのない精細な、 そしてどこまでもニュートラルな発色の画像だった。

上の写真は、白粉花(オシロイバナ)の姿だ。 英語で Four O'clock という。学名は Mirabilis jalapa 。 ひじょうに香りのある描写である。 どこまでも清楚で、そして科学者の目をとらえた魅力を封じ込めている点はすごい。 彼からこの画像が届いたとき、驚愕するばかりでなく、 ディスプレイにフルサイズで写した「花」をみて、私は爽やかな感動を覚えた。

COM-Nikkor 37mm F1.4 は、生まれてこのかた、 ブラウン管表示装置でパルスを描く光軌を眺め続けていた。 それが仕事とはいえ、季節のない、あまり感動もない無機質な高速物理現象だつた。 それが、持ち主が、環境が変わるとどうだ。 オグリは、日曜日にこのレンズを手に、 COM-Nikkor 37mm F1.4の可能性をさぐるフィールドリサーチを敢行したのだ。 美しい天然色で清涼な花弁が写れば、レンズは花に昇華する。 だれがこの COM-Nikkor 37mm F1.4 で、ネイチャーフォトを想像しただろうか。


COM Nikkor 37mm F1.4

Focal length 37.2 mm, Max. aperture f/1.4, Min. aperture f/8, Lens construction 8 elements, 6 groups, Usable magnification range 1/7X - 1/10X, Corrected chromatic aberration range 400 - 650 nm, Vignettings 0%, Distortion +0.07%, Image size 15 mm dia., Original size 120 mm dia., Image distance at standard magnification 351 mm, Weight 300 g

ねこじゃらしの科学

下の写真は、拡大しすぎて、何かよく分からないかもしれない。 エノコログサの表情である。 ねこじゃらしという言い方のが、一般的なのかもしれない。 狗尾草とも書く。英語だと、Foxtail、Bristle Grassというらしい。 学名だとSetaria viridisとか。でもやはり、ねこじゃらしがなじむ。 あの穂先のような部分に極超接近して、はじめて理解できた生命が写っている。

すでに解説している通り、 COM-Nikkor 37mm F1.4 はロッコールグリーンのコーテングが凛々しい、超高性能レンズである。 みどりのみずみずしい描写は、とくいとするところだ。

もちろん一眼レフ用マクロレンズ、ニコンだったらマイクロニッコールを使えば、 かなりの性能を引き出せるだろう。 しかし、かなりの性能の、さらにはスレッショルド(閾値)を超えることを望む方もいるはずだ。 超えるための手段としては、ウルトラマイクロニッコールや、 COMニッコールなどの極超高解像力レンズ群に登場願うしかないのだ。 ねこじゃらしのヒゲの1本1本の造形と、種子の光沢をみてほしい。 この描写まで踏み込めるレンズとなると、民生用レンズでは探すのが困難だ。

レンズを選ぶことは思想であるが、思想だけでは自然は写らない。
小栗さんは小さな花と会話できる能力を持ち、 レンズを向けた瞬間に花も波動したことを私は確信する。 花、すなわち生き物は、生き物しにか反応しないものだ。
博物学は伝説の収集だが、 フィールドリサーチは高速フーリェ変換を超えた、事象と現実との対峙となる。

Special Thanks Dr. Oguri
小栗さん、ありがとうございました。

ねこじゃらしをCOMニッコール37mm F1.4で撮影
Photo: Copyright (c) 2002, Dr. Kazumasa Oguri, All Rights Reserved.

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写真協力:小栗一将 (Kazumasa OGURI)
撮影機材:COM-Nikkor 37mm F1.4 + Nikon COOLPIX5000

2016年の追記

このコンテンツのオリジナルは2002年9月に公開したものです。
2016年の見直しにあたり、すこしサイズの大きい画像を参照できるようにしました。 小栗さんの研究対象は現在ではさらに深いところに行ってしまいましたが、 2002年当時の様子ということで、文章はそのままにしてあります。

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