Dr. Oguri's Super Shot with Ultra Micro Nikkor 28mm F1.7e

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発光ダイオードをウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eで撮影
Photo: Copyright (c) 2002, Dr. Kazumasa Oguri, All Rights Reserved.

究極の選択

作例写真を協力者の方から入手した。
ウェブでの公開を了承いただいたので紹介したい。

これらの作例は、珍しいウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eを、 デジタルカメラにマウントして撮影した画像だ。 被写体は、米つぶほどのLED(発光ダイオード)である。
うすいみどり色に輝くLEDを真上から撮影した、 非常に学術的にも珍しい写真に仕上がっている。

撮影者である小栗さんは、堆積学が専門の地球科学系の研究者(理学博士)であるが、 必要に迫って高性能なマクロレンズを探していたという。
国産はむろん高価な海外製まで検討したそうだが、 結局ハイエンドなマクロ撮影ができることで注目したのがウルトラマイクロニッコールレンズだ。
すでに、製造はむろん販売を終了してから30年以上経過している。
しかし、彼の必要なものを引き寄せる力は強力で、 米国の光学分析機器代理店から交渉の上個人輸入した1本なのである。


Ultra Micro Nikkor 28mm F1.7e

Lens construction 10 elements 8 groups, Standard magnification 1/10X, Standard wavelength 546.1 nm (e-line), Vignettings 0%, Distortion -0.005%, Aerical resolving power 700 lines/mm (8 mm circle), Aerical resolving power 800 lines/mm (6 mm circle), Image area 8 mm circle, Subject area 80 mm circle, Overall working distance 315 mm,
Weight 465 g

発揮された超高性能

ウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eの性能について、 小栗さんから問い合わせを受けたのがきっかけで、 おつきあいをさせていただいている。
彼のおかげで、紹介していただいた米国の光学分析機器代理店から、 残っていた最後の2本のうちの1本を入手することができた。
「もう1本もすでに米国内向けに予約済みだけど、2つのレンズ番号のうち、 好きな番号を選んでOKだよ」とディラーに言われた。 有名な赤い澄みきったレンズである。
番号の若い方を選んだ。意味はない。

小栗さんは、海(湖)底に降り積もったものが地層になる過程をトレースする研究をされている。
湖底堆積物の断面をクローズアップ撮影する必要性から、 ご自分でデジタルカメラにウルトラマイクロニッコール28mm F1.7e をセットした撮影装置を組み上げたのだ。
テスト撮影ということで、身の回りにある電子部品を撮影したわけだ。
仕上がりは、ごらんの通りである。

高輝度の被写体も、きりりと映像を引きしめている。
バックのボケが美しいとか、そういった次元の話ではなく、 記録したい科学事象を的確に捉えているところが完成したレンズの証明である。
LEDのダイオードチップから飛び出す電子の動きとか、 ミニマグライトのハロゲンランプのフィラメントから蒸発する原子核が、 はっきりと映し出されているではないか。

撮影テクニック

ここで掲載した2枚の作例画像の撮影データは、以下の通りだ。

カメラ : Nikon COOLPIX 5000
レンズ : 内蔵Nikkor + UMN 28mmF1.7e
UMNアタッチメント : ワイドコンバージョンレンズアダプター改
(アダプター頭部にライカM-L変換リングをねじ込み、 さらに40.5mmリバースリングを付けたもの)

LED の画像 → 撮影倍率 : デジカメ表示で2.2倍、遠景モード、AE
電球の画像 → 撮影倍率 : デジカメ表示で2.6倍、遠景モード、AE

よみがえる科学技術写真の花

科学技術写真は芸術写真であると、よく言われる。
みえない事象がみえることが幸福と仮定するならば、 みるというオペレーションに立ち会えることはすばらしい。

地球さえもウルトラマイクロニッコールでみる研究者の出現を、 日本光学は予測もしなかっただろう。 今は世間から忘れ去られてしまった往年のスーパーレンズも、 ここへ来て、男を上げていることが私は自分のことのようにうれしい。

伊達や酔狂。
そう、これがなくては、おもしろくない。
英訳すると、Samurai Pride and Dreaming だ。
意味は通じないほうがよい。
意味がなければもっと美しいが。
なんとも美しい光だ。

ミニマグライトの電球部分をウルトラマイクロニッコール28mm F1.7eで撮影
Photo: Copyright (c) 2002, Dr. Kazumasa Oguri, All Rights Reserved.

2016年の追記

このコンテンツのオリジナルは2002年9月に公開したものです。
2016年の見直しにあたり、すこしサイズの大きい画像を参照できるようにしました。
小栗さんの研究対象は今ではさらに深いところに行ってしまいましたが、 2002年当時の様子ということで、文章はそのままにしてあります。

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