The Nikon Museum Special Exhibition "Prototype Cameras"

ニコンミュージアム

ニコン創立100周年記念企画展
第2回「カメラ試作機〜開発者たちの思い」
展示期間:2017年4月4日(火)〜7月1日(土)
開催場所:ニコンミュージアム(品川インターシティC棟、東京都港区)

こんなイカレタ、おっと失礼、こんな素敵な特別展ならば行くしかない。
2017年4月4日。お江戸の桜が咲き始めた頃。
ニコン研究会は特別展の初日に訪問しました。

当初はウェブサイトでの公開はしないつもりでした。
しかし数枚の画像を、facebookやtwitterなどのSNS、それにNikonGearなどのニコンファンサイトで示したところ、 反響が大きく、もっと画像を見せてほしいとの要望を受けました。

たしかに、海外からは、セルビアからはエストニアからは、ベルラーシからは、 そう簡単に日本のニコンミュージアムに行くことは難しいでしょう。
日本国内においても、首都圏から離れたところにお住まいですと、 すぐに品川のニコンミュージアムに行くことは難しいでしょう。
パソコンやスマホの画面でしかアクセスできない環境やら状況におかれている方もおいででしょう。 受験勉強でそれどころではない、仕事が忙しい、親の介護でたいへんなんだ。
そんな方々のために、行かれない方々のためにレポートを公開します。
もちろん行くことが可能な方は、ぜひともこの会期中にニコンミュージアムに行くことを強くおすすめします。

東京・品川 ニコン本社

お江戸は桜花見シーズン

ニコンミュージアムに乱入

今世紀最大の弩級の展示

従来からもニコン開発試作機の展示はいくつかの機会でわずかながらありました。
目録にきちんと残っており、有名なものでは、半蔵門の日本カメラ博物館で開催された「ニコン展」 (会期は2003年10月28日〜2004年3月21日)。
しかしながら、今回のニコンミュージアムにおける特別展はいままで見たことのない規模と、 なんといっても中身の充実さに素晴らしいものがあります。

ともかく、ミュージアムの中に入ってみましょう。

画像は大きく拡大できます:

展示物を撮影した画像は、画像の上で左クリックすると、大きいサイズの画像を表示できます。
細部までを確認したい方はどうぞ拡大してご覧ください。

テーマは「カメラ試作機−開発者たちの思い」

ニコンT型試作1号機 No. 6091 (1947年)

ニコンF開発試作機 (1957年)

優美な後姿を有するニコンF開発試作機 (1957年)

ニコン開発試作機ツリー

ニコン開発試作機ツリー

S型ライカマウント試作機 (1950年頃)

ニコンS3開発試作機 (1957年)

ニコンF改良試作機 (1959年)

ニコンFハーフサイズ開発試作機 (1960年)

ニコマートFT開発試作機 (1964年)

ニコンF2試作機の現物に驚く

ニコンF2開発試作機 (1964年)

ニコンF2フォトミック開発試作機 (1967年)

ニコンF2フォトミックS開発試作機 (1971年)

ショーケースの中がまたすごい

重要文化財級の逸品が並ぶショーケース

ニコンF3開発試作機が並ぶ

ニコンF3開発試作機 初期試作機 (1975年)

ニコンF3開発試作機 後期試作機 (1977年)

ニコンF3電子基板

さらに豪華な重要文化財が並ぶショーケース

8ミリ映画撮影機

小型映画全盛時代の試作機の数々

16mm 判カメラ開発試作機 (1957年)

さらに中身の濃い弩級のショーケース

拡大撮影装置試作機 (1968年)

なんと「ニコンマクロユニットNB-1」の試作機が残っていたとは
初日から数日後レンズ(緑帯50mm F2.8)が1本追加されました

ニコンマクロユニットNB-1の現物を見ることができるとは思いませんでした。
幻の存在だったのです。
一般に入手しうる一次資料という条件において、 外観画像と仕様図面について唯一掲載されていたのが 昭和44年(1969年)共立出版発行の「ニコンFニコマートマニュアル」です。
ニコンFの実質的な設計者であった日本光学の堀邦彦氏が監修した文献です。
206ページから208ページにわたり、詳細の図面2枚と外観の写真画像2枚が掲載されています。
専用レンズは、28mm F1.8、50mm F3.5、80mm F5.6、150mm F9の4本となっています。

今回のニコンミュージアムに展示された試作機は、 「ニコンFニコマートマニュアル」に掲載されているものとレンズが仕様も外観も大幅に異なります。

青帯 マクロニッコール28mm F1.4 M=10
緑帯 マクロニッコール50mm F2.8 M=6
黄帯 マクロニッコール80mm F4 M=3
赤帯 マクロニッコール150mm F5.6 M=1

カメラ部門が開発したマクロニッコール(MACRO Nikkor)であって、 マイクロニッコール(MICRO Nikkor)ではないことが注目すべき点です。
株式会社ニコンの佐藤治夫氏が、ニッコール千夜一夜物語(第25夜)で言及されている「マクロニッコール」とは、 3種類ということからこれらのレンズを指します。
その部分を以下に引用させていただきます。

まぼろしのマクロニッコール

お客様に「マイクロニッコールがあるのに、マクロニッコールは無いの ?」と聞かれることがあります。 実はきちんと存在しています。
ここで、ちょっとだけ開発の裏側を見てみましょう。

実はF用マイクロニッコールの開発時期と時をあわせて、 顕微鏡部門でもマクロ写真装置開発の計画が進行していました。
この開発が大型マクロ写真撮影装置(マルチフォト)につながります。 妥協の無い商品開発は、まさしくニコンの伝統です。
計画はラージフォーマットを基準としたカメラ(撮影装置)まで発展していきます。
その開発の中で数本のマクロニッコールが誕生します。

また、当時のカメラ部門でも35mm判マクロニッコール計画がありました。
スペックの異なる3種類のマクロニッコールが設計・試作されました。
光学性能は充分満足できるものだったと記録にあります。
しかし、当社(顕微鏡部門)には既に本格的なマクロ撮影装置の計画があったのです。
したがって、大変残念なことにFマウントのベローズに対応するマクロニッコールの商品化はされませんでした。
しかし、マクロニッコールはその後、産業用、工業用には「プリンティングニッコール」へ発展し、 写真用には大判カメラ用の「アポマクロニッコール」に発展していくのです。
いずれにしても、高解像で光学系としては究極の姿でした。

ニッコール千夜一夜物語(第25夜)から引用

うーむ。
何度読んでもこの最後の、「高解像で光学系としては究極の姿でした」という檄文にはガツンときます。
さて、展示では載物台が欠落していました。 実際の使い方は、拡大撮影装置本体の上にカメラが位置し、下にレンズが装着されます。 レンズの先には載物台が装備されるスタイルです。

ニコンF用防音ケース試作機 (1966年)

中判カメラ開発試作機 6 x 7センチ判 (1966年)

手書きのニコンF機械構造図

ありがとうニコンミュージアム

ミュージアムの巨大なショーケース(常設展示)

謝辞

開催初日の当日は、ニコン研究会から小秋元龍会長、鈴木昭彦、秋山満夫、 それに、ニコン研究会青年部の小堤健吾の4名で見学させていただきました。

ニコンミュージアムの岩田浩満さんにはお忙しい中ご説明をいただきありがとうございました。
また、ニコンフェローの後藤哲朗さんからは特別のご高配を賜りありがとうございました。
会場でごいっしょしました日本大学藝術学部写真学科の豊田堅二先生からも貴重なお話を聞くことができました。 そのせつはまことにありがとうございました。

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