August 2011, Nikon Kenkyukai Tokyo, Meeting Report

Great Vintage Nikkor 5cm F2.8 No. 2808

August 20, 2011

Nikon Kenkyukai

30th Anniversary

Vintage Early Nikkor

Super Tokyo Meeting

株式会社ニコン大井製作所を訪問

ニコン研究会は、 ニコンの聖地とも言われている総本山である大井製作所を訪問しました。
株式会社ニコン大井製作所、東京は品川区に位置します。
敷地内にある近代的なビルが大井ウエストビルです。 1階ロビーにメンバーが集結しました。

株式会社ニコン大井製作所に乱入したニコ研会員

株式会社ニコン大井製作所ウエストビルロビーにて

今回の訪問の目的は、 戦前のニッコールレンズにかんする勉強会をニコン歴史資料室と合同開催することです。
また、ことしはニコン研究会が活動を開始して、ちょうど30年にあたる年です。
このニコン研究会30周年のご挨拶を兼ねての訪問ともなりました。

完全武装で乗り込んだニコン研究会会員を迎えてくださいましたのが、 ニコンカメラ・プロフェッショナルといえばこの方、 そうです、株式会社ニコン顧問兼フェローであり、 映像カンパニー後藤研究室室長の後藤哲朗氏であります。
後藤哲朗氏からは勉強会の開催のご挨拶をいただきました。

株式会社ニコン映像カンパニー後藤研究室室長 後藤哲朗氏

ニコン研究会30周年

伊藤幹生氏、そして後藤哲朗氏からあたたかいお言葉をいただき、 さっそくプレゼンテーション・セッションから勉強会が始まりました。

まず最初に、ニコン研究会の初芝信次会員から、 プレゼンテーション「ニコン研究会30の歩み」がスタートしました。
各種資料とデータを駆使して、 ニコン研究会30年の道程が説明されました。
一口にに30年と言いますが、当時二十歳だった青年が50歳、 100歳だった大人が130歳になるわけですから、長い時間を実感しました。

ニコン研究会30年の歩み 1981〜2011

ニコン研究会の主な研究テーマの解説

日本光学とニコン研究会の歴史年表(ニコン研究会資料)

戦前の写真鏡玉

続きまして、メイン・プレゼンテーションは、 株式会社ニコンは歴史資料室の伊藤幹生氏による「戦前の写真鏡玉」。
今回の勉強会のメインテーマである、「戦前のニッコールレンズ」 にかんする研究報告です。

「戦前」をここで定義しないといけません。
日本史における「戦前」となると、 ストイックな方ならば、 室町時代の応仁元年(1467年)に発生した「応仁の乱」の前とおもうでしょう。
おもいつめた方ならば、 慶応4年(1868年)の戊辰戦争の前のことかと思想するでしょう。
でもまあ、ここでは、そうカタイことを言わないで、 大東亜戦争前の時代と定義します。

伊藤幹生氏によるプレゼンテーション「戦前の写真鏡玉」(非公開)

伊藤幹生氏によるプレゼンテーション「戦前の写真鏡玉」は、 綿密な調査と発掘に基づく、日本光学のレンズ開発史なのであります。
いずれしかるべき形で公開されると思いますので、 詳細の内容にかんするウェブ上での言及は差し控えさせていただきます。

株式会社ニコン広報課歴史資料室 伊藤幹生氏

日本光学製最初期の写真レンズとカメラ(ニコン研究会資料)

ニコン研究会からは、 「アニターレンズ」の説明が特別資料により行われました。

続いて、初芝信次会員による プレゼンテーション「アニターの研究」。 実物がほとんど存在しない幻のレンズの姿を探求しています。

アニター鏡玉の現存する各型の解説

こんなところにも旧型と新型の区別が見えてくる

戦前のニッコールレンズを見る

さて、プレゼンテーション・セッションが終わり、 次は実際にモノを見て、触って、そして実際に撮影してみようという、 ワークショップ・セッションに突入しました。

合同勉強会の会場には、 株式会社ニコン・映像カンパニー・後藤研究室から 現役の設計者やコンセプターの方々が参加いただきました。 三浦康晶氏に川路浩平氏です。
さらに、株式会社ニコン・映像カンパニー・開発本部からは、 ニッコール千夜一夜物語で有名な、佐藤治夫氏と大下孝一氏のご両名に参加いただくいという、 なんとも贅沢なスーパーセッションとなったのです。

ニコン歴史資料室が用意くださいました、 ツァイス・ブルーのプレゼンテーション・カーペットの上には、 希少な戦前の日本光学製レンズとアイテムが並びました。

戦前のニッコール鏡玉の広告(本物)を検証するニコン関係者の面々

現物を並べてみると当時の光学技術者の志が見えてくる(川越コレクション)

セイキコウガクコギオの写真機には日本光学製ニッコール鏡玉

ハンザ・クワノンとニッコール鏡玉

非常に貴重な当時の検査証タグ(ボデイとレンズが独立)

川越コレクションを解説する川越会員

ニコンDNAを多型部位分析する後藤哲朗氏

プリミティブに美しいニッコール5cm F4.5

ニッコール5cm F3.5

精機光学クワノン

ニッコール5cm F3.5

クワノンカメラ

白マスクのニッコール5cm F3.5

黒マスクのニッコール5cm F2.8 株式会社ニコン蔵

これが幻の黒マスク・ニッコール5cm F2.8だ!! 株式会社ニコン蔵

リリーとガラス乾板

ツァイス・ブルーのコンタックス・カーペットの上には、六櫻社のリリー号。
アニター12センチ付きのリリーが日本光学の社内で販売されたとの記録がありますが、 実物の確認は困難を極めています。
ここに登場しているのは、ニッコール12センチ付きの六櫻社リリー号です。
時代のガラス乾板をセットする木製のフォルダーも用意してみました。
日本光学にガラス乾板用の木製フォルダーがあったのかとのコメントもありましたが、 大きい方のガラス乾板用の木製フォルダーは正真正銘の日本光学製です。
もっとも、日本光学を示すロゴや刻印は入っていません。
当時の写真機(木製暗箱)メーカーに外注したものと思われます。

ニッコール12センチ付きリリー写真機

日本光学製のガラス乾板用木製フォルダー
(左の大型乾板は秋山コレクション、右の小型乾板は初芝コレクション)

昭和の精密木工技術が冴えるガラス乾板用木製フォルダー

幻のアニター鏡玉

さてさて、勉強会も終盤です。
しかしながら、一向にマニヤ指数の高い議論は収束しません。
盛り上がりっぱなしの勉強会が続きます。
いよいよ幻のアニター鏡玉の登場です。
世紀の希少日本光学製レンズ、アニターの登場で、 盛り上がりは最高沸点に達しました。

予備知識のない方は、まずは、ニコンのウェブサイトから、 知られざるニコンの歴史「アニター・レンズ」をご覧いただきいたいと思います。

世紀の希少レンズ「幻のアニター鏡玉」の登場に群がる群衆

左にニッコール12センチ F4.5、右にアニター12センチ F4.5

左にアニター 12cm F4.5、右にアニター 10.7cm F4.5試作品(共にニコン蔵)

正真正銘のアニター鏡玉12センチ(ニコン蔵)

アニター鏡玉12センチを35ミリフィルムカメラに装着してみた

アニター鏡玉の35ミリフィルムカメラによる軽快な撮影

カメラをデジタル一眼レフに変えてアニター鏡玉によるマクロ描写に注目!
(被写体のニコンFのシリアルがなんですが気にしないように)

こんどはニコンのコンデジを突っ込んでコリメート法による撮影

この描写!マクロレンズはアニター鏡玉12センチに限る!

幻のアニターで記念写真を撮る

盛り上がりっぱなしのワークショップ・セッションが続きます。
以下の盛り上がり中継の画像は、後藤哲朗氏が撮影された、 オリジナルはクールピクスによる大容量のパノラマ映像です。
ウエブに掲載するためにかなり縮小してしまいましたが、 雰囲気をお伝えしたいために以下に掲載させていただきます。

この盛り上がり、この興奮、超エキサイティングなワークショップ風景

参加者全員で記念写真撮影となりました。
戦前のニッコールレンズ、幻のアニター鏡玉で撮る記念写真です。
スピードグラフィックのセットアップ、構図を決めて、シャッターは小秋元プロ。
さて幻のアニター鏡玉によるフィルムカメラ撮影の結果はどうでしょうか。

幻のアニター鏡玉で撮る記念写真

小秋元龍プロによる記念撮影を敢行(アニター鏡玉使用)

オリジナルのプリントを手に取ってご覧にいただけないのが残念ではありますが、 アニター鏡玉の精緻な上がりが予想以上に素晴らしく、 後日、小秋元龍プロのダークルームオペレーションによる オリジナルプリントを目にしたニコ研会員は、その驚愕の描写性能に感動しました。

大正十年。
アニター鏡玉の設計を開始したのは設計部数学課主任ドイツ人技術者ハインリッヒ・アハト。
極東の日本光学技術者から武士道をインスパイアした人柄が、 ドイツ式設計手法を駆使して改良を加えていった当時の設計部長砂山角野らの熱情が、 いま再び写真館ポートレイトの完成をみた写真クオリティで蘇った瞬間だったのです。

撮影データを説明します。 カメラはクラウン・グラフィック4×5インチ、レンズはアニター12cm F4.5、 トライX400フィルム(ブローニー判)を6×7cmで撮影。 絞りF8、シャッター速度25分の1秒、 コダック・マイクロドールX現像液、1:3、22度で22分です。

「いやあ、プリントしてみたけど、アニター、いいね。」
「アニターはたしかに古いですよ。戦前のレンズなんだし。」
「でもね、古くないんだな。これが。ほら、これ見てよ。」
「誇り高き、これはサムライみたいなレンズだね。」


アニター12cm F4.5鏡玉による諧調豊かな線が細い美しいトーンの写真

大井製作所ウエストビル前の有名な記念撮影スポットで一同

特別ご協力:
株式会社ニコン 広報課 歴史資料室
株式会社ニコン 映像カンパニー 後藤研究室

お願い:
本レポートでは、全世界で初公開のレンズ(株式会社ニコン所蔵) の外観画像を含みますが、当該レンズにかんするお問い合わせにつきましては、 株式会社ニコン様およびニコン研究会から回答することはできませんので、 ご了承お願い申し上げます。

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