September 2007, Nikon Kenkyukai

Nippon Kogaku Profile Projector Lenses

September 15, 2007
Nikon Kenkyukai Tokyo Meeting
Profile Projector Lenses
Photomic Finders
Mikami Speed Magny

東京・日本橋公会堂

残りの夏はまだ九月。 東京も青空で人形町から水天宮。 日本橋公会堂では、ニコン研究会の 9月例会が開催されました。

東京メトロ 半蔵門線 水天宮前駅

日本橋公会堂

九月夏の日本橋公会堂

会議室フロア

2007年9月 ニコン研究会

投影レンズコレクション

今月のテーマは、非常にマニヤックに、ニコン万能投影機用の投影レンズ限定。 ここまでニッチなテーマを設定して、ものが出てくるのかとも思いますが、 テーブルの上に並んだレンズ群を見ていると、ニコン研究会の底力というか、 ないものはないという気配がかんじられました。

日本光学製投影レンズフルセット木箱入り

日本光学と、万能投影機の歴史は古い。 万能投影機第1号が完成したのは、昭和14年(1939年)。 戦後も建て直しすぐに、昭和23年(1948年)には万能投影機一型を発売しています。

機械部品など、小さい部品の検査工程で主に用いられた装置で、 落射照明および透過照明により試料をすりガラスのスクリーンに拡大投影するものです。 乾板のホルダを取り付けることで、写真撮影も可能になっています。 精密に旋盤加工されたレンズハウジングの美しさをごらんください。

日本光学製投影レンズ 10X

日本光学製投影レンズ 20X

日本光学製投影レンズ 50X

日本光学製投影レンズ 100X

日本光学製投影レンズ 20X グループ

日本光学製投影レンズ 10X

日本光学製投影レンズ 20X

日本光学製投影レンズ 20X-A

日本光学製投影レンズ 20X-A

万能投影機の装置そのものは大型で重量もあり、1トンを超えるモデルも販売されていました。 万能投影機は機構がシンプルで、ランプ以外は消耗するものではなく、 古い装置がいまだ工場の片隅に置かれているケースがあります。 しかしながら、装置全体を個人でコレクションするには、 重量と設置スペースの制約から一般的には無理があり、 レンズユニットが古くから万能投影機コレクターの収集の対象となっていました。

日本光学製投影レンズ 20X-CP

日本光学製投影レンズ 50X-EP

ニコン製投影レンズ 100X-AP

100X-APレンズでマクロ撮影を体験

美しい景色を構成する時代の産業用レンズ群

1965年にニューヨークで印刷されたカタログはクールな男のポマードに注目

古いニコンFには投影機用レンズしかないだろう

ニコン研究会では万能投影機を研究対象とし、戦後の早い時期からの各種レンズ、 そして最新の装置用レンズまで、現物を収集・保存しています。 ここに掲載されているのは、ハンドキャリーできる最小のコレクションです。 重量級の万能投影機の装置現物は、 会員の手によって複数台保存されていることを報告しておきたいと思います。

ニコンFフォトミックファインダーの歴史

ニコンFの登場により、一眼レフカメラであるニコンFが、 フォトジャーナリストやプレスの方々の間で、実際に使えるカメラとして支持されてきました。

露出計測機構を盛り込んだフォトミックファインダーは、 システムカメラであるニコンFのなかで中心的なアクセサリーであり、 時代と共に進化していきました。 初期の外光式から、スルーザレンズ方式となり、フォトミックFTnでいちおうの完成となります。

ブラックフォトミックファインダーの歴史

旗の出るフォトミックファインダー

無骨なデザイン感覚がすばらしい初期のフォトミック

ニコンFはフォトミックが美しい

投影レンズが並ぶコレクションテーブルの情景

希少な日本光学製要塞双眼鏡

ここで、コーヒーブレイク。要塞双眼鏡というのをご存知ですか。 戦前の双眼鏡に詳しい、猫洞まこと氏の解説によると、 「兵器を中心とした日本の光学工業史」 の陸軍の双眼鏡の最初の所にちょっと記載のある12倍の双眼鏡。 大正時代のものという記述があるが、ここに掲載しているモデルは日光マークで昭和のもの。 鏡体は藤井レンズ製造所の天佑号とほとんど同じようだとのこと。

アイピースは、Victorの12倍単眼鏡のものと見かけ視界など同じくらい。 古い設計のまま作り続けられたのかとも思える。 右接眼部に、角度を可変出来る水平線のようなレチクルが入っているのが、 きわめてユニーク。

日本光学製要塞双眼鏡 No. 72

オリジナルが砲兵工廠で明治37年頃作られたらしいとあるので、 日本光学製は破損したものの補修用か新設の砲台用くらいで数が少なかったのでしょうか。 オリジナルの工廠製と同じ設計なのか、仕様だけ一緒で独自設計なのか、 オリジナルの現物と見比べてみたいものです。

希少な日本光学製要塞双眼鏡

なお、このあたりに詳しい方の話によると、 この要塞双眼鏡の接眼部の形状に、謎が隠されている気がしてなりません。とのこと。 第一次大戦後の軍縮時代に、 廃棄された戦艦や装甲巡洋艦の主砲が要塞に転用されたことが分かっています。 つまり、海軍から陸軍に移管されているのです。 大正から昭和初期は、時ならぬ"要塞の建設ラッシュ"だったようで、 ひょっとしたら、その頃のものだろうか?との話でした。

ミカミ・スピードマグニ100

最後に仕上げは、スピードマグニ100です。 ニコンFの使用環境で、そのままポラロイドフィルムを使ってインスタント写真を撮ることができます。 内部構造は、大型のミラーとリレーレンズにELニッコール50mm F2.8が使われていることで有名です。 ここで紹介のニコンFは、ペンタプリズムにアクセサリシューがある報道向け特殊仕様モデルで、 スピードマグニ100とセットで仕事カメラを形成しています。

ミカミ・スピードマグニ100

特別に改造されたアクセサリシュー

さっそく実写してみることにしました。 フィルムはポラロイドのピールアパートフィルム、タイプ667。 ASA3000の白黒フィルム。現像時間は30秒です。 ニッコールレンズのセットで、鮮鋭な写真が目の前で浮かび上がります。 デジタル式にくらべて、化学反応式には、写真が出来てくるという実感があります。

ポラロイド667フィルムを詰めて実写してみました

ポラロイド撮影を可能にしたニコンFのボデイ

ポラロイドSX-70ランドカメラもいいけれど、 たまにはミカミ・ニコンFに持ち替えて、街のスナップを撮りましょう。 SX70専用フィルムはすでに2006年3月に製造中止になっていますが、 超音波撮影や顕微鏡撮影など、 業務用に使用頻度の高いタイプ667はまだまだ健在でフィルムの入手は容易なのです。 ただし2007年9月時点の話ですが。

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