May 2006, Nikon Kenkyukai

Hansa Canon camera and Nippon Kogaku's Nikkor

May 20, 2006
Nikon Kenkyukai Tokyo Meeting
Very Early Nikkor Lenses
SEIKI KOGAKU KOGIO
Nikon I Leather Cases
Vintage Telescope

東京の初夏

最初のニッコール

新緑まぶしい露光オーバーの街路樹に五月の夏。 新学期も始まり、新入社員も街を歩き、 ニコン研究会は現物の収集と資料の解読により、 新しい歴史的事実の発掘に取り組んでいます。

日本光学が最初にニッコールを造った時代、 そして戦前のニッコールレンズについて現物を見ながら検証していきました。 ご存知の通り、日本光学は戦前は35ミリカメラを製造していませんでした。 カメラ雑誌の広告に、ハンザキヤノンが初登場するのが昭和10年(1935年)。 精機光学キヤノンには、日本光学製の35ミリカメラ用レンズが供給されていました。

美しいハンザキヤノン標準型に黒マスクのニッコールレンズ

ハンザキヤノンを鑑定するニコン研究会

金庫のダイアルのようなフィルムカウンターが斬新

美しい黒マスクのニッコール 50mm F3.5

ハンザキヤノンに白マスクのニッコール 5cm F3.5

ニッコール 5cm F3.5の精緻で優美な刻印

J戦後型キヤノンにニッコール 5cm F3.5

ニッコール 5cm F3.5 No. 460348

ニッコール白マスク 5cm F3.5 Nr. 50237

戦前のセイキ高級引伸機用ヘルメス 5.5cm F3.5

再生産復刻が待ち望まれるハンザキヤノン

ハンザキヤノンの時代

昭和15年(1940年)頃の雑誌広告とカタログには、 多くの情報が含まれており、当時のカメラ業界の状況を知ることができます。 また、書かれているキャッチフレーズも面白いものです。 ハンザキヤノンの時代のカメラやレンズは貴重品ですが、 通の方にとってはカタログ、アクセサリー等もまたレアアイテムとなります。 アクセサリーの代表としてフィルターがありますが、 写真に写っている最初期のスポーツファインダーはとても珍しいものです。

昭和15年(1940年)頃の雑誌広告(左と中央)とカタログ(右)

ハンザキヤノンとセイキキヤノンで1940年代にタイムスリップ

幻のハンザキヤノン用フィルターと元箱

お道具拝見ニコンI型革ケース

あのニコンI型の革ケースです。 ニコンI型の革ケースだけを集めて検証してようという、全世界で初の試みです。 たった700数十台しか製造されなかったニコンI型。 しかし革ケースは、これだけのバリエーションがあります。 最初期の過剰なほどオーバースペックな革ケースには泣けてきます。 あきれるほど愚直な仕様の革ケースに、日本光学の精神が造り込まれています。

左端が最初期型で順に新しくなり右端が最後期型

ニコンI型革ケースのトップ

ケースの胴体

ニコンI型革ケースの底

右の最初期型はうすみどり色の鹿革バークスキンなめし革張り内装

最初期のケースの特徴は、手縫いの糸の太さ、コバの仕上げ、大きい三脚ネジ穴、全体の風格。 内側にはビロード布ではなく、うすみどり色の鹿革バークスキンなめし革張り。 ここまで、こだわらなくてもと思うが。

ここまでやるか頑強な鋲止め制式軍用仕様

エンボス美しい頑強かつ優美なニコンI型革ケース

オリオン速写ケース

革ケースシリーズの比較用に検証してみました。 カメラでしたら速写ケース。 双眼鏡の場合、これは速写ケースというのでしょうか。 制六オリオン双眼鏡の革ケース。 対物レンズ側と接眼部のフラップが速やかに外れて、すばやく監視体制になる仕様です。 こういうものが存在していたことはほとんど知られていませんが、現物がここに存在します。 実際使ってみると、少々じゃまくさい気もするので、現存数がきわめて少ないことから、 あまり普及しなかったようです。

オリオン速写ケース(収納時)

オリオン速写ケース(使用時)

幻の日本光学MIOJ屈折望遠鏡

MIOJのニコン天体望遠鏡が存在していたことをご存知な方は、 そうとうな日本光学望遠鏡エンスージアストと言えるでしょう。 幻の戦後直後型ニコン8センチ屈折望遠鏡がこれです。

戦後直後型MIOJニコン8センチ屈折望遠鏡

優良な木材が圧倒的に不足していた戦後に、 できるだけの木材で作られた収納箱は、どこか素人工作のようです。 木工職人の仕事ではないが、素朴な木箱には屈折鏡胴が収まっています。 太陽の黒点観測用の投影板などがセットになっていて、 実際に小学校の理科の時間に使われていたようです。

日本光学富士山マークに 24× 80 の刻印

MIOJ(Made in Occupied Japan)の刻印は小さい

単眼鏡のようなアイピースはムーングラス付き

短鏡筒のストンとしたデザインは、ニコン8センチED屈折鏡筒に似ている気がします。 接眼部は、オプションで単眼鏡のようなアイピースが装着できます。 この状態で、24×80。 おそらく8センチ対空双眼鏡のあまったレンズで組み立てたのかもしれません。 もちろん、肉眼での直視はしっかりとしたシーイングです。 ニコン製ハイゲンス18ミリアイピースを装着した直筒をセットすると、 天体観測の体制になります。 こんかい鑑定にかけつけた堂平天文台の寺田さんは、 戦後直後の製品ながら基本性能の良さを確認していました。

5センチおよび6.5センチ屈折用ニコンFアタッチメントセット

ニコンFの時代に販売された5センチおよび6.5センチ屈折天体望遠鏡用カメラアダプターです。 数の少ない34.5mmフィルターが6種類入っています。 特にその中に太陽面撮影用の強力なND4フィルター(露出倍数10000倍)が入っているのが貴重です。

まだ続く貴重コレクションの数々

すでにもうおなかいっぱいの状態ですが、デザートは別腹ということで、 さらに貴重なコレクションがお披露目となりました。

歴史上最初の市販されたニッコールレンズ 12cm F4.5

戦前ものでは、日本光学の歴史上最初のニッコールである12cm F4.5。 ペンタックス67マウントに載せたレンズです。

弁当箱型バッテリーパックの中

珍しいS型モータードライブ用のバッテリーパック。 板金製の裏ブタをスライドすると、中には単3電池の入れ方のイラストがあります。 専用接続コードもかなり細い。 中の電池配列イラストがわかる画像は珍しいので掲載してみました。

ニコン顕微鏡対物レンズコレクション

最初期の液晶検査顕微鏡用ガラス厚調整機構付き対物レンズ

ニコン顕微鏡用の対物レンズコレクションでは、 珍しい最初期の液晶検査顕微鏡用ガラス厚調整機構付き対物レンズが登場しました。 液晶表示素子中の配線の出来などをガラス基板を通して見るための特別な対物レンズで、 ガラス基板で発生する球面収差を補正環(ガラス厚さ1.2mmから1.8mmまでに対応) で調整して補正するものです。

国内で出土された希少種 FRニッコール 75mm F1.0

顕微鏡対物レンズコレクションとともに、 非常に珍しい工業用ニッコールレンズの1つである FRニッコール75mm F1.0が登場です。 等倍撮影専用の最大口径比 1:1.0 の高速マクロレンズであり、 重量感のある存在感はさすがです。

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