June 2005, Nikon Kenkyukai Tokyo, Meeting Report

SAPPORO 300mm F2.8 and MONTREAL 300mm F2.8

June 19, 2005

S 5cm F1.5

Ultra Micro Nikkor

SAPPORO 300mm F2.8

DODAIRA Nikon 16658mm F18

S型ニコン用標準レンズ 5cm F1.5 特集

街路樹は夏の6月。
こんな特集をやって、数が集まるのかと心配もしましたが、 さすがはニコン研究会。
S型ニコン創成期に、きわめて短い期間のみ販売されたニッコール5cm F1.5 。
製造数はSマウントとLマウントを合わせても、800本程度といわれています。
905シリーズに907シリーズ。テーブルの上に並んだ、稀少なレンズをご覧ください。

美しいレンズとフィルターコレクション

待望の鮮鋭高速度鏡玉ニッコール 5cm F1.5 (1950年1月号広告)

ニッコール S C 5cm F1.5 No. 905163

ニッコール S C 5cm F1.5 No. 905285とベークライトケース

ニコンM型にニッコール S C 5cm F1.5 No. 907314

ニッコール S C 5cm F1.5 No. 907354とアルミケース

ライカスクリューマウント 5cm F1.5 No. 907683とかぶせ型フィルター

ニッコール S C 5cm F1.5 No. 905163 と No. 905285

ニッコール S C 5cm F1.5用の40.5mmフィルターコレクション

S型ニコン用広角レンズ 3.5cm F2.5

いっしょに比較検討したのが、S型ニコンを実用するニコンファンに人気の広角レンズ、 W-ニッコール 3.5cm F2.5です。 今回取り上げたのは、外絞りリング型(3.5cm F1.8レンズと同じ)で、 製造本数約1200本と貴重なモデルです。
専用フードのバリエーションなど検証してみました。
当時では比較的購入しやすい価格だったレンズですが、 専用フードなどは工芸品の域に達しています。
重厚に黒塗装された金属フードには、精密な刻印、スナップオン・リリースボタンの頑丈なつくり。 簡易光学マーク入りのフードは貴重なものです。
革ケースに美しいデザインの元箱。
W-ニッコール 3.5cm F2.5用の、43mmフィルターコレクションも登場しました。

W-ニッコール 3.5cm F2.5と美しい専用フード(外絞りリング型)

W-ニッコール 3.5cm F2.5用の43mmフィルターコレクション

テーブルの上に並んだ貴重なレンズとカメラ

ウルトラマイクロニッコールその2

工業用ニッコールレンズ特集の第2回です。
前回は、この世界の代表的な存在であるウルトラマイクロニッコールの、 長焦点モデルを紹介しました。 今回は、その短焦点モデルが紹介されました。
工業用ニッコールレンズ研究家の秋山満夫が持ち込んだ、 ウルトラマイクロニッコール28 F1.7e ウルトラマイクロニッコール28mm 1.8e ウルトラマイクロニッコール50mm F1.8h 、 そして ウルトラマイクロニッコール55mm F2 の4本について、解説に加えてコレクターズ情報が説明されました。
専用収納木箱は塗りの堅いクルミ材でつくられ、内装は赤のビロード張り。
ウルトラマイクロニッコール専用の刻印が入っているe線用フィルターも、 立派な専用木箱入り。
この世界広しとも、内装は赤いビロード張りの木箱に入ったフィルターは、 他に存在しないかもしれません。

ウルトラマイクロニッコール50mm F1.8hと28mm F1.7e

ウルトラマイクロニッコール28mm F1.8eに e線フィルターのせ

前の2本はウルトラマイクロニッコール55mm F2と28mm F17e

夢の高速超望遠レンズ伝説のサッポロ300mm F2.8

昭和47(1972)年。札幌冬季オリンピック。
室内競技の花、フィギヤスケート。
光量の十分でない屋内リンクで、 高速で走行する競技者を鮮鋭なピントで撮影したいという報道機関の要望が、 1本のレンズに結集されました。
夢の高速超望遠レンズ。伝説のサッポロ300mm F2.8(NIKKOR-H 300mm F2.8)です。

最初に登場したこのレンズは、昭和47(1972)年1月に報道向けに発売と記録にあります。
まだ「ED」の刻印はありません。
光学系の一部に、西ドイツのショット社製のガラス材が使われているのが知られています。
当時ニコンでは、異常分散性を持つガラス材(EDガラス)がまだなかったのです。
次に登場したのが、モントリオール300mm F2.8(NIKKOR-ED 300mm F2.8)。
ニコン製のEDガラスを使い、多層膜コーティングが施されています。
どちらも報道機関向けの供給のみ。
最後まで一般のカメラファン向けに市販しなかったこのレンズは、 当然ニッコール・レンズカタログにも掲載がありません。
生産総数は、サッポロとモントリオール合わせてさえも、百数十本程度とのことです。
いまでは、世界中のニコンファン垂涎の高速望遠レンズとなっています。

どちらも同じに見えるが奥がサッポロで手前がモントリオール

左にサッポロ300mm F2.8と右にモントリオール300mm F2.8

外観は同じのサッポロ300mm F2.8とモントリオール300mm F2.8

望遠鏡特集

ニコン研究会恒例の、望遠鏡の特集です。
まずは最初に、日本光学創業期の光学兵器が登場しました。
この真鍮製の鏡筒が美しい望遠鏡は、新2吋(インチ)望遠鏡。 大正十年にドイツ人技師によって改良された物と思われます。
鏡筒に彫刻された、時代の日本光学マークからわかるように大正末期から、 すくなくとも昭和五年以前の物です。
水筒のフタのような物は、照準マークの照明用ランプを差し込む部分です。
現存数のきわめて少ない骨董望遠鏡ですが、光学性能は立派なものです。
日本光学の古い刻印マークに注目してください。

新2吋(インチ)望遠鏡

日本光学の古い刻印マーク

堂平天文台とニコン91cm天体反射鏡写真儀

ニコンと望遠鏡、とくに天体望遠鏡を語るとき、忘れてならないのが堂平天文台です。
堂平(どうだいら)は、関東平野は埼玉県、標高876mの堂平山に位置します。
昭和37(1962)年。当時の東京大学東京天文台・堂平観測所として開設されました。
その後、国立天文台・堂平観測所となり、数々の天文学上の成果を残してきました。
東京から近いことはメリットでしたが、急速に進んだ宅地化による光害に悩まされ、さらには、 ハワイすばる天文台に代表される超大口径望遠鏡を使った研究にシフトされていきました。
2000年3月に閉所されたのは、時代の趨勢だったのかもしれません。
英国の300年余りの歴史をもつあのグリニッジ天文台ですら閉所されたのですから。

堂平天文台の美しいドーム
Photo: Copyright (c) 2005, Shigeki Terada, All Rights Reserved.

しかしながら、日本光学が開発製造した名機、 91cm F18カセグレン式天体反射鏡写真儀は残りました。
幾多の困難な道のりの末、地元の都幾川(ときがわ)村が、 国立天文台からドームを含めた設備を譲り受け、天文台を再開したのです。
旧式の天体望遠鏡といっても、いくら高級アマチュアでも手の届かない巨大な91cm鏡です。
天文台を維持していくには、多額の費用が必要となります。
現在では、都幾川村と天文ファンのボランティアによって機器の維持、管理がされています。

ニコン研究会では、堂平天文台を支えている天文ボランティアの寺田茂樹氏に来ていただき、 話を聞く会を開催しました。
寺田氏は、パワーポイントのプレゼン資料を持ち込み、 スライドを映写しながら堂平天文台の実情を説明されました。
日本光学が製造した文化遺産である91cm天体反射鏡写真儀を、 きちんとした姿で残していくために、 どういった行動をしていくかはこれからの課題です。
痛みの出ている91cm主鏡、メンテナンスの必要な鏡筒、重修理が予想される駆動装置、 整備したい電気系統に配線系、オリジナルの塗装、などなど。

光学史や望遠鏡の歴史を検証する上でも、堂平91cmは貴重な文化遺産です。
戦前の日本光学が得意とした指揮装置製作技術を活かし、 なんとアナログ式の位置制御を実現したのです。
追尾精度を決定するのは、ウォームホイールとウォームによる精密な歯車駆動系、 それにセルシンモータ。 国内ではまだ、自動制御技術が発達していなかった時代の話です。
いかに優れた光学系も、精度の高い優秀な機械装置があってはじめて完成したのです。

ニコン91cm F18 カセグレン式天体反射鏡写真儀
Photo: Copyright (c) 2005, Shigeki Terada, All Rights Reserved.

91cm主鏡に20cm屈折と15cm屈折ガイド鏡(光学マークに注目)
Photo: Copyright (c) 2005, Shigeki Terada, All Rights Reserved.

堂平天文台コレクション

堂平天文台を支えている天文ボランティアの寺田茂樹氏から、 スライドによるプレゼンの後、 日本光学製の超絶貴重な堂平天文台コレクションが紹介されました。

以下の3枚の画像を見てください。
1枚目。これは、開台当時からの接眼鏡類木箱セットです。
短焦点側から、O-13mm、H-18mm、H-25mmとK-25mm、H-40mm、K-60mm。
さらに天頂プリズム、乾板を使用した写真撮影装置用ガイドアイピース2本。
右の小箱は、接眼簡易分光プリズム。 Oは全てプローセル型オルソ。 25mmのHKは途中で買い足したものと思われるとのこと。
全て15cmと20cmのガイド鏡用。 (本体につけたらK-60mmでも倍率は278倍で、 射出瞳径は3.3mm!惑星か球状星団にしか使えない・・・)

2枚目は、大きなK-60mmとH-40mmなど。
簡易光学マークのものは開台当時からのものです。
3枚目は、O-13mmが2本あります。 でも、視野レンズ周辺の溝の数が左上のは4本、右下のは5本。 コーティングの色も違います。

堂平天文台開台当時からの接眼鏡類木箱セット

K-60mm と H-40mmなど(簡易光学マーク刻印付き)

簡易光学マーク刻印付きのO-13mmほか接眼鏡

続けて画像をご覧ください。
1枚目。乾板を使用した写真撮影装置用ガイドアイピースと思われるもの2本。 直角プリズムと一体になっています。 レンズ構成はk+正立目的のリレーレンズでしょうか。
2枚目は、簡易分光プリズム。後年購入されたものらしい。 視野レンズは凸のシリンドリカルで、焦点距離が違います。

3枚目の画像です。K-80mm、十字レチクル照明付き。レチクルに焦点を合わせるために、 ヘリコイドリングが付いています。メンテナンスはしてありますが動きは極めてスムーズ。 これもガイド鏡用です。完全手作りで、単品生産だと思われます。 ヘリコイドのローレット仕上げが美しい。真鍮削り出しでその重量4kg!
最後の画像。小さい方はK-25mm、十字レチクル照明付き。 レチクルはガラスエッチングではなく、女郎蜘蛛の糸だと思われます。 後ろのものはK-80mmのバヨネットと合わせるためのアタッチメントです。 K-25mmと組み合わせて1.5kgのヘビー級。

乾板写真撮影装置用ガイドアイピース(簡易光学マーク刻印付き)

簡易分光プリズム(視野レンズは凸のシリンドリカル)

巨大で重いK-80mm(十字レチクル照明付き)

巨大なK-80mmと小さく見えるのがK-25mm

美しき堂平天文台

堂平の星空
Photo: Copyright (c) 2005, Tokigawa Village, All Rights Reserved.

昭和37(1962)年。開設したばかりの堂平観測所。
そこには、美しく、力強く、高性能を誇る巨大な91cm天体反射鏡写真儀がありました。
ファーストライト当時の、眩いばかりに美しい望遠鏡に修復したい。

この美しい91cm天体反射鏡写真儀を設計したのは、 当時若手の光学技術者だった、 株式会社ニコンの元・取締役会長兼CEO 吉田 庄一郎氏。
吉田 庄一郎氏 28歳の時です。

ニコン研究会は、堂平天文台の91cm望遠鏡修復活動を支援していきます。

Photo: (c) 2005, Tokigawa Village

Photo: (c) 2005, Tokigawa Village

Photo: (c) 2005, Shigeki Terada

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